「TENET テネット」を観に行ってきました(二度目)
二度目の「TENET テネット」鑑賞終了。二度目は、IMAXで観てみた。けど、僕は映像の綺麗さとか、音楽の迫力とか、そういうのはよく分からないんで、IMAXじゃない方と大きな差を感じなかった。これは僕の問題。
しかし、二回目はやっぱり全然違う観方が出来て面白かった。一回目は、とにかく設定を理解するのに精一杯で(しかも、理解しようとして全然出来なくて、映画を観た後で死ぬほど考えた)、それ以外の部分に着目する余裕はほぼなかった。また、物語を最後まで知っているから、どのシーンのどれが後々重要なのかということを取捨選択しながら観れるので、そういう意味でも他の部分に着目する余裕があった。
僕が二回目の鑑賞で特に観ようと思っていたのは、「役者が逆の動きをしているだろう場面」。CG嫌いで有名なクリストファー・ノーラン作らしく、やはり今作も可能な限りCGを使っていないという。つまり、「世界の時間が逆行している状態で、主人公たちが順行している場面」も、もちろんCGなしということだ。これを映像的に実現するには、「映画で順行しているように見える人には実際には逆行で演技をしてもらい、映画で逆行しているように見える人には順行で演技をしてもらい、それを逆再生している」としか考えられない。
そういう理解の元、「ここは逆再生で撮ってる」と思う部分の役者の動きを注視していた。逆再生の場面は、割と簡単に分かる。CGを使っていないことを前提とすれば、砂埃や放水や炎を逆に動かすことは不可能だから、そういうものが逆に動いている場面は、実際には役者が逆行の演技をしているということだ。
そういう視点で観ると、主人公が初めて逆行の世界を体験する場面は、感動的だった。
※以下、ネタバレを気にせずにあれこれ書くので、知りたくない方は読まないでください
映画的には、こういう場面だ。酸素マスクをつけた主人公が目を閉じている場面から始まり、目を開け、前に向かって歩きながら、世界の不思議な動きを見ている。水たまりに足を突っ込むと、水が変な動きをする。もちろん、風に吹かれた煙は逆に動き、鳥も逆に飛んでいる。主人公はそのまま、車に乗り込む、というシーンだ。
実際にはこれを、車に乗っている場面から初めて、すべて逆の動きをしながら、最後目をつぶる、というところで終わる、という風に撮っているはずだ。
一回目を観た後、考察サイトやらなんやらを色々漁ったのだけど、その時に、主人公のインタビューも見かけた。そこでは、「まばたきが一番難しかった」と書かれていた。要するに、逆再生した時に自然なまばたきに見えるような動きを習得するのが難しかった、ということだ。その難しさについては理解が及ばないが、しかし、この主人公が初めて逆行の世界に触れる場面は、逆行の演技をしてるとはまったく思えないほどの自然さだったので、それに感動した。
同じく、逆行の演技で凄いと思ったのは、同じく主人公が船の上で懸垂をしている場面。あれも、船そのものも後ろに進んでいるし、鳥も逆行してるから、主人公が逆行の演技をしてるはずなんだけど、普通の懸垂にしか見えなかった。これも、分からないけど、逆行の演技で懸垂をナチュラルに見せるには、普段しないような動きをしなきゃいけないだろうから、結構大変だったんじゃないかなぁ、と思う。
また、逆行の演技で言えば、致し方ない部分はあるが、最後の10分間の挟撃作戦中の動きについては、「不自然な人もいるな~」と感じることも結構あった。まあ、「戦場での動き」っていうのは割と激しいものだから逆行の演技は難しいだろうし、主人公一人が逆行の演技をするんじゃなくて、超大勢が一斉に逆行の演技をし、しかも火薬とかもバンバン爆発させるような、何回もテイクを行えない場面だから、多少しょうがない部分もあるかな、と思う。観てると、「まあさすがにこれは、普通に後ろ向きに歩いてるよね」と分かるような人・場面も結構あるんで、その辺りも面白かった。
