僕の姉ちゃん的生活 明日は明日の甘いもの(益田ミリ)
大分昔、まだ僕が20代の前半ぐらいの頃に、益田ミリのコミックエッセイを一冊読んだことがある。その時は(あるいはその本では)、益田ミリの良さがあまり良くわからなかった。
久々に読んでみた益田ミリのエッセイは、メチャクチャ面白かった。これは、僕が年を取ったからなのか、あるいは作品との相性が良かったからなのかは分からないが、感心するような描写が多々あった。
まず、全体の設定から。本書は、姉である「ちはる」と、弟である「順平」が一緒に生活する中で、リビング(だろう)のテーブルで向かい合わせで喋っているだけの話だ。テーブルではない場面もあるが、全体の9割5分はテーブルに差し向かいで座っている。つまり、マンガとしての構図は、ほぼどのページをめくっても変わらない。
これで面白いんだから、凄いよなぁ。
会話は縦横無尽に展開されるが、基本的に、姉ちゃんが突然喋り始め、弟がそれに相槌を打ったり質問したりしながら進んでいく感じ。例えば、最初のマンガの出だしは、姉ちゃんが、
【あー。街をジグザグに進むような恋がしたい】
と弟に向かってボソッと呟くところから始まる。当然弟は、「ジグザグ?」と質問する。そこから、姉の持論が展開され、教訓めいたことを言ったり、オチがついたり、なんじゃそらという話に着地したりと色んな展開を見せる。
その中で僕は、「なるほどなぁ」と感心するようなエッセイが凄く気になった。
例えばこんな感じ。風呂上がりの姉ちゃんが、ビールを飲みながら、「明日デートだからテンションがあがる」と弟に言う。弟としては当然、相手の男がイイ男だからテンションが上がってるんだと考える。しかし姉ちゃんは、「さほどタイプでもないし」と返すのだ。そして、こう言って終わる。
【すっごいいいから!
わたしのお肌の調子が】
弟は「そーゆーもんなんだ」と内心思うのだけど、僕も同じことを思った。へぇ、そーゆーもんなんだ、と。これは、まあまず男にはない発想だろうなぁ、と。
本書ではこんな風に、姉ちゃんと弟の落差みたいなものが、短いコマ割りの中で浮き彫りになる展開が非常に面白いと思う。本書はたぶん、シリーズの中の一作だと思うけど、僕は本書しか読んでいない。本書だけでも十分面白く読める。前作までで、姉ちゃんがどんなキャラだったのか知らないけど、本書での姉ちゃんは、不倫でもいいから恋のときめきを常に狙っている、モテる系の女子感がある。一方弟の順平は、恋愛などあまりすることのない、もっさりした感じの男子感がある。絵からは伝わらないが、彼らの会話から、そういう感じがする。
この両者には、そもそもの性質としてズレがあるのだけど、意外と、他人と価値観がズレていることを認識できる機会というのは多くはない。なんとなくみんな、「相手も自分と同じように考え、感じているだろう」なんて思いながら日々生きているはずだ。しかし彼らは、兄弟である気安さから、普通の男女(恋愛だろうが、友人だろうが)間ではまず話さないような部分まで踏み込んだ話をするし、同じ理由で、普通だったらわざわざ話題にすることもないどーでもいーことも話す。しかしそういう中で、意外と、「あ、そんなところにズレがあったんだ」と気づくようなものが転がっている。
そういうものを、絶妙に見せてくれるところが面白い。
益田ミリが見事なのは、先程の例でいえば、「デートの前日に肌がすごくいいからテンションが上がる」という”発見”をしたことだ。何故これが”発見”なのか。例えばこの事実は、女性からすれば当たり前のことかもしれない。でも、当たり前のことって、割と意識されない。女子の中で当たり前の感覚なのであれば、女子同士でそんな話にもならないかもしれない。当たり前だからだ。しかし男にとってそれは当たり前ではない。そして、女子にとっては当たり前だけど男にとってはそうではない、という事実は、なかなか気づかれにくいと思うのだ。
