黒夜行

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「風の谷のナウシカ」を観に行ってきました

やっぱり、ジブリ作品って、なんか凄いよなぁ。ナウシカ、ものすごく久々に観たけど、いつの間にか泣いてた。

ナウシカを観て改めて思ったことは、無条件に信じることの凄さだなと思う。

ナウシカは、それが人間であろうが蟲であろうが、関係ない。自分に銃を向けてくる相手であっても、言葉の通じない相手であっても、関係ない。ナウシカは、まず、相手を信じる。

ナウシカに関していえば、結果的にそれでなんとかなった、というだけでしかない。実際にナウシカのように、誰であっても信じるみたいなスタンスで振る舞っていたら命がいくつあっても足りないだろう。ナウシカが生きる世界も、僕らの世界と大差ないと言えばないが、僕らは残念ながら、誰かを疑いながら生きていくしかないのだ。

だからこそ、ナウシカの振る舞いに打たれるんだろうなぁ、という気がする。

風の谷の老人の一人が、「多すぎる火は何も生まない」と言うが、この「火」というのは「核」の意味も含むだろう。ジブリ作品を観ると、いつも「核」と関連付けて考えたくなってしまうけど、結局、「相手も核を持っているかもしれない」という疑心暗鬼が、今の世の中を生んだと言っていいだろう。もちろんそれまでも、戦争や争いはあったわけで、人類の歴史において戦は必然なのだろうけど、「核」の状況は戦の在り方も一変させたはずだ。詳しくはないが、それまでは、騎士道や武士道などのように、戦いにも作法があったはずだ。命の奪い合いをするということは、ある意味で、お互いがその作法を守るという「信頼関係」の上に成り立っていたのだと思う。しかし「核」の存在は、そういう「信頼関係」を完全に無効にした。「核」を持っているということ、あるいは持っているかもしれないということが、前提として「信頼関係」を破壊する行為なのだ。もちろん、大砲などの兵器の進化も関係しているだろうが、「核」という、使用することが世界の破滅を意味するような強大な「火」の存在によって、人類の戦いというものの様相はきっと様変わりしてしまったはずだ。

失われてしまった信頼関係を取り戻すことは、非常に困難だ。そのことを僕らは、自然の脅威という形で実感させられている。

「風の谷のナウシカ」では、文明が崩壊してから1000年後の世界が描かれる。瘴気を出す植物で覆われた腐海は、人間の住める環境ではない。しかし一方で、人間が怪我してきた大地を清浄なものにするために腐海は存在している。しかしそのことを人間は理解しない。

今の自然災害も、腐海の瘴気と同じで、表向き人間に害を成すものであり、その実、狂ったバランスを整えるための自然の調整なのだろうと僕は思う。先日「もののけ姫」を観た時も同じようなことを考えたが、やはり、自然をどう理解するかという人間側の読解能力が著しく衰えたことによって、様々なことが起こっているのだろう。非科学的ではあるが、自然というのは、科学の粋を集めた観測機器によってではなく、巫女や占い師のような存在がファジーに捉えておく方が、実は正確に受け取ることが出来るのかもしれない。

この映画は、その後のジブリ作品よりもメッセージが圧倒的にシンプルな気がしていて、要するに、「腐海と共存するか否かの決断をどうするか」ということだ。「腐海」は、現実世界の様々なものと重ね合わせることが出来るだろう。本来的には共存し得ないと思われるものと共存するか、あるいは、共存し得ないと思われるものを破壊するか。人間は、傲慢で、代償を払わずに破滅できると思い込んでいる。そんなはずがない。代償は常に、誰かが払っている。それは、社会的弱者かもしれないし、これから生まれてくる子供かもしれないし、1000年後の人類かもしれない。

代償など存在しない、という人間の浅ましさが、地球をどんどん破壊しているのだよなあ、と思う。とはいえ僕だって、排気ガスを出す乗り物に乗るし、電気もたくさん使う。文明のある世界から後退することは難しい。だから、残念だけど、僕らが本当に「ヤバさ」を思い知るためには、「腐海」のような存在が生まれ、目に見える形で直接的な実害を与えてくる存在と共存する、という強制的な環境に身を置くしかないのかな、と思う。残念だけど。

内容について今さら書くことはないので省略。

「風の谷のナウシカ」を観に行ってきました
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小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
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13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
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20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

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2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

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5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
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9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
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18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
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新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
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3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
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番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)