また、改めて最初から観ていると、一回目では気にも留めないようなところにいろいろそれらしく示唆するようなものが色々あったなぁ、と思う。冒頭の、主人公が拷問されているシーンで「1時間戻そう」と言ってるのや、インド(だっけ?)の大物に会いたいという話をしてる中で、「10分でいい」と言ったりしてるのは、後々の時間反転や挟撃作戦を示唆してるのかな、と思ったりした。また、考察サイトを見て、「順行は赤、逆行は青」というマークが結構色々あるというので観てたけど、空港の入り口に赤・青のマークがあったり、言われてみれば確かにキャットが赤い服を着てるな、と思ったりしました。
あと、これも一回目では全然分からなかったけど、最初に指令(とも言えないような漠然としたもの)を受け取った際、「言えるのは『TENET』って言葉だけだ」みたいに主人公が言われる理由が二回目でやっと分かった。あれは、自分がこれから関わるべき人かどうか判断するための符丁みたいなものなんですね。英語には詳しくないけど、普通英語では、「主義(Principle)」とか「◯◯主義(~ism)」みたいな言い方をするんでしょう。そんな中で、敢えて「TENET(主義)」という言葉を使う人間は、これから関わるべき人だということなんだろう。たぶん字幕で、「テネット=主義」ってことが分かるように表記されてたと思うんだけど、一回目の時にはたぶんそれをスルーしてて、「テネット」と「主義」があんまり繋がってなかったんだろうな。
二回目で気付いた「矛盾(でもそれは、映像のわかりやすさを優先する工夫)」もあります。カーチェイスのシーンで、順行主人公が、「これエストニア語だろ?」と言う場面があります。実はこれは、逆行の人が喋ってるから言葉が逆再生に聞こえてエストニア語みたいな聞き覚えのない言葉に聞こえる、という演出でした。
でもその後、キャットが撃たれる場面では、逆行セイターの言葉が聞こえてから逆行セイターの口が動く、という描写になります。こちらの場面では、逆行セイターの言葉は逆再生では聞こえず、単純に、「口を動かす→声を発する」という順番が逆になっています。
どちらも、「逆行の人が喋っているのを、順行の人が聞いている」という描写なので、この両者が食い違うのは矛盾だな、と。ただこれは、映像のわかりやすさを優先した工夫だと思いました。電話では、口の動きは見えないから、逆再生させる以外に逆行を体感させられません。一方でキャットが撃たれた場面では、逆行セイターがなんて言ってるのかが伝わらないとストーリーが成立しないので、口の動きが遅れるという描写にしたのでしょう。
それはいいんですけど、僕が気になるのは、実際に時間が反転したら、どちらの現象が起こるのか、ということ。まあ、どちらも起こらないという可能性もあるでしょうけど。
あと、一回目では、「ニールがどうして地下にいて鍵を開けたのか」が分からなかったけど(それがニールだとは分かったけど)、考察サイトを色々読んで、「なるほど!あの最後の場面からさらにニールは逆行するのか!」と驚きました。ただ、何人かの人が書いてたのは、「あの後ニールはどうやって地下に戻ったのか?」という疑問でした。僕としては、爆発の時点で天井に穴が空いてるから、そっから入ればいいんじゃない?と思ったんですけど、違うのかな?確かにそうなると、爆破の時点で地下にいることになって死んじゃいそうだけど、以下のような流れなら行けるんじゃないかと。
(順行視点)「ニール、」「主人公とアイブスが上から降りてきたロープに捕まる」→「彼らが上に引き上げられた瞬間、逆行ニールは起き上がり、既に鍵が掛かってない扉を抜けて、爆心地から離れられるだけ離れる」→「爆発が収まった後、爆心地に戻り、天井から外に出る」
これを逆行ニール視点で見ると、
(逆行ニール視点)「天井から地下に入る」→「爆心地から離れる」→「爆発」→「爆心地に素早く戻る(主人公とアイブスがロープで降りてくる前)」
という流れになって、成立しそうな気がします。
