人生にゆとりを生み出す知の整理術(pha)
内容に入ろうと思います。
本書は、「元『日本一のニート』」という肩書の著者が、自身の経験を踏まえつつ、「いかに勉強するか」「いかにアウトプットするか」についてまとめた本だ。
僕はこの著者が結構好きで、何冊か本を読んでるんだけど、基本的には「何もしたくない」「だるい」「疲れた」的なことばっかり書いている。そういう意味で本書は、今までとはちょっと違った基軸の作品といえるだろう。著者はなにかの本で、「本の内容は、その時に考えていたことを書いたもので、後々まで『◯◯の話をしてほしい』とか言われると飽きる」みたいなことを書いてて、それは分かるなと思うんだけど、それはそれとして、そういう著者だからこそ、色んなタイプの作品を書けるのだろう、と思う。
しかし、phaさんの作品を読むといつも思うけど、これは俺が書いた本だっけ?ということだ。勉強や読書に対する考え方が非常に似ていて、そうだよなぁ、普通に考えたらそういう結論に達するよなぁ、というようなことが多く書かれていて、納得してしまう。
例えば「勉強」に関する記述だと、こういうものがある。
【知識があれば避けられる不幸が、人生には結構ある】
【「勉強への抵抗のなさ」で、人生は結構変わる】
【勉強という趣味のよいところは、一生楽しめて役に立つところだ】
【知識は人を自由にする】
僕自身、昔から「勉強」は結構好きで、今でも勉強したいなぁ、とよく思う。どうしても「趣味」の扱いなので、優先順位を高く出来ないのだけど、数学とか物理を学びなおしたいなぁ、と思うし、哲学や経済や政治などについても、もっと知りたいなと思うことはたくさんある。日々色んな本を読んで知識を取り入れてはいるけど、「勉強」という捉え方でやっているわけではないので、やはりちゃんと腰を据えて「勉強」したいな、と思うのだ。
本書は、「勉強術」の本だ。と書くと、受験勉強などを想像するかもしれないが、そうではない。要するに、「知識を血肉化し使えるようにすること」を「勉強」と本書では呼んでいる。そして本書の特徴は、「頑張れない自分」というものを受け入れた上で、どうやって自分を騙しながら勉強するのか、という本だ、ということだ。普通「勉強術」の本だと、効率的にとか、科学的にこういうやり方が一番、みたいな話が出てくるけど、本書はそうじゃない。とりあえず、「勉強というものをなんとか続けるためにどんな風に自分をごまかすか」というところに焦点が当たっていて、そういう意味で普通の「勉強術」とは違う。
本書の場合、勉強することを特別なものだと捉えず、当たり前にやる習慣にすることを目標にしている。そして、「頑張れない自分」を認めている人にはなかなかハードルの高いその地点に向かうために、どういう一歩を踏み出せばいいか、どんな風に次の一歩を出せばいいか、やる気が出ない時はどうしたらいいかなどなど、ハードルの低いアドバイスが書かれている。
普通の「勉強術」の本は、「勉強する姿勢」については、当たり前すぎて書かれないことが多いだろう。「勉強する」ということは当然のこととして、じゃあどうやってやる?ということが書かれていく。しかし本書では、「勉強する姿勢」を当たり前のものとは捉えない。「勉強するのって大変だよね。机に毎日向かうとか辛いよね。暗記とかしんどいよね。分かる」というようなスタンスなのだ。
しかしだからといって、安易な暗記術とか、「これだけやれば!」みたいな怪しい方法を提示したりすることはない。著者は、「勉強にはあくまでも時間が掛かり、根気と忍耐が必要だ」というスタンスは崩さないまま、「その根気と忍耐をちょっとずつ騙し騙し出していくにはどうする?」というようなところから「勉強術」を書いていくのだ。そういう意味で、なかなか珍しいタイプの本だといえると思う。
本書では、大きく分けて「インプット」と「アウトプット」に分けて話が展開されるが、その具体的な話にも共感する部分が多かった。
まず「インプット」については、著者は「紙の本」がベストだと書く。僕もそう思う。そして、「読書」というものに対するスタンスが、結構似ていると思うのだ。
【読書において一番重要なのは、本を読むことを「努力」ではなく、「趣味」とか「ヒマ潰し」とか「なんとなくする習慣」にしてしまうことだ】
【読書というのは、たくさんの文字列の中のどの部分に自分が反応するかを探っていくという、自分探しみたいな行為なのだ】
【こうした評価の差は、別に本以外でも、映画やマンガなどでも存在するものなのだけど、本は特に人による差が大きい。
なぜかというと、本が読み手の想像で埋める余地が大きいメディアだからだ】
