スーツに効く筋トレ(Testosterone)
まず、本書を読んで一番違和感を覚える部分について触れよう。
それは、「人は誰もがバリバリ仕事をして、強気でアクティブで、成功を目指さなければならない」というスタンスだ。
そうだろうか?
上で書いたような価値観というのは、いわゆる「アメリカらしい価値観」なんだろうなと、詳しく知らないけど感じる。アメリカ人にも色んな人がいるとは思うんだけど、アメリカのスポーツマンとかエリートビジネスマンとかは、こういうイメージが強い。本書にも、そう感じさせるような文章はある。アメリカでは、「デブ」「ガリガリ」は自己管理ができないダメ人間とみなされる、という話の中にこんな文章がある。
【アメリカではスポーツや筋トレが強さや男の象徴となっているので、これらをやっていないガリガリな人は「男としてプライドがあるのか?」「人生を諦めているのか?」と思われてしまう。もちろんアートや文学などを極めている人間は別だが、日本よりもガリガリを軽蔑する傾向はずっと強いと知るべし】
まあ、それがアメリカの価値観なんだ、と言われれば、そうなんだと思うしかないけど、個人的には、ほっといてくれ、という感じではある。「男としてプライドがなきゃいけないんですか?」「人生諦めちゃいけないんですか?」と思ってしまうので、僕のような人間には、著者の言っていることは特に響かない。
本書は、「スーツに効く筋トレ」というタイトルだし、著者は、そういう方向で本をまとめてほしいというディレクションを受けて本書を書いているのかもしれない。もしそうだとすれば、それは著者の責任ではないわけだから批判しすぎるのもどうかとは思うけど、個人的には、バリバリ仕事をして、強気でアクティブで、成功を目指すんじゃない人にも筋トレがどう有効なのかを書いてくれたら、もう少し共感しやすいだろうなぁ、という気はしました。日本人で、本書の著者の主張を読んで、「なるほどそうか!ビジネスマンたるものやっぱり筋トレだな!」と思える人が、どれぐらいいるんだろう?それよりは、「毎日仕事に疲弊していて、家族との関係も良好ではなくて、休日やる趣味も特になくて、人間関係もそこまで充実していない人」が筋トレをしたらどうなるか、的な話の方が、受け入れられやすいんじゃないかなぁ。
本を書く上で、読者対象をグッと絞ること自体はとても良いことだと思っているから、本書の方向性が必ずしも間違っているとは言えないけど、本書では、「読者対象を絞る行為」と「これが人生における唯一無二の正解だという断言」とがごちゃっとなってるから、違和感を覚える人が多いんじゃないかなぁ、と感じました。
さて、そういう前提の上で、「人は誰もがバリバリ仕事をして、強気でアクティブで、成功を目指さなければならない」と思っている人には、非常にベストな本だと思います。そういう生き方をしたい人は、ビジネスの能力を高めるために「◯◯メソッド」的なビジネス書を読んだりセミナーに言ったり、あるいは人脈を広げるべくパーティーやSNSを駆使したりするんだろうけど、そういう努力よりも「筋トレをメッチャ頑張る」というやり方の方が有効かもしれない、と感じました。
確かに、「筋トレ」は様々な効果がありそうです。
・自信のある見た目を作れる
・自己管理能力があることを証明できる
・「筋トレ」はPDCAの繰り返しだからバカには出来ない
・一緒に筋トレすれば、エグゼクティブと仲良くなれるし、その人の本質も見える
・筋トレ野郎は、金を使わないし、浮気する時間もないから、交際相手としてベスト
・テストステロンというホルモンが精神安定剤の代わりになる
こういう部分については、なるほど、有益だと感じる人もいるだろうなぁ、と思いました。ビジネスで成功したい人には、きちんと努力すれば必ず結果を出せるという意味で、非常に手を出しやすい方法かもしれません。
あと、筋トレをしない理由として、「ムキムキになりたくない」を挙げる人がいることに対して、こんな反論をしていて面白いと思いました。
【もうひとつ、「筋肉ムキムキのゴツい体になりたくないから、筋トレはしません」という者もいるが、これも愚の骨頂。それは小学生が「物理学者になる気はないので算数はやりません」と言って勉強しなかったり、「プロのレーサーになる気はないので免許は取りません」と言い放ったりするくらい的外れだ。
おそらく、ボディビルダーのような肉体を塑造しているのだと思うが、筋肉はそう簡単につかないし、そう簡単にゴツくはならない。】
なるほどわかりやすい気がする!という感じがしました。
あと、「筋トレは毎日してはいけない」というのを理由をつけて説明していたり、カロリーを考えた食事とか(これも、細部にはこだわらなくていい、っていう書き方だからハードルは低め)、どうトレーニングしたらいいかという具体的な方法も書いているので、「筋トレを始めたい」と思っている人にも最適な一冊だと思う。著者は、自宅でも出来るけど、ちゃんと筋トレをしたいならジムに行け、と言っているんで、そこはちょっとハードル高いかもだけど、でも、自宅で出来るプログラムについてもちゃんと書いています。
僕自身は、本書を読んでも「筋トレやろう!」とは思えないけど(笑)、本書に合う読者はいるだろうと思います。
Testosterone「スーツに効く筋トレ」
それは、「人は誰もがバリバリ仕事をして、強気でアクティブで、成功を目指さなければならない」というスタンスだ。
そうだろうか?