ただあの場面、あまりにも展開が早すぎて、観るの二回目で、何が起こってるのか頭で理解してるはずなのに、誰がどういう動きをしているのかちゃんと理解できてませんでした。もしかしたらニールは、主人公とアイブスがロープで引き上げられる時にはもう爆心地にいなかったんだっけ?(と考察サイトに書いてあるんだよなぁあ)。そうだとすると、上記の流れだと成り立たないのか???もうよくわからなくなってきました。
というわけで、以下ではさらに、物語的によく分からなかった部分を挙げてみます。
まず、主人公がカーチェイスの場面でプルトニウム(実はアルゴリズム)を見て、「なんだこの形状は?」っていう場面があります。これが何に対する驚きなのか、イマイチよく分からないんだよなぁ。だって主人公は、オペラの会場でまったく同じものを目にしてるはず(同じものですよね?)。なんで車の中で、アタッシュケースみたいなのを開けた時、主人公が驚いてるのかよく分かんないんだよなぁ。
あと、船の中での金塊のシーンも謎でした。あの場面で、金塊で殴られてるのって、たぶん、ジャンボジェット機の中の金塊を一つ盗んだ人だと思うんだけど、あれは主人公とかニールの仲間じゃなかったの?なんでセイター側の登場人物として出てきてるんだ?ってかそもそもあの金塊は何?みたいなのもさっぱり謎です。
あと、これは「何を疑問に感じてるのか」もうまく説明できないんだけど、書いてみよう。プリヤが、「アルゴリズムを作った科学者は、何世代も先の人」みたいなことを言ってた。ということは、まあ数百年単位の未来だと思う。で、その科学者は、アルゴリズムを9分割して、世界一管理が厳しい(=安全な)原子力関連施設に隠した、っていうんだけど、そもそもこれが謎。
数百年先の未来に存在する原子力関連施設にアルゴリズムを隠したところで、そのアルゴリズムが過去に行くわけじゃない。そもそも僕は、この「テネット」の世界の中で、どうやったら「モノ」が過去に行くのかよく分かってないけど(だって、仮にそのアルゴリズムをあの回転扉に入れた後、どこかに埋めたって、それが過去に行くとは思えないんだよなぁ)、どっかのシーンで、「セイターはタイムカプセルみたいな場所を使って未来とやり取りしてる」みたいなことを言ってる場面があった。「モノ」を過去に移動させるためにそういうタイムカプセル的なものがあるとして、だったら、そのタイムカプセルにアルゴリズムを9個全部入れてセイターに届けたらいいんじゃないか?わざわざ原子力関連施設に保管しなくたって、そのセイターが知っているタイムカプセル的な場所だって、他の人には知られないような場所なんだから、安全なのでは?まあ確かに、予期せぬ地震とかはあるかもだけど、とはいえ、「原子力関連施設に隠して、アルゴリズムを過去に送る方法」っていうのがいまいちイメージできないからよく分かんない。
という、書いてる自分でもまとまってないな、と思う文章でした。
あと、最後にニールが「僕には何年か前のこと、君には何年か後のこと」みたいに言うシーンがあるんだけど、なんで主人公は「テネット」って組織を作るのにそんな時間を掛けたんだろう?だって別に、あの最後の戦闘が終わってすぐに「テネット」を組織すればいいと思うんだよなぁ。まあこれは、「主人公はすぐテネットを組織したけど、ニールと出会ったのは数年後」という解釈をすれば矛盾はないんだけど。まあそうだとするなら、考察サイトによく書かれている「ニール=マックス説」もちょっとリアリティを増すかも。あの時点ではまだマックスは幼い子供だけど、数年経てば話が出来る状態になってるかも。
あと、これは「アルゴリズム」の詳細がほとんど語られてないから考える糸口もあんまりないんだけど、「アルゴリズム」によって時間の矢が逆転すると、「地球上の生物が一瞬にして消える」ってニールが言う場面があるんだけど、なんでだ?時間の矢が逆転したからって、生物が一瞬にして消える理屈が分からん。また別の場面でプリヤが、「未来の科学者は、アルゴリズムで自分たちを消滅させると云々(云々の部分はちゃんと覚えてない)」って言ってるんだけど、「アルゴリズムで自分たちを消滅させる」って何?どゆこと?
