黒夜行

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月下の犯罪 一九四五年三月、レヒニッツで起きたユダヤ人虐殺、そして或るハンガリー貴族の秘史(サーシャ・バッチャーニ)

こんなに読めない本は、久々だった。

最初の50ページほどで、もう完全に迷子になってしまった。この本に書いてあることがなんなのか、全然分からなかったのだ。

そこには僕なりに分析して、いくつかの要因がある。

まず、本書をどういう本だと思っていたか、という先入観の問題がある。本書を読む前僕は、「親族が虐殺に関わっているかもしれないという疑惑を調べること」に主眼があるんだと思っていた。つまり、「虐殺事件そのもの」が本書の中心だ、という捉え方だ。

でも読んでみたら、どうもそういう感じではない。本書は「虐殺事件について調べている俺」という「俺」に主眼がある作品だった。

別にそのことそのものを責めたいわけではない。ただ僕は、「虐殺事件」に興味があった。そこに焦点が当たるんだと思ってたんだけど、どうもそうならない。で、「俺」の話ばかり出てくるから、「これは一体なんの話なんだ?」と最初の時点で大きくつまづいてしまったのだ。

本によっては、こういうことはままある。で、冒頭で戸惑って迷子になっても、ある程度軌道修正出来る。通常は。

本書はそれも難しかった。その理由が、本書にはハンガリーの歴史が深く絡みついているからだ。

僕は、中学生でも知っているような歴史の知識すらないぐらい歴史が超苦手だ。さらに、こう言っては申し訳ないけど、恐らく「ハンガリーという国の歴史」というのは、歴史の授業でもそこまで大きく扱わない、結構マイナーな部類なんだと思う。そういう理由もあって、とにかく、本書を読むための前提知識がなさすぎた。「ハンガリーの歴史」という前提知識なしに本書を読むのは不可能で、もちろん、歴史に親和性のある人であれば、本書を読みながらその前提である「ハンガリーの歴史」を理解することは出来るんだと思う。でも僕は、とにかく歴史が超絶苦手なので、歴史の描写が基本的にまったく頭に入らない。これが日本で起こった出来事であれば、まだついていけたかもしれないけど、「ハンガリーの歴史」は、ちょっと僕にはお手上げだった。

さらに本書は、色んな要素が断片的にかなり入り乱れた構成になっている。僕は途中から、本書を斜め読みというか、字面だけ追っている状態だったので、ちゃんと正確には捉えられていないけど、本書にはこういう要素がある。

◯著者が事件について調べる過程
◯著者が精神科医を受診している場面
◯著者の祖母と、その祖母の友人の手記
◯故人たちによる会話(?)

これらが、短い間隔でどんどん切り替わりながら、作品が進んでいく。

この中でも特に、「故人たちによる会話」が謎すぎた。僕はちゃんと理解しているわけではないので憶測だけど、この会話は、「著者の創作」なんだと思う。著者が切り取りたいと思った過去のある場面があって、その場面においてきっとこういう会話がなされていただろう、という会話を著者が創作しているんだろう、と僕は解釈しました(間違っているかもしれません)。

「ハンガリーの歴史」という大前提をまったく取り込めていない段階で、こういう色んな要素が次から次へと出てくるんで、正直わけわからん、という感じになってしまいました。

一応、70ページぐらいまでは、それでもちゃんと読もうと思って頑張りましたが、やっぱりまったく無理で、それ以降はざっと流し読みするだけという読書をしました。最終的に、「親族が関わっていたかもしれない虐殺事件」がどう決着したのかもよく分からないまま、僕の読書は終了しました。

割と諦めないで最後まで読む主義なんですけど、久々に、まったく太刀打ち出来ない本でした。残念。

サーシャ・バッチャーニ「月下の犯罪 一九四五年三月、レヒニッツで起きたユダヤ人虐殺、そして或るハンガリー貴族の秘史」


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小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
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3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
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11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
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コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
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2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
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4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
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新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
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9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
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14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
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17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
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2011年の個人的ベストです
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1位 千早茜「からまる
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1位 「「科学的思考」のレッスン
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番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)