黒夜行

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「レ・ミゼラブル」を観に行ってきました

いつも、100%の正しさが目の前にあるならいい。
でも、そんなことは、ほとんどない。
大体、何%は正しくて、何%かは間違っている。

その比率がどの程度であれ、「間違っている部分がある」という事実はいくらでも責められる。
実際の比率はともかく、間違っている部分をより大きく見せることも出来る。
ただし、「間違っている」と指摘する側にも、間違っていることはある。
結局相手は、そこをついてくる。

永遠に、終わらない。

「権力」というのは、正しい側を一方的に定める、ということだ。
それは、国家という、とても大きなものを動かしていくためには、ある程度必要だ。
日本でも、「罪を犯した人間を罰する強制力」は、警察しか持てない。国民が、みなその強制力を持ってしまえば、争いが収まることはない。だからそれを、国家が収奪する。
それは、国家という社会の中で生きていく上では、許容しなければならないことだろう。

しかし、どの程度許容しなければならないのか?

【正当な怒りなら?
他に主張する方法がない】

「権力」は、正しさを律するからこそ一方的な正しさを手にできる。しかし「権力」側は次第に、自分たちは権力側だから正しいのだ、と考えるようになる。
権力側にいる自分たちは、何をしても正しいのだ、と。

「権力」側は常に、厳しい目で見られる。当然だ。一方的な正しさを有しているのだから。だからこそ、基本的には、大多数に「正しい」と思われる振る舞いをしなければならない。しかし「権力」側は、あぐらをかいてしまう。どんな振る舞いをしても、「一方的な正しさ」が奪われることはない、と考えている。

だからこそ、「そんなことはない」と思わせる一撃は必要だ。
その一撃は、歴史上、ほとんどの場合、暴力と共にあったという点だけが、残念なところではあるが。


内容に入ろうと思います。
ヴィクトル・ユゴーの「レ・ミゼラブル」の舞台となった街に赴任してきた、警察官のルイス。彼が所属することになったBAC(犯罪対策班)は、クリスが班長、他にグワダがいる3人のチームだ。彼らは街中をパトロールしては、犯罪を取り締まる。クリスは、自分が絶対的に正しいと思っている人物であり、令状のない捜査も臆せずやり、かなり暴力的に事に当たる。そんなクリスに、ルイスは嫌悪の目を向けるが、クリスは彼に、「絶対に謝るなよ」と、パトロールのいろはを教える。
この街の市長は黒人で、市長とBACは対立している。市長もまた粗暴な男であり、自らの利益になることにしか興味がないという、清廉潔白とは程遠い人物だ。
ルイスが赴任した日、サーカス団の面々が車を暴走させて市庁舎まで乗り込んできた。話を聞いてみると、仔ライオンのジョニーが黒人のガキに連れ去られたからさっさと連れ戻せ、ということだった。市長らとサーカス団の面々は一触即発だったが、BACが彼らをとりあえず落ち着かせ、ライオンは探すと言ってサーカス団を帰らせた。
BACの面々はライオンを探すために街中を回るが、やがてSNSに上がっていた写真から、ライオンを盗んだ人物が発覚。急いで彼の元へ向かい、拘束するも、そこで予想外の出来事が起こり…。
というような話です。

とにかく、最初から最後まで胸くそ悪いなぁ、という感じでした。そういう気分になるのが正解の映画なので良いんだけど、「正義ってなんだろうなぁ」と考えさせられました。

この物語には主に、3つの集団がある(正確には4つ目があるんだけど、それは仲裁役なので、ここでは取り上げない)。BAC、市長たち、そして黒人の子供(たち)だ。当初は、市長たちと黒人の子供たちは同じ集団なのかとも思ってたんだけど、市長の私利私欲が強くて、ちょっと同じグループには括れないようだ。

さて、この3つの集団は、程度はともかくとして、全員悪い(ただし、BACのルイスだけはちょっと脇に置いておく)。「悪い」と言い切れる部分も、「良くない」ぐらいにしておきたい部分もあるんだけど、とにかく全員悪い。「間違っている部分」がどの集団も50%以上ある。

しかし、彼らは全員、「自分は正しい」と思っている。ここがとにかく、厄介なのだ。

誰も引かないから、憎悪はずっとぐるぐると回り続けているだけだ。ルイスは、その無意味さをちゃんと理解している。しかし、他の誰も、それを意識しない。子供は、まあしょうがない。まだそのことが理解できなくても、許されるだろう。しかし、大人はどうしようもない。

いつまでもババ抜きをやってる場合じゃない。憎悪という名のババを、自分の手元に残して終わりにする。そういう決断を誰かがしなければ、いつまで経っても終わらない。

まあ、こんな話は、どこにでもあるものだ。この映画は、その構造を、非常にインパクトのある形で描き出していく。正義を体現するためには、「正義とは何か」から意志の統一をはからなければならないということがよく伝わる映画だった。

とにかく、クリスのような人間には胸くそ悪さしか感じないし、ああいう人間が「権力」側にいるのは最悪だ。見ていてずっと、イライラした。いや、映画自体は、面白かったけど。

「レ・ミゼラブル」を観に行ってきました
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2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
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新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
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2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
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18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
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新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
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7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)