僕の中で「アルゴリズム」というのは、その具体的な仕組みは不明だけど、「それを起動することで、世の中のほとんどのものが時間を逆行する」というもので、それによって「逆行していく世界が真の世界の流れ」という風に未来人はしたがってる、ってことなんだと思ってたんだけど、でもそうだとすると困る気もする。よく分からないけど、セイターは「自らの死を持って世界の時間を反転させる」ことを目論んでたと思う。とすれば、セイターの死以降の未来はやってこない、ってことにならないか?となると、そもそもアルゴリズムを作った科学者も生まれない、みたいな。「祖父殺しのパラドックス」の逆バージョンみたいなことが起こりそうな気がする。ただ、「時間の流れは逆行するから未来はやってこないんだけど、やってこないだけで存在はする」みたいなアクロバティックな解釈もあり得るかな、という気もする。
さて色々書いたけど、次が最後。とにかく二回見ても僕が全然理解できなかったのは、「何故扉から二人同時に出てくるか問題」です。キャットが撃たれた場面では、セイターが同時に消え、オスロ空港では、主人公が同時に現れます。この仕組みが、僕にはいくら考えてもしっくりこない。
【図解】知れば知る程面白い"TENET/テネット" 徹底解説・考察 -「TENET」の意味やラストシーンを解説 ※ネタバレ有り
https://note.com/keieisya5/n/ne32e6a54682b
上記のブログに、図入りで説明があるんだけど、これを読んでも分かんないんだよなぁ。
そもそも、あの回転扉にはどうして入口/出口が2つないといけないのかが分からない。例えば、扉を開けて入って閉めて、しばらくして同じ扉を開けて外に出る、みたいな装置だと何か不都合があるんだろうか?あるいは、扉が一直線上に2つある、みたいなパターンでもいい。扉を開けて入って閉めて、そのまま真っすぐ歩いて次の扉を開けると反転してる、とか。映画の設定だと、部屋の仕切りがガラスになってて、そこに映る/映らないが問題になるんだけど、一直線上にある2つの扉ならそんな問題も起こらないでしょう。
もちろん、回転扉がああいう構造になってるのは、「出入り時の人の姿をガラス越しに確認する必要があるから」なのかもしれません。実際アイブスが、「回転扉に入る前に、ガラスに自分の姿が映るか見ておけ。映ってないのに入ったら出られなくなるぞ」と言うので、この「テネット」の世界ではそうなんだろうけど、そうである必然性が物理的によくわかりませんでした。
「TENET テネット」の回転扉は「世界の時間を反転させる装置」ではない(はず…という考察)
http://blacknightgo.blog.fc2.com/?no=4049
以前自分の記事でも書きましたけど、僕はこの回転扉を「物質⇔反物質反転装置」だと思ってるので、そういう解釈でもよくわからないし、「時間反転装置」と考えてもよくわかりません。「どうして同じ人間が同時に出てくるのか問題」は、誰か易しく解説してほしいなぁ。
まあそんなわけで、二回目は一回目とまったく違った観方の出来る映画でした。まだまだ謎は満載だけど、後はまた、色んな人の考察をチェックしようと思います!
「TENET テネット」を観に行ってきました(二度目)
しかし、二回目はやっぱり全然違う観方が出来て面白かった。一回目は、とにかく設定を理解するのに精一杯で(しかも、理解しようとして全然出来なくて、映画を観た後で死ぬほど考えた)、それ以外の部分に着目する余裕はほぼなかった。また、物語を最後まで知っているから、どのシーンのどれが後々重要なのかということを取捨選択しながら観れるので、そういう意味でも他の部分に着目する余裕があった。
僕が二回目の鑑賞で特に観ようと思っていたのは、「役者が逆の動きをしているだろう場面」。CG嫌いで有名なクリストファー・ノーラン作らしく、やはり今作も可能な限りCGを使っていないという。つまり、「世界の時間が逆行している状態で、主人公たちが順行している場面」も、もちろんCGなしということだ。これを映像的に実現するには、「映画で順行しているように見える人には実際には逆行で演技をしてもらい、映画で逆行しているように見える人には順行で演技をしてもらい、それを逆再生している」としか考えられない。
そういう理解の元、「ここは逆再生で撮ってる」と思う部分の役者の動きを注視していた。逆再生の場面は、割と簡単に分かる。CGを使っていないことを前提とすれば、砂埃や放水や炎を逆に動かすことは不可能だから、そういうものが逆に動いている場面は、実際には役者が逆行の演技をしているということだ。
そういう視点で観ると、主人公が初めて逆行の世界を体験する場面は、感動的だった。
※以下、ネタバレを気にせずにあれこれ書くので、知りたくない方は読まないでください
映画的には、こういう場面だ。酸素マスクをつけた主人公が目を閉じている場面から始まり、目を開け、前に向かって歩きながら、世界の不思議な動きを見ている。水たまりに足を突っ込むと、水が変な動きをする。もちろん、風に吹かれた煙は逆に動き、鳥も逆に飛んでいる。主人公はそのまま、車に乗り込む、というシーンだ。