特にこの「肌がいいからテンション上がる」はそうだと思う。例えばこれが、恋愛におけることであれば、男女間のズレに関する言及は様々にあるだろうと思う。食事代を奢るか割り勘か。何回目のデートでセックスをするか。男が好む服装は何か。こういう情報であれば、山程存在するだろうし、ズレも分かりやすい。しかし、「肌がいいからテンション上がる」は、恋愛そのものの話ではない。デートの前日の話だ。「デートの前日に肌の調子が良いとテンションが上がる」という情報が、他の恋愛に関する情報と同じ程度にすぐ手に入るものだとは思えない。女子にとっては当たり前だろうし、男からしたら別に関心を持つ部分ではないからだ。
だから、そういうものを”発見”しているということに、益田ミリの凄さがあると思うのだ。なんとなく、俳句を連想させるエッセイだ。身近な出来事なのに、誰かが特別描写したことのないものを切り取る、という意味で。
同じようなタイプのものには、「なんかいいこと」と題された、3コマで終わる4つのエッセイがある。これもなんというか、よくそんな小さな”発見”ができるなぁ、と感心するようなものだった。
しかしとはいえ、やはりこのエッセイでは、恋愛の話が多い。しかし、恋愛の話と言っても、「なるほどなぁ」と関心させられるものは多かった。
例えば姉ちゃんはレストランで、男子に、「お水もらってくれる?」とお願いするらしい。当然弟は、「え?そんな簡単なお願いでいいわけ?」というような反応をする。その後の姉ちゃんの回答は秀逸だと思う。
【「女の子のお願いを叶えた」っていうプレゼントをあげるのが効くのよぅ】
ホントに、「なるほどなぁ」と思った。僕は、女性から異性として特別注目される経験はしてこなかったから、上記も含めて、女性からのアプローチを感じるような経験はあまりないのだけど、もし自分がそういう立場だったら、女子側の意図にまったく気づかないまま乗せられそうだなぁ、と思ったりした。
また、「痩せたってほめられても微妙」っていう発言を姉ちゃんがして、それはそれでなるほどという感じだったんだけど、さらに弟が「じゃあ、痩せたことに対してなんて言うのが姉ちゃん的正解なわけ?」みたいなことを聞いた後の姉ちゃんの回答が面白かった。答えはここでは書かないけど、気分的には僕も弟と同じく、「いるかそんなヤツ」と思ってしまう。ただ、理屈としては確かになぁ、と思わざるを得ない。僕はそもそも、人を褒めるのは凄く難しいなと思ってて、それは何故かと言えば、「褒めていない部分を評価していないように受け取られる可能性」が常にあるからだ。一部を切り取って褒めると、その切り取った部分以外は評価していないことになる。でも、じゃあ全体を褒めればいいかというと、それもまた焦点がぼやけて喜ばれない。褒めるというのはなかなか難しいよなぁと、改めて実感させられた。
別のエッセイでは姉ちゃんが、「こっちが好きなのわかってて、わざと冷たくされる恋を終えるときは、むしろアドレスは消さぬ」と弟に宣言している。これも、何故かという理由はここでは書かないが、なるほどなぁ、という感じだ。3コマしかないマンガなのに、メチャクチャ奥深い、姉ちゃんのキャラクターの輪郭がたった3コマでくっきりするようなエッセイだ。
あと、これは男子全員、覚えておいて損はないかもしれない、というやり取りもあった。姉ちゃんが相変わらず弟に突然、
【「明日地球が滅びるとしたら最後にナニ食べたい?」って質問に、胸キュンで返してくれた男がおる】
