営業と詐欺のあいだ(坂口孝則)
内容に入ろうと思います。
本書は、製造業の現役バイヤーであり、「購買ネットワーク会」幹事で、数千人の営業マンからの売り込みを経験したことで「本当に書いたくなる営業テクニック」に精通している、という著者による本です。
本書を読んで、「まあ知識としては知ってることである」ということが結構多かったな、と思います。
もちろん、あらかじめ書いておきますが、「知識として知っていること」と「実際に出来ること」のあいだにはべらぼうな差があります。なので、僕が本書に書いてあるようなことを「知っている」からと言って、凄い営業が出来るわけでもないし、詐欺に騙されないわけでもないでしょう。
本書ではまず、「営業」的なテクニックが描かれるが、細かく色々書くのではなく、本質的な部分をまとめるような形で書いているので、まあそうだよなぁ、という感じでした。本書に書かれているようなことを考えたことがない人もいるでしょう。例えば本書には、『三流のセールスマンは、とにかく自社商品を詳しく語ります』と書いてあります。理解している人からすれば常識でしょうが、お客さんは「商品の情報」を知りたいのではなくて、「その商品を買ったら私がどうなるのか」を知りたいわけです。そういう、超基本的な部分も知らない、という人には、参考になるでしょう。
で、本書の「売るテクニック」をさらにざっくりとまとめると、
・相手を理解すること
・相手に「理解した」と思わせること
の2つに集約されると言っていいでしょう。これが出来る人が、色んなものをバシバシ売ることが出来るわけです。
そしてこの鉄則は、裏返しで「詐欺」にも使えるわけです。特に、『相手に「理解した」と思わせること』が出来ると、高い確率で相手を騙すことが出来るでしょう。
で、僕が本書の中で最も大事だと思うのは、「詐欺的手法」についてでしょう。これについても、本書じゃなければ手に入らないという情報ではないでしょうが、「営業」の裏返し的な見方で「詐欺」を捉える、という本書の形式は、一般的な本と比べて「詐欺」的な犯罪に対して“感情的ではない”感じがするので(巧い表現ではないんですけど、これぐらいしか思い浮かびませんでした)、そういう意味で本書は結構良いんじゃないかと思います。
詐欺的手法については本当に、様々なパターンがあります。本書は2008年の本なので、その後10年間だけでも、新たな詐欺はボコボコ生まれてきていることでしょう。ただ本書では、やはり詐欺的手法を、個別のケースを紹介するというよりは、「営業」的な視点からより本質的な部分を探り出す、というやり方をしているので、割と普遍的に使える可能性はあるなぁ、と思っています。
個人的には、そこまで響く本ではありませんでしたが、本書の中で一番面白いと感じた部分を抜き出して終わりにしますね。
『ちなみに、中国では最初の「値下げさせた」という感情をお客に抱かせることが非常に大切です。デパートで値下げしてもらったとしますよね。そうしたら店員は怒ったかのような顔で商品を渡します。これは「店員が安く売りすぎて、悔しがっている」と、お客に思わせる一つの礼儀なのです』
国が違えば文化が違うもんだなぁ、と改めて感じさせる話だなと思いました。
坂口孝則「営業と詐欺のあいだ」
本書は、製造業の現役バイヤーであり、「購買ネットワーク会」幹事で、数千人の営業マンからの売り込みを経験したことで「本当に書いたくなる営業テクニック」に精通している、という著者による本です。
本書を読んで、「まあ知識としては知ってることである」ということが結構多かったな、と思います。
もちろん、あらかじめ書いておきますが、「知識として知っていること」と「実際に出来ること」のあいだにはべらぼうな差があります。なので、僕が本書に書いてあるようなことを「知っている」からと言って、凄い営業が出来るわけでもないし、詐欺に騙されないわけでもないでしょう。
本書ではまず、「営業」的なテクニックが描かれるが、細かく色々書くのではなく、本質的な部分をまとめるような形で書いているので、まあそうだよなぁ、という感じでした。本書に書かれているようなことを考えたことがない人もいるでしょう。例えば本書には、『三流のセールスマンは、とにかく自社商品を詳しく語ります』と書いてあります。理解している人からすれば常識でしょうが、お客さんは「商品の情報」を知りたいのではなくて、「その商品を買ったら私がどうなるのか」を知りたいわけです。そういう、超基本的な部分も知らない、という人には、参考になるでしょう。
で、本書の「売るテクニック」をさらにざっくりとまとめると、
・相手を理解すること
・相手に「理解した」と思わせること
の2つに集約されると言っていいでしょう。これが出来る人が、色んなものをバシバシ売ることが出来るわけです。
そしてこの鉄則は、裏返しで「詐欺」にも使えるわけです。特に、『相手に「理解した」と思わせること』が出来ると、高い確率で相手を騙すことが出来るでしょう。
で、僕が本書の中で最も大事だと思うのは、「詐欺的手法」についてでしょう。これについても、本書じゃなければ手に入らないという情報ではないでしょうが、「営業」の裏返し的な見方で「詐欺」を捉える、という本書の形式は、一般的な本と比べて「詐欺」的な犯罪に対して“感情的ではない”感じがするので(巧い表現ではないんですけど、これぐらいしか思い浮かびませんでした)、そういう意味で本書は結構良いんじゃないかと思います。
詐欺的手法については本当に、様々なパターンがあります。本書は2008年の本なので、その後10年間だけでも、新たな詐欺はボコボコ生まれてきていることでしょう。ただ本書では、やはり詐欺的手法を、個別のケースを紹介するというよりは、「営業」的な視点からより本質的な部分を探り出す、というやり方をしているので、割と普遍的に使える可能性はあるなぁ、と思っています。
個人的には、そこまで響く本ではありませんでしたが、本書の中で一番面白いと感じた部分を抜き出して終わりにしますね。
『ちなみに、中国では最初の「値下げさせた」という感情をお客に抱かせることが非常に大切です。デパートで値下げしてもらったとしますよね。そうしたら店員は怒ったかのような顔で商品を渡します。これは「店員が安く売りすぎて、悔しがっている」と、お客に思わせる一つの礼儀なのです』
国が違えば文化が違うもんだなぁ、と改めて感じさせる話だなと思いました。
坂口孝則「営業と詐欺のあいだ」
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