実際にはこれを、車に乗っている場面から初めて、すべて逆の動きをしながら、最後目をつぶる、というところで終わる、という風に撮っているはずだ。
一回目を観た後、考察サイトやらなんやらを色々漁ったのだけど、その時に、主人公のインタビューも見かけた。そこでは、「まばたきが一番難しかった」と書かれていた。要するに、逆再生した時に自然なまばたきに見えるような動きを習得するのが難しかった、ということだ。その難しさについては理解が及ばないが、しかし、この主人公が初めて逆行の世界に触れる場面は、逆行の演技をしてるとはまったく思えないほどの自然さだったので、それに感動した。
同じく、逆行の演技で凄いと思ったのは、同じく主人公が船の上で懸垂をしている場面。あれも、船そのものも後ろに進んでいるし、鳥も逆行してるから、主人公が逆行の演技をしてるはずなんだけど、普通の懸垂にしか見えなかった。これも、分からないけど、逆行の演技で懸垂をナチュラルに見せるには、普段しないような動きをしなきゃいけないだろうから、結構大変だったんじゃないかなぁ、と思う。
また、逆行の演技で言えば、致し方ない部分はあるが、最後の10分間の挟撃作戦中の動きについては、「不自然な人もいるな~」と感じることも結構あった。まあ、「戦場での動き」っていうのは割と激しいものだから逆行の演技は難しいだろうし、主人公一人が逆行の演技をするんじゃなくて、超大勢が一斉に逆行の演技をし、しかも火薬とかもバンバン爆発させるような、何回もテイクを行えない場面だから、多少しょうがない部分もあるかな、と思う。観てると、「まあさすがにこれは、普通に後ろ向きに歩いてるよね」と分かるような人・場面も結構あるんで、その辺りも面白かった。
また、改めて最初から観ていると、一回目では気にも留めないようなところにいろいろそれらしく示唆するようなものが色々あったなぁ、と思う。冒頭の、主人公が拷問されているシーンで「1時間戻そう」と言ってるのや、インド(だっけ?)の大物に会いたいという話をしてる中で、「10分でいい」と言ったりしてるのは、後々の時間反転や挟撃作戦を示唆してるのかな、と思ったりした。また、考察サイトを見て、「順行は赤、逆行は青」というマークが結構色々あるというので観てたけど、空港の入り口に赤・青のマークがあったり、言われてみれば確かにキャットが赤い服を着てるな、と思ったりしました。
あと、これも一回目では全然分からなかったけど、最初に指令(とも言えないような漠然としたもの)を受け取った際、「言えるのは『TENET』って言葉だけだ」みたいに主人公が言われる理由が二回目でやっと分かった。あれは、自分がこれから関わるべき人かどうか判断するための符丁みたいなものなんですね。英語には詳しくないけど、普通英語では、「主義(Principle)」とか「◯◯主義(~ism)」みたいな言い方をするんでしょう。そんな中で、敢えて「TENET(主義)」という言葉を使う人間は、これから関わるべき人だということなんだろう。たぶん字幕で、「テネット=主義」ってことが分かるように表記されてたと思うんだけど、一回目の時にはたぶんそれをスルーしてて、「テネット」と「主義」があんまり繋がってなかったんだろうな。
二回目で気付いた「矛盾(でもそれは、映像のわかりやすさを優先する工夫)」もあります。カーチェイスのシーンで、順行主人公が、「これエストニア語だろ?」と言う場面があります。実はこれは、逆行の人が喋ってるから言葉が逆再生に聞こえてエストニア語みたいな聞き覚えのない言葉に聞こえる、という演出でした。
でもその後、キャットが撃たれる場面では、逆行セイターの言葉が聞こえてから逆行セイターの口が動く、という描写になります。こちらの場面では、逆行セイターの言葉は逆再生では聞こえず、単純に、「口を動かす→声を発する」という順番が逆になっています。
どちらも、「逆行の人が喋っているのを、順行の人が聞いている」という描写なので、この両者が食い違うのは矛盾だな、と。ただこれは、映像のわかりやすさを優先した工夫だと思いました。電話では、口の動きは見えないから、逆再生させる以外に逆行を体感させられません。一方でキャットが撃たれた場面では、逆行セイターがなんて言ってるのかが伝わらないとストーリーが成立しないので、口の動きが遅れるという描写にしたのでしょう。
それはいいんですけど、僕が気になるのは、実際に時間が反転したら、どちらの現象が起こるのか、ということ。まあ、どちらも起こらないという可能性もあるでしょうけど。
あと、一回目では、「ニールがどうして地下にいて鍵を開けたのか」が分からなかったけど(それがニールだとは分かったけど)、考察サイトを色々読んで、「なるほど!あの最後の場面からさらにニールは逆行するのか!」と驚きました。ただ、何人かの人が書いてたのは、「あの後ニールはどうやって地下に戻ったのか?」という疑問でした。僕としては、爆発の時点で天井に穴が空いてるから、そっから入ればいいんじゃない?と思ったんですけど、違うのかな?確かにそうなると、爆破の時点で地下にいることになって死んじゃいそうだけど、以下のような流れなら行けるんじゃないかと。
