「シャドー・ディール 武器ビジネスの闇」を観に行ってきました
なんとなく知っていたことではある。しかし、改めてその詳細をまざまざと見せつけられると、末恐ろしい世界に生きているものだなと感じる。僕は、世の中の大半の人間は善良だと信じているが、善良ではない一部の人間が強権を持つことで、世界は大きく歪んでいる。
色々驚かされる話があったが、中でも衝撃的だったのは、「ガザ地区への攻撃は、米国企業の見本市」という話だ。
イスラエルがガザ地区を攻撃する。そしてその直後、軍事企業による武器の見本市が行われる。そこでの売り文句は、「既に実戦で使用済みだ」というものだという。
つまり、武器を得るために戦争をしている、ということだ。
この映画は、アメリカという超大国がいかに戦争をビジネスにしているか、そしてイギリスやアラブ諸国などがどのように武器取引を行っているのかが描かれていく。
【政府のトップは、大手軍事企業の販売責任者であり、この構図は世界中のテンプレートとなっている】
なかなか凄い言葉ではないだろうか。でも確かにその通りだろう。武器を作る企業は、武器が売れてくれないと困る。武器が売れるためには、戦争が行われなければならない。そして、テロリストなどを除けば、戦争を行えるのは一国のトップだけだ。軍需産業が政治に食い込む構図そのものは、当然だという感じがする。
【軍事企業は政府の一部であり、法をも超えている】
既にこういう状況になっているそうだ。別の人物は、【戦争の公共的な部分が民営化されている】と語っている。
アメリカにおけるこの状況は、もちろん長い歴史の積み重ねによるものだが、チェイニー副大統領時代に加速したようだ。
チェイニーは実業家から政治家へと転身し、国防長官も務めた。彼の、「国防総省を民営化できないか」という発言が、何かのテープに記録として残っていたと思う。国防総省というのは、軍や戦争などを管轄するところで、彼はそこで、アメリカの各軍事企業を、小国の軍隊と同程度に武装させ、戦争を民営化する準備を整えていく。そして副大統領となり、ブッシュ政権の元でイラク戦争に突入していくのだ。イラク戦争においては既に、イラクは大量破壊兵器を保有していなかったという結論が出ているはずで、だから戦争の大義など無かったことになる。まあそうだろう、武器を売るために戦争を始めたなんて言えませんからね。
政治の基本は、民衆に恐怖を与えることだという。マキャベリの「君主論」には、その恐怖の対象が「君主」だとされているらしい。しかし今それは、テロに置き換わっている。アメリカはその時々でテロの脅威を煽り、適当なテロリストを仕立て上げ、それに立ち向かっていくという体を取りながら戦争を起こし、軍需産業を潤していくという。
そんな世の中を、多くの人が手厳しく批判していく。
ある人物は、アメリカは武力に頼りすぎたために、外交手腕を失った、と語っていた。小国であれば、時には手を引くなどの様々な手腕を組み合わせて交渉する必要がある。しかし今のアメリカはそんなことはせず、武力で制圧していくだけだ。確かにそれは、表向き何かを解決するだろう。軍需産業が潤うことでアメリカという国の経済が良くなるだろうし、テロへの危機意識によって政権が安定するということもあるかもしれない。しかしそれによって、罪なき多くの人の命が失われ、生きている多くの人もアメリカという国を恨むことになる。その見返りは、少数の人間が私腹を肥やすことだけなのだ。
狂った世の中だこと。
しかし僕には不思議で仕方がない。戦争がビジネスになるという理屈は、どこかで破綻するはずだと思う。戦争は儲かるらしいのだけど、そうなんだろうか?
確かに、作った武器が売れれば利益が出る。戦争が永久的に継続すれば、武器を必要とする人も永続的に生み出すことが出来るだろう。しかし、武器を必要とする人が、武器を買うお金を持っているかは別の問題だろう。どれだけ武器を作り、戦争を継続させようとも、武器を必要とする人がお金を持っていなければ意味がない。戦争によって人々の生活が破壊されれば経済活動どころではなくなり、かつての日本のように武器も石油もないまま白兵戦を強いられるような状況になるのではないか?今は、中東がオイルマネーなどで武器を買っているらしいけど、そう続くものではないだろう。
でもまあいいのか。強欲な人間は、近視眼的に金が儲かればいいと思っている、ということだろう。
【戦争はよく出来た物語で覆われ、マスコミや物語などによってその神話がどんどんと拡散されていく。しかしそういう神話を剥ぎ取れば、すべては軍需産業の嘘であり、ただの虐殺でしかない】
日米安全保障条約によって、アメリカの軍事力を当てにしている日本も、間接的に同罪だろう。ニュースなどでは、日本もアメリカから武器を「買わされている」(もちろん報道では「買わされている」などとは表現しないが)と報じられる。確かに、防衛のための備えは必要だと思うが、僕がニュースなどで目にする情報によれば、あまりに過剰な武器の購入なのではないか、という指摘があった。恐らく、アメリカからの圧力で「買わされている」ということなのだと思う。
【戦争は、始めてしまったら、止めることはできない】
日本にも、中国とアメリカに政治的にも地理的にも挟まれているが故の戦争への可能性みたいなものは常に存在している。アメリカ以上の超大国になるかもしれない中国や、無鉄砲に思える北朝鮮、そして戦争をビジネスにするアメリカに囲まれて、呑気にしていていいということはないだろう。