上で書いたような価値観というのは、いわゆる「アメリカらしい価値観」なんだろうなと、詳しく知らないけど感じる。アメリカ人にも色んな人がいるとは思うんだけど、アメリカのスポーツマンとかエリートビジネスマンとかは、こういうイメージが強い。本書にも、そう感じさせるような文章はある。アメリカでは、「デブ」「ガリガリ」は自己管理ができないダメ人間とみなされる、という話の中にこんな文章がある。
【アメリカではスポーツや筋トレが強さや男の象徴となっているので、これらをやっていないガリガリな人は「男としてプライドがあるのか?」「人生を諦めているのか?」と思われてしまう。もちろんアートや文学などを極めている人間は別だが、日本よりもガリガリを軽蔑する傾向はずっと強いと知るべし】
まあ、それがアメリカの価値観なんだ、と言われれば、そうなんだと思うしかないけど、個人的には、ほっといてくれ、という感じではある。「男としてプライドがなきゃいけないんですか?」「人生諦めちゃいけないんですか?」と思ってしまうので、僕のような人間には、著者の言っていることは特に響かない。
本書は、「スーツに効く筋トレ」というタイトルだし、著者は、そういう方向で本をまとめてほしいというディレクションを受けて本書を書いているのかもしれない。もしそうだとすれば、それは著者の責任ではないわけだから批判しすぎるのもどうかとは思うけど、個人的には、バリバリ仕事をして、強気でアクティブで、成功を目指すんじゃない人にも筋トレがどう有効なのかを書いてくれたら、もう少し共感しやすいだろうなぁ、という気はしました。日本人で、本書の著者の主張を読んで、「なるほどそうか!ビジネスマンたるものやっぱり筋トレだな!」と思える人が、どれぐらいいるんだろう?それよりは、「毎日仕事に疲弊していて、家族との関係も良好ではなくて、休日やる趣味も特になくて、人間関係もそこまで充実していない人」が筋トレをしたらどうなるか、的な話の方が、受け入れられやすいんじゃないかなぁ。
本を書く上で、読者対象をグッと絞ること自体はとても良いことだと思っているから、本書の方向性が必ずしも間違っているとは言えないけど、本書では、「読者対象を絞る行為」と「これが人生における唯一無二の正解だという断言」とがごちゃっとなってるから、違和感を覚える人が多いんじゃないかなぁ、と感じました。
さて、そういう前提の上で、「人は誰もがバリバリ仕事をして、強気でアクティブで、成功を目指さなければならない」と思っている人には、非常にベストな本だと思います。そういう生き方をしたい人は、ビジネスの能力を高めるために「◯◯メソッド」的なビジネス書を読んだりセミナーに言ったり、あるいは人脈を広げるべくパーティーやSNSを駆使したりするんだろうけど、そういう努力よりも「筋トレをメッチャ頑張る」というやり方の方が有効かもしれない、と感じました。
確かに、「筋トレ」は様々な効果がありそうです。
・自信のある見た目を作れる
・自己管理能力があることを証明できる
・「筋トレ」はPDCAの繰り返しだからバカには出来ない
・一緒に筋トレすれば、エグゼクティブと仲良くなれるし、その人の本質も見える
・筋トレ野郎は、金を使わないし、浮気する時間もないから、交際相手としてベスト
・テストステロンというホルモンが精神安定剤の代わりになる
こういう部分については、なるほど、有益だと感じる人もいるだろうなぁ、と思いました。ビジネスで成功したい人には、きちんと努力すれば必ず結果を出せるという意味で、非常に手を出しやすい方法かもしれません。
あと、筋トレをしない理由として、「ムキムキになりたくない」を挙げる人がいることに対して、こんな反論をしていて面白いと思いました。
【もうひとつ、「筋肉ムキムキのゴツい体になりたくないから、筋トレはしません」という者もいるが、これも愚の骨