(順行視点)「ニール、」「主人公とアイブスが上から降りてきたロープに捕まる」→「彼らが上に引き上げられた瞬間、逆行ニールは起き上がり、既に鍵が掛かってない扉を抜けて、爆心地から離れられるだけ離れる」→「爆発が収まった後、爆心地に戻り、天井から外に出る」
これを逆行ニール視点で見ると、
(逆行ニール視点)「天井から地下に入る」→「爆心地から離れる」→「爆発」→「爆心地に素早く戻る(主人公とアイブスがロープで降りてくる前)」
という流れになって、成立しそうな気がします。
ただあの場面、あまりにも展開が早すぎて、観るの二回目で、何が起こってるのか頭で理解してるはずなのに、誰がどういう動きをしているのかちゃんと理解できてませんでした。もしかしたらニールは、主人公とアイブスがロープで引き上げられる時にはもう爆心地にいなかったんだっけ?(と考察サイトに書いてあるんだよなぁあ)。そうだとすると、上記の流れだと成り立たないのか???もうよくわからなくなってきました。
というわけで、以下ではさらに、物語的によく分からなかった部分を挙げてみます。
まず、主人公がカーチェイスの場面でプルトニウム(実はアルゴリズム)を見て、「なんだこの形状は?」っていう場面があります。これが何に対する驚きなのか、イマイチよく分からないんだよなぁ。だって主人公は、オペラの会場でまったく同じものを目にしてるはず(同じものですよね?)。なんで車の中で、アタッシュケースみたいなのを開けた時、主人公が驚いてるのかよく分かんないんだよなぁ。
あと、船の中での金塊のシーンも謎でした。あの場面で、金塊で殴られてるのって、たぶん、ジャンボジェット機の中の金塊を一つ盗んだ人だと思うんだけど、あれは主人公とかニールの仲間じゃなかったの?なんでセイター側の登場人物として出てきてるんだ?ってかそもそもあの金塊は何?みたいなのもさっぱり謎です。
あと、これは「何を疑問に感じてるのか」もうまく説明できないんだけど、書いてみよう。プリヤが、「アルゴリズムを作った科学者は、何世代も先の人」みたいなことを言ってた。ということは、まあ数百年単位の未来だと思う。で、その科学者は、アルゴリズムを9分割して、世界一管理が厳しい(=安全な)原子力関連施設に隠した、っていうんだけど、そもそもこれが謎。
数百年先の未来に存在する原子力関連施設にアルゴリズムを隠したところで、そのアルゴリズムが過去に行くわけじゃない。そもそも僕は、この「テネット」の世界の中で、どうやったら「モノ」が過去に行くのかよく分かってないけど(だって、仮にそのアルゴリズムをあの回転扉に入れた後、どこかに埋めたって、それが過去に行くとは思えないんだよなぁ)、どっかのシーンで、「セイターはタイムカプセルみたいな場所を使って未来とやり取りしてる」みたいなことを言ってる場面があった。「モノ」を過去に移動させるためにそういうタイムカプセル的なものがあるとして、だったら、そのタイムカプセルにアルゴリズムを9個全部入れてセイターに届けたらいいんじゃないか?わざわざ原子力関連施設に保管しなくたって、そのセイターが知っているタイムカプセル的な場所だって、他の人には知られないような場所なんだから、安全なのでは?まあ確かに、予期せぬ地震とかはあるかもだけど、とはいえ、「原子力関連施設に隠して、アルゴリズムを過去に送る方法」っていうのがいまいちイメージできないからよく分かんない。
という、書いてる自分でもまとまってないな、と思う文章でした。
あと、最後にニールが「僕には何年か前のこと、君には何年か後のこと」みたいに言うシーンがあるんだけど、なんで主人公は「テネット」って組織を作るのにそんな時間を掛けたんだろう?だって別に、あの最後の戦闘が終わってすぐに「テネット」を組織すればいいと思うんだよなぁ。まあこれは、「主人公はすぐテネットを組織したけど、ニールと出会ったのは数年後」という解釈をすれば矛盾はないんだけど。まあそうだとするなら、考察サイトによく書かれている「ニール=マックス説」もちょっとリアリティを増すかも。あの時点ではまだマックスは幼い子供だけど、数年経てば話が出来る状態になってるかも。
あと、これは「アルゴリズム」の詳細がほとんど語られてないから考える糸口もあんまりないんだけど、「アルゴリズム」によって時間の矢が逆転すると、「地球上の生物が一瞬にして消える」ってニールが言う場面があるんだけど、なんでだ?時間の矢が逆転したからって、生物が一瞬にして消える理屈が分からん。また別の場面でプリヤが、「未来の科学者は、アルゴリズムで自分たちを消滅させると云々(云々の部分はちゃんと覚えてない)」って言ってるんだけど、「アルゴリズムで自分たちを消滅させる」って何?どゆこと?