どれだけ世界が潤おうが、それが血塗られたものであるなら、僕は否定したい。
「シャドー・ディール 武器ビジネスの闇」を観に行ってきました
色々驚かされる話があったが、中でも衝撃的だったのは、「ガザ地区への攻撃は、米国企業の見本市」という話だ。
イスラエルがガザ地区を攻撃する。そしてその直後、軍事企業による武器の見本市が行われる。そこでの売り文句は、「既に実戦で使用済みだ」というものだという。
つまり、武器を得るために戦争をしている、ということだ。
この映画は、アメリカという超大国がいかに戦争をビジネスにしているか、そしてイギリスやアラブ諸国などがどのように武器取引を行っているのかが描かれていく。
【政府のトップは、大手軍事企業の販売責任者であり、この構図は世界中のテンプレートとなっている】
なかなか凄い言葉ではないだろうか。でも確かにその通りだろう。武器を作る企業は、武器が売れてくれないと困る。武器が売れるためには、戦争が行われなければならない。そして、テロリストなどを除けば、戦争を行えるのは一国のトップだけだ。軍需産業が政治に食い込む構図そのものは、当然だという感じがする。
【軍事企業は政府の一部であり、法をも超えている】
既にこういう状況になっているそうだ。別の人物は、【戦争の公共的な部分が民営化されている】と語っている。
アメリカにおけるこの状況は、もちろん長い歴史の積み重ねによるものだが、チェイニー副大統領時代に加速したようだ。
チェイニーは実業家から政治家へと転身し、国防長官も務めた。彼の、「国防総省を民営化できないか」という発言が、何かのテープに記録として残っていたと思う。国防総省というのは、軍や戦争などを管轄するところで、彼はそこで、アメリカの各軍事企業を、小国の軍隊と同程度に武装させ、戦争を民営化する準備を整えていく。そして副大統領となり、ブッシュ政権の元でイラク戦争に突入していくのだ。イラク戦争においては既に、イラクは大量破壊兵器を保有していなかったという結論が出ているはずで、だから戦争の大義など無かったことになる。まあそうだろう、武器を売るために戦争を始めたなんて言えませんからね。
政治の基本は、民衆に恐怖を与えることだという。マキャベリの「君主論」には、その恐怖の対象が「君主」だとされているらしい。しかし今それは、テロに置き換わっている。アメリカはその時々でテロの脅威を煽り、適当なテロリストを仕立て上げ、それに立ち向かっていくという体を取りながら戦争を起こし、軍需産業を潤していくという。
そんな世の中を、多くの人が手厳しく批判していく。
ある人物は、アメリカは武力に頼りすぎたために、外交手腕を失った、と語っていた。小国であれば、時には手を引くなどの様々な手腕を組み合わせて交渉する必要がある。しかし今のアメリカはそんなことはせず、武力で制圧していくだけだ。確かにそれは、表向き何かを解決するだろう。軍需産業が潤うことでアメリカという国の経済が良くなるだろうし、テロへの危機意識によって政権が安定するということもあるかもしれない。しかしそれによって、罪なき多くの人の命が失われ、生きている多くの人もアメリカという国を恨むことになる。その見返りは、少数の人間が私腹を肥やすことだけなのだ。
狂った世の中だこと。
しかし僕には不思議で仕方がない。戦争がビジネスになるという理屈は、どこかで破綻するはずだと思う。戦争は儲かるらしいのだけど、そうなんだろうか?
確かに、作った武器が売れれば利益が出る。戦争が永久的に継続すれば、武器を必要とする人も永続的に生み出すことが出来るだろう。しかし、武器を必要とする人が、武器を買うお金を持っているかは別の問題だろう。どれだけ武器を作り、戦争を継続させようとも、武器を必要とする人がお金を持っていなければ意味がない。戦争によって人々の生活が破壊されれば経済活動どころではなくなり、かつての日本のように武器も石油もないまま白兵戦を強いられるような状況になるのではないか?今は、中東がオイルマネーなどで武器を買っているらしいけど、そう続くものではないだろう。
でもまあいいのか。強欲な人間は、近視眼的に金が儲かればいいと思っている、ということだろう。
【戦争はよく出来た物語で覆われ、マスコミや物語などによってその神話がどんどんと拡散されていく。しかしそういう神話を剥ぎ取れば、すべては軍需産業の嘘であり、ただの虐殺でしかない】
日米安全保障条約によって、アメリカの軍事力を当てにしている日本も、間接的に同罪だろう。ニュースなどでは、日本もアメリカから武器を「買わされている」(もちろん報道では「買わされている」などとは表現しないが)と報じられる。確かに、防衛のための備えは必要だと思うが、僕がニュースなどで目にする情報によれば、あまりに過剰な武器の購入なのではないか、という指摘があった。恐らく、アメリカからの圧力で「買わされている」ということなのだと思う。
【戦争は、始めてしまったら、止めることはできない】
日本にも、中国とアメリカに政治的にも地理的にも挟まれているが故の戦争への可能性みたいなものは常に存在している。アメリカ以上の超大国になるかもしれない中国や、無鉄砲に思える北朝鮮、そして戦争をビジネスにするアメリカに囲まれて、呑気にしていていいということはないだろう。
どれだけ世界が潤おうが、それが血塗られたものであるなら、僕は否定したい。
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