と言う。その男がなんて言ったのか、ここでは触れないけど、これも「なるほど」という感じだ。さっきから「なるほど」としか書いてないけど、「なるほど」なんだからしょうがない。これ、タイミングを見誤らなければ、非常に秀逸な返しな気がする。まあ、「誰にでもそんなこと言ってるんでしょ」とか言われそうな返しでもあるけど。あと、僕はこんなこと言う勇気はないから言わないけど(笑)
あと、姉ちゃんが最近キュンとした話を弟にする場面があって、そのどちらでも弟は内心、「そんなんでいいのか…」と感じているのだけど、僕もホントそう思った。そんなんでいいのか。でもたぶんこれは、騙されてはいけない話かも、とも思う。というのは、別の箇所で、
【(旅行のお土産でもらったのが)ダサいハンカチでもうれしかったので、恋だと気づきました】
と姉ちゃんが言ってる箇所がある。なんとなく、これがすべてな気がするんだよなぁ。つまり、「行為に対してキュンとしている」のではなく、「気になっている人がしてくれるからキュンとしている」のだろうと。だから、このエッセイに書かれている行為だけ真似しても失敗するかもしれんぞ。
人生訓みたいな話もちょくちょくあって、その中で一番感心したのが、弟が姉ちゃんに、「姉ちゃんって、自分の運、やっぱ強いと思ってるわけ?」と聞いたことから展開する姉ちゃんの持論だ。質問に「は?」と短く返答した姉ちゃんが弟に対して力説する話は、「そうだよなぁ」と思わせる力がある。いや、ホント、その通りですわ。
というような、「なるほど」と思わせる話がる一方で、「よくそんなこと思いつくなぁ」というバカバカしさもある。
【わたしへのお土産やプレゼントをバッグから出してるときの男子たちのうつむいた顔の写真集欲しいな~】
とか、
【「実はわたしヒミツがあるの」で惹きつけたあと、ナニを言うと男子をどきどきさせられるか考え中~】
とか、「なんじゃそら」と思うような話も多々ある。これもまた、バカバカしくて面白い。
この、「なるほど」と「バカバカしい」のバランスが絶妙で、だから肩肘張らずに気楽に読める一方で、時々奥深さをずしりと感じさせるエッセイになっているんだろうな、と思う。
日常を丁寧に観察していないとなかなか見いだせないような、些細なんだけど素通りできないことを、短いコマ数でズバッと描き出す、秀逸なエッセイだと感じました。
益田ミリ「僕の姉ちゃん的生活 明日は明日の甘いもの」
久々に読んでみた益田ミリのエッセイは、メチャクチャ面白かった。これは、僕が年を取ったからなのか、あるいは作品との相性が良かったからなのかは分からないが、感心するような描写が多々あった。
まず、全体の設定から。本書は、姉である「ちはる」と、弟である「順平」が一緒に生活する中で、リビング(だろう)のテーブルで向かい合わせで喋っているだけの話だ。テーブルではない場面もあるが、全体の9割5分はテーブルに差し向かいで座っている。つまり、マンガとしての構図は、ほぼどのページをめくっても変わらない。
これで面白いんだから、凄いよなぁ。
会話は縦横無尽に展開されるが、基本的に、姉ちゃんが突然喋り始め、弟がそれに相槌を打ったり質問したりしながら進んでいく感じ。例えば、最初のマンガの出だしは、姉ちゃんが、
【あー。街をジグザグに進むような恋がしたい】
と弟に向かってボソッと呟くところから始まる。当然弟は、「ジグザグ?」と質問する。そこから、姉の持論が展開され、教訓めいたことを言ったり、オチがついたり、なんじゃそらという話に着地したりと色んな展開を見せる。
その中で僕は、「なるほどなぁ」と感心するようなエッセイが凄く気になった。
例えばこんな感じ。風呂上がりの姉ちゃんが、ビールを飲みながら、「明日デートだからテンションがあがる」と弟に言う。弟としては当然、相手の男がイイ男だからテンションが上がってるんだと考える。しかし姉ちゃんは、「さほどタイプでもないし」と返すのだ。そして、こう言って終わる。
【すっごいいいから!