僕の中で「アルゴリズム」というのは、その具体的な仕組みは不明だけど、「それを起動することで、世の中のほとんどのものが時間を逆行する」というもので、それによって「逆行していく世界が真の世界の流れ」という風に未来人はしたがってる、ってことなんだと思ってたんだけど、でもそうだとすると困る気もする。よく分からないけど、セイターは「自らの死を持って世界の時間を反転させる」ことを目論んでたと思う。とすれば、セイターの死以降の未来はやってこない、ってことにならないか?となると、そもそもアルゴリズムを作った科学者も生まれない、みたいな。「祖父殺しのパラドックス」の逆バージョンみたいなことが起こりそうな気がする。ただ、「時間の流れは逆行するから未来はやってこないんだけど、やってこないだけで存在はする」みたいなアクロバティックな解釈もあり得るかな、という気もする。
さて色々書いたけど、次が最後。とにかく二回見ても僕が全然理解できなかったのは、「何故扉から二人同時に出てくるか問題」です。キャットが撃たれた場面では、セイターが同時に消え、オスロ空港では、主人公が同時に現れます。この仕組みが、僕にはいくら考えてもしっくりこない。
【図解】知れば知る程面白い"TENET/テネット" 徹底解説・考察 -「TENET」の意味やラストシーンを解説 ※ネタバレ有り
https://note.com/keieisya5/n/ne32e6a54682b
上記のブログに、図入りで説明があるんだけど、これを読んでも分かんないんだよなぁ。
そもそも、あの回転扉にはどうして入口/出口が2つないといけないのかが分からない。例えば、扉を開けて入って閉めて、しばらくして同じ扉を開けて外に出る、みたいな装置だと何か不都合があるんだろうか?あるいは、扉が一直線上に2つある、みたいなパターンでもいい。扉を開けて入って閉めて、そのまま真っすぐ歩いて次の扉を開けると反転してる、とか。映画の設定だと、部屋の仕切りがガラスになってて、そこに映る/映らないが問題になるんだけど、一直線上にある2つの扉ならそんな問題も起こらないでしょう。
もちろん、回転扉がああいう構造になってるのは、「出入り時の人の姿をガラス越しに確認する必要があるから」なのかもしれません。実際アイブスが、「回転扉に入る前に、ガラスに自分の姿が映るか見ておけ。映ってないのに入ったら出られなくなるぞ」と言うので、この「テネット」の世界ではそうなんだろうけど、そうである必然性が物理的によくわかりませんでした。
「TENET テネット」の回転扉は「世界の時間を反転させる装置」ではない(はず…という考察)
http://blacknightgo.blog.fc2.com/?no=4049
以前自分の記事でも書きましたけど、僕はこの回転扉を「物質⇔反物質反転装置」だと思ってるので、そういう解釈でもよくわからないし、「時間反転装置」と考えてもよくわかりません。「どうして同じ人間が同時に出てくるのか問題」は、誰か易しく解説してほしいなぁ。
まあそんなわけで、二回目は一回目とまったく違った観方の出来る映画でした。まだまだ謎は満載だけど、後はまた、色んな人の考察をチェックしようと思います!
「TENET テネット」を観に行ってきました(二度目)
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