【僕も本を書く側の人間なので、「新品を買ってくれたほうがありがたい」という気持ちはある。ただ、新品の本しか買われないとすると、本とか読書の世界が狭くなりすぎると思うのだ。
僕自身、図書館や古本で育った人間なので思うのだけど、図書館や古本などで手軽に読書に親しめる機会があることで、本を読む人が増えるというのは確実にある。】
この辺りのことは、その通りだよなぁ、と思う。特に「読書をヒマ潰しだと思う」という話はその通りで、僕もずっと読書のことを「趣味」ではなくて「ヒマ潰し」だと言い続けてきた。分かるなぁ、と思う。
「アウトプット」についても共感できる話は多い。
【「言語化する」というのは、人間の持っている最も偉大な問題解決能力だ】
【想像力や創造性というのは、限られたリソースの中で何とかやりくりしようとするときに生まれる】
【もしそれほど読者がいなくて一銭にもならなかったとしても、ブログを書くことはやめていなかっただろうと思う。
なぜなら、僕がブログを書くのはあくまで自分のためだからだ】
【大体の場合、いいアイデアというのは、一生懸命何かをやっているときではなく、いったん考えるのをやめて休んでいるときに、フッと出てくるものだ】
【休むときのコツが一つだけある。
それは、「考える材料をすべて頭の中に入れ直してから休む」ということだ】
こういう話も、なるほどなぁ、と思う。特に、「誰にも読まれなくてもブログは書く」っていう話は、僕もその通りだと思う。確かに、誰かに読んでもらう可能性も考えてはいるけど、それでも僕は、自分のためにブログで文章を書き続けている。書くことで整理されるし、また書いている中で「俺ってこんなこと考えてたんだ」と気付ける。文章を書くというのは、「アウトプット」としては最強だと思っているし、だから「自分のため」に書いているという意識でやっている。それが、誰かのためになるならラッキー、というような感覚も、まったく同じだ。
【ググればどんな情報でもすぐに出てくる今の世界では、情報を暗記していることにはほとんど意味がない】
そういう時代に生きている以上、学び続けるという姿勢を失うわけにはいかないな、と思う。そういう中で本書は、低い地点からそこそこの高みを目指そうという「勉強術」について書いているので、割と広く需要があるんじゃないかなと思います。
pha「人生にゆとりを生み出す知の整理術」
本書は、「元『日本一のニート』」という肩書の著者が、自身の経験を踏まえつつ、「いかに勉強するか」「いかにアウトプットするか」についてまとめた本だ。
僕はこの著者が結構好きで、何冊か本を読んでるんだけど、基本的には「何もしたくない」「だるい」「疲れた」的なことばっかり書いている。そういう意味で本書は、今までとはちょっと違った基軸の作品といえるだろう。著者はなにかの本で、「本の内容は、その時に考えていたことを書いたもので、後々まで『◯◯の話をしてほしい』とか言われると飽きる」みたいなことを書いてて、それは分かるなと思うんだけど、それはそれとして、そういう著者だからこそ、色んなタイプの作品を書けるのだろう、と思う。
しかし、phaさんの作品を読むといつも思うけど、これは俺が書いた本だっけ?ということだ。勉強や読書に対する考え方が非常に似ていて、そうだよなぁ、普通に考えたらそういう結論に達するよなぁ、というようなことが多く書かれていて、納得してしまう。
例えば「勉強」に関する記述だと、こういうものがある。
【知識があれば避けられる不幸が、人生には結構ある】
【「勉強への抵抗のなさ」で、人生は結構変わる】
【勉強という趣味のよいところは、一生楽しめて役に立つところだ】
【知識は人を自由にする】
僕自身、昔から「勉強」は結構好きで、今でも勉強したいなぁ、とよく思う。どうしても「趣味」の扱いなので、優先順位を高く出来ないのだけど、数学とか物理を学びなおしたいなぁ、と思うし、哲学や経済や政治などについても、もっと知りたいなと思うことはたくさんある。日々色んな本を読んで知識を取り入れてはいるけど、「勉強」という捉え方でやっているわけではないので、やはりちゃんと腰を据えて「勉強」したいな、と思うのだ。
本書は、「勉強術」の本だ。と書くと、受験勉強などを想像するかもしれないが、そうではない。要するに、「知識を血肉化し使えるようにすること」を「勉強」と本書では呼んでいる。そして本書の特徴は、「頑張れない自分」というものを受け入れた上で、どうやって自分を騙しながら勉強するのか、という本だ、ということだ。普通「勉強術」の本だと、効率的にとか、科学的にこういうやり方が一番、みたいな話が出てくるけど、本書はそうじゃない。とりあえず、「勉強というものをなんとか続けるためにどんな風に自分をごまかすか」というところに焦点が当たっていて、そういう意味で普通の「勉強術」とは違う。