わたしのお肌の調子が】
弟は「そーゆーもんなんだ」と内心思うのだけど、僕も同じことを思った。へぇ、そーゆーもんなんだ、と。これは、まあまず男にはない発想だろうなぁ、と。
本書ではこんな風に、姉ちゃんと弟の落差みたいなものが、短いコマ割りの中で浮き彫りになる展開が非常に面白いと思う。本書はたぶん、シリーズの中の一作だと思うけど、僕は本書しか読んでいない。本書だけでも十分面白く読める。前作までで、姉ちゃんがどんなキャラだったのか知らないけど、本書での姉ちゃんは、不倫でもいいから恋のときめきを常に狙っている、モテる系の女子感がある。一方弟の順平は、恋愛などあまりすることのない、もっさりした感じの男子感がある。絵からは伝わらないが、彼らの会話から、そういう感じがする。
この両者には、そもそもの性質としてズレがあるのだけど、意外と、他人と価値観がズレていることを認識できる機会というのは多くはない。なんとなくみんな、「相手も自分と同じように考え、感じているだろう」なんて思いながら日々生きているはずだ。しかし彼らは、兄弟である気安さから、普通の男女(恋愛だろうが、友人だろうが)間ではまず話さないような部分まで踏み込んだ話をするし、同じ理由で、普通だったらわざわざ話題にすることもないどーでもいーことも話す。しかしそういう中で、意外と、「あ、そんなところにズレがあったんだ」と気づくようなものが転がっている。
そういうものを、絶妙に見せてくれるところが面白い。
益田ミリが見事なのは、先程の例でいえば、「デートの前日に肌がすごくいいからテンションが上がる」という”発見”をしたことだ。何故これが”発見”なのか。例えばこの事実は、女性からすれば当たり前のことかもしれない。でも、当たり前のことって、割と意識されない。女子の中で当たり前の感覚なのであれば、女子同士でそんな話にもならないかもしれない。当たり前だからだ。しかし男にとってそれは当たり前ではない。そして、女子にとっては当たり前だけど男にとってはそうではない、という事実は、なかなか気づかれにくいと思うのだ。
特にこの「肌がいいからテンション上がる」はそうだと思う。例えばこれが、恋愛におけることであれば、男女間のズレに関する言及は様々にあるだろうと思う。食事代を奢るか割り勘か。何回目のデートでセックスをするか。男が好む服装は何か。こういう情報であれば、山程存在するだろうし、ズレも分かりやすい。しかし、「肌がいいからテンション上がる」は、恋愛そのものの話ではない。デートの前日の話だ。「デートの前日に肌の調子が良いとテンションが上がる」という情報が、他の恋愛に関する情報と同じ程度にすぐ手に入るものだとは思えない。女子にとっては当たり前だろうし、男からしたら別に関心を持つ部分ではないからだ。
だから、そういうものを”発見”しているということに、益田ミリの凄さがあると思うのだ。なんとなく、俳句を連想させるエッセイだ。身近な出来事なのに、誰かが特別描写したことのないものを切り取る、という意味で。
同じようなタイプのものには、「なんかいいこと」と題された、3コマで終わる4つのエッセイがある。これもなんというか、よくそんな小さな”発見”ができるなぁ、と感心するようなものだった。
しかしとはいえ、やはりこのエッセイでは、恋愛の話が多い。しかし、恋愛の話と言っても、「なるほどなぁ」と関心させられるものは多かった。
例えば姉ちゃんはレストランで、男子に、「お水もらってくれる?」とお願いするらしい。当然弟は、「え?そんな簡単なお願いでいいわけ?」というような反応をする。その後の姉ちゃんの回答は秀逸だと思う。
【「女の子のお願いを叶えた」っていうプレゼントをあげるのが効くのよぅ】
ホントに、「なるほどなぁ」と思った。僕は、女性から異性として特別注目される経験はしてこなかったから、上記も含めて、女性からのアプローチを感じるような経験はあまりないのだけど、もし自分がそういう立場だったら、女子側の意図にまったく気づかないまま乗せられそうだなぁ、と思ったりした。
また、「痩せたってほめられても微妙」っていう発言を姉ちゃんがして、それはそれでなるほどという感じだったんだけど、さらに弟が「じゃあ、痩せたことに対してなんて言うのが姉ちゃん的正解なわけ?」みたいなことを聞いた後の姉ちゃんの回答が面白かった。答えはここでは書かないけど、気分的には僕も弟と同じく、「いるかそんなヤツ」と思ってしまう。ただ、理屈としては確かになぁ、と思わざるを得ない。僕はそもそも、人を褒めるのは凄く難しいなと思ってて、それは何故かと言えば、「褒めていない部分を評価していないように受け取られる可能性」が常にあるからだ。一部を切り取って褒めると、その切り取った部分以外は評価していないことになる。でも、じゃあ全体を褒めればいいかというと、それもまた焦点がぼやけて喜ばれない。褒めるというのはなかなか難しいよなぁと、改めて実感させられた。
別のエッセイでは姉ちゃんが、「こっちが好きなのわかってて、わざと冷たくされる恋を終えるときは、むしろアドレスは消さぬ」と弟に宣言している。これも、何故かという理由はここでは書かないが、なるほどなぁ、という感じだ。3コマしかないマンガなのに、メチャクチャ奥深い、姉ちゃんのキャラクターの輪郭がたった3コマでくっきりするようなエッセイだ。
あと、これは男子全員、覚えておいて損はないかもしれない、というやり取りもあった。姉ちゃんが相変わらず弟に突然、
【「明日地球が滅びるとしたら最後にナニ食べたい?」って質問に、胸キュンで返してくれた男がおる】
と言う。その男がなんて言ったのか、ここでは触れないけど、これも「なるほど」という感じだ。さっきから「なるほど」としか書いてないけど、「なるほど」なんだからしょうがない。これ、タイミングを見誤らなければ、非常に秀逸な返しな気がする。まあ、「誰にでもそんなこと言ってるんでしょ」とか言われそうな返しでもあるけど。あと、僕はこんなこと言う勇気はないから言わないけど(笑)
あと、姉ちゃんが最近キュンとした話を弟にする場面があって、そのどちらでも弟は内心、「そんなんでいいのか…」と感じているのだけど、僕もホントそう思った。そんなんでいいのか。でもたぶんこれは、騙されてはいけない話かも、とも思う。というのは、別の箇所で、
【(旅行のお土産でもらったのが)ダサいハンカチでもうれしかったので、恋だと気づきました】
と姉ちゃんが言ってる箇所がある。なんとなく、これがすべてな気がするんだよなぁ。つまり、「行為に対してキュンとしている」のではなく、「気になっている人がしてくれるからキュンとしている」のだろうと。だから、このエッセイに書かれている行為だけ真似しても失敗するかもしれんぞ。
人生訓みたいな話もちょくちょくあって、その中で一番感心したのが、弟が姉ちゃんに、「姉ちゃんって、自分の運、やっぱ強いと思ってるわけ?」と聞いたことから展開する姉ちゃんの持論だ。質問に「は?」と短く返答した姉ちゃんが弟に対して力説する話は、「そうだよなぁ」と思わせる力がある。いや、ホント、その通りですわ。
というような、「なるほど」と思わせる話がる一方で、「よくそんなこと思いつくなぁ」というバカバカしさもある。
【わたしへのお土産やプレゼントをバッグから出してるときの男子たちのうつむいた顔の写真集欲しいな~】
とか、
【「実はわたしヒミツがあるの」で惹きつけたあと、ナニを言うと男子をどきどきさせられるか考え中~】
とか、「なんじゃそら」と思うような話も多々ある。これもまた、バカバカしくて面白い。
この、「なるほど」と「バカバカしい」のバランスが絶妙で、だから肩肘張らずに気楽に読める一方で、時々奥深さをずしりと感じさせるエッセイになっているんだろうな、と思う。
日常を丁寧に観察していないとなかなか見いだせないような、些細なんだけど素通りできないことを、短いコマ数でズバッと描き出す、秀逸なエッセイだと感じました。
益田ミリ「僕の姉ちゃん的生活 明日は明日の甘いもの」
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