黒夜行

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「みぽりん」を観に行ってきました

いやはや、ぶっ飛んだ映画だったなぁ。

まずはざっと内容を。
地下アイドルグループの一員である優花は、絶望的に歌が下手だった。アイドルとしては人気があり、人気投票で1位になったのを機にソロデビューの話が進んでいるが、しかしやはり歌がネックになる。そこで、同じグループの里奈が紹介したボイストレーナー・みほ(みぽりん)の元で特訓をすることになった。場所は六甲山の山奥にある別荘。優花は始めに、よく分からないまま契約書にサインさせられ、翌日から、効果があるのかよく分からないレッスンが始まる。みぽりんは、時々よく分からないところでキレたりして、優花はその姿に怯える。しかし、歌が上手くなりたいという気持ちで、疑念を押し殺しつつレッスンに取り組む。
一方、ソロデビューのお膳立てを整えなければならない、プロデューサーの秋山と、マネージャーの相川は、プロモーションビデオの撮影をどうするか悩んでいた。単純に、費用が高いのだ。そこで、優花ファンの中でも一番熱心な加藤(かとぱん)に撮影を頼むことにした。里奈を代役に立てて撮影の練習をしている最中、秋山とかとぱんが口論になる。その仲裁も兼ねて、4人で飲みに行くことになったのだが、そこでかとぱんは…。
六甲山の別荘に軟禁状態の優花は、次第に狂気が増していくみぽりんに耐えきれず、どうにか脱出を図ろうとするが…。
というような話です。

とにかく、何がどうなるんだかさっぱり想像出来ない物語です。展開が読めないし、なんなら状況も理解できなかったりする。

ただ、なんというのか、物語そのものとか、設定がどうとかいう個別の要素がどうというよりも、作品全体として、「見させられてしまう力」があるなぁ、と思う。その力強さみたいなものがとにかく最初から最後までぶっ飛んでた。

その力が何によって生み出されているのかは、正直よく分からなかったのだけど、やはり「みぽりん」の存在感は大きい。

みぽりんは、とにかく”狂気”なんだけど、”ギリギリ”という感じが絶妙だった。正常と狂気のギリギリのところを歩いているような感じ。実際には完全にアウト側なんだけど、でも、みぽりんを「正常」の枠にはめ込む理屈は、考えようと思えば考えられなくはない、という感じがする。感覚的には「みぽりんは狂ってる」って思うんだけど、理性の部分では、「言ってることは確かにな」とか思ってしまう。

もう少し考えてみると、結局のところ、みぽりんの狂気の発露というのは、その大部分が「行動」に出る。もちろん、価値観とか考え方の部分でもヤバいところはあるんだけど、ただ、そっちは比較的まともな部分もある。ただ、行動がヤバい。だから、みぽりんに”ギリギリ感”みたいなものが生まれる。

そのギリギリ感が、作品が持つ力の源泉のような感じはしました。

非常にステレオタイプ的な描写が、作中に随時挟み込まれていくというのも、みぽりんの狂気性を際立たせる良い背景だったような感じもします。「よくあるよなぁ、こういうシーン」と感じるような、ありきたりと思える場面が結構あるんだけど、でもそれが挟み込まれることで、対比としてみぽりんの狂気は際立つ。

で、さらにですよ、あの「某」ですよ。これについては説明しませんが、ありゃ一体なんなんだ?ストーリー的に、ミステリっぽく作られてないから、「某」が謎めいたままでも消化不良感はないんだけど、でもなんなんだよ!とずっと思ってはいた。あれを最後まで説明せずに作中に出し続ける監督の狂気みたいなのも感じたなぁ。マジで意味が分からんかった。この「某」も、狂気側に引っ張る存在として機能しているなと思いました。

つまり映画全体として、ステレオタイプ的な描写が正常側に、「某」が狂気側に引っ張っていくから、その境界にいるみぽりんがやっぱり目立ってくる、という感じに僕には感じられました。

そんな感じで、映画全体の構造として、正常と狂気の引っ張り合いみたいなことをしていて、その揺らぎが凄いなって思いました。こういう部分が作品の根底にあるから、物語そのものがまっとうに展開しなくても作品を見させられちゃうなぁ、という感じがしました。

さて、こんな説明では何も伝わらないでしょうけど、とりあえず映画そのものの話はここで終わりましょう。次は「応援上映」の話。

僕はこの映画、初めて見たんですけど、その初めて見た日が、「応援上映」の日でした。初めての方も大丈夫、と書いてあったんで行ったんですけど、この映画、「応援上映」で見るって選択肢、結構アリだな、と思いました。これは若干ディスるような感じになっちゃうかもだけど、応援上映なしで普通に見てたら、今日受け取ったみたいな面白さを感じてないかもなぁ、と思ったりもします。

応援上映は、キャストが劇場内にいて率先してツッコミを入れたり、自分の役のセリフを言ったりしていました。もちろん、お客さんも色々言ってました。歌ったり、掛け声を掛けたりと、色んな場面でわーわー言ってて、応援上映ってのが初めてだった僕は、おっこれは面白いかもしれない、と思ったりしました。

特に、キャストや監督たちが、自分たちの映画に随時ツッコんでいく、というのは、映画の見方として面白いなぁ、と思いましたね。撮影中の裏話なんかも挟みこんできたり、役柄になりきって真っ暗な劇場内で場外乱闘のような演技をしたりしていて、なるほどなぁ、と思いました。応援上映って、観客が叫んだりするっていうのはよくあると思うんだけど、キャストや監督が出てくるってのも普通にあるんですかね?僕は、今日が応援上映デビューだったんで一般的な感じを知らないんですけど。この「キャストや監督が上映している映画にツッコんでいく」っていう映画館での上映スタイル、特にインディーズの映画とかでは面白そうだなぁって思いました。まあでも、そんなのとっくに広まってるやり方なのかもしれませんけど。

あと、正直、演技的な部分で言えば、そんなに上手くないよなって人も結構出てくるんだけど、でも、こういう形の応援上映で、キャストたちが凄く楽しそうにしてるのを見ると、まあいっか、って気持ちになったりもします(笑)。そういう、マイナスの部分も補える、という意味で、いいやり方かもしれないな、と思います。

応援上映抜きで、映画単体で評価するとどうなるのか、ちょっと分からないけど、ただ、ぶっ飛んでる映画が好きな人は見た方がいいと思います。

「みぽりん」を観に行ってきました
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6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
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小説・新書以外

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6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
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13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
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2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

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2012年の個人的ベストです
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新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
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14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
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16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
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