本書の場合、勉強することを特別なものだと捉えず、当たり前にやる習慣にすることを目標にしている。そして、「頑張れない自分」を認めている人にはなかなかハードルの高いその地点に向かうために、どういう一歩を踏み出せばいいか、どんな風に次の一歩を出せばいいか、やる気が出ない時はどうしたらいいかなどなど、ハードルの低いアドバイスが書かれている。
普通の「勉強術」の本は、「勉強する姿勢」については、当たり前すぎて書かれないことが多いだろう。「勉強する」ということは当然のこととして、じゃあどうやってやる?ということが書かれていく。しかし本書では、「勉強する姿勢」を当たり前のものとは捉えない。「勉強するのって大変だよね。机に毎日向かうとか辛いよね。暗記とかしんどいよね。分かる」というようなスタンスなのだ。
しかしだからといって、安易な暗記術とか、「これだけやれば!」みたいな怪しい方法を提示したりすることはない。著者は、「勉強にはあくまでも時間が掛かり、根気と忍耐が必要だ」というスタンスは崩さないまま、「その根気と忍耐をちょっとずつ騙し騙し出していくにはどうする?」というようなところから「勉強術」を書いていくのだ。そういう意味で、なかなか珍しいタイプの本だといえると思う。
本書では、大きく分けて「インプット」と「アウトプット」に分けて話が展開されるが、その具体的な話にも共感する部分が多かった。
まず「インプット」については、著者は「紙の本」がベストだと書く。僕もそう思う。そして、「読書」というものに対するスタンスが、結構似ていると思うのだ。
【読書において一番重要なのは、本を読むことを「努力」ではなく、「趣味」とか「ヒマ潰し」とか「なんとなくする習慣」にしてしまうことだ】
【読書というのは、たくさんの文字列の中のどの部分に自分が反応するかを探っていくという、自分探しみたいな行為なのだ】
【こうした評価の差は、別に本以外でも、映画やマンガなどでも存在するものなのだけど、本は特に人による差が大きい。
なぜかというと、本が読み手の想像で埋める余地が大きいメディアだからだ】
【僕も本を書く側の人間なので、「新品を買ってくれたほうがありがたい」という気持ちはある。ただ、新品の本しか買われないとすると、本とか読書の世界が狭くなりすぎると思うのだ。
僕自身、図書館や古本で育った人間なので思うのだけど、図書館や古本などで手軽に読書に親しめる機会があることで、本を読む人が増えるというのは確実にある。】
この辺りのことは、その通りだよなぁ、と思う。特に「読書をヒマ潰しだと思う」という話はその通りで、僕もずっと読書のことを「趣味」ではなくて「ヒマ潰し」だと言い続けてきた。分かるなぁ、と思う。
「アウトプット」についても共感できる話は多い。
【「言語化する」というのは、人間の持っている最も偉大な問題解決能力だ】
【想像力や創造性というのは、限られたリソースの中で何とかやりくりしようとするときに生まれる】
【もしそれほど読者がいなくて一銭にもならなかったとしても、ブログを書くことはやめていなかっただろうと思う。
なぜなら、僕がブログを書くのはあくまで自分のためだからだ】
【大体の場合、いいアイデアというのは、一生懸命何かをやっているときではなく、いったん考えるのをやめて休んでいるときに、フッと出てくるものだ】
【休むときのコツが一つだけある。
それは、「考える材料をすべて頭の中に入れ直してから休む」ということだ】
こういう話も、なるほどなぁ、と思う。特に、「誰にも読まれなくてもブログは書く」っていう話は、僕もその通りだと思う。確かに、誰かに読んでもらう可能性も考えてはいるけど、それでも僕は、自分のためにブログで文章を書き続けている。書くことで整理されるし、また書いている中で「俺ってこんなこと考えてたんだ」と気付ける。文章を書くというのは、「アウトプット」としては最強だと思っているし、だから「自分のため」に書いているという意識でやっている。それが、誰かのためになるならラッキー、というような感覚も、まったく同じだ。
【ググればどんな情報でもすぐに出てくる今の世界では、情報を暗記していることにはほとんど意味がない】
そういう時代に生きている以上、学び続けるという姿勢を失うわけにはいかないな、と思う。そういう中で本書は、低い地点からそこそこの高みを目指そうという「勉強術」について書いているので、割と広く需要があるんじゃないかなと思います。
pha「人生にゆとりを生み出す知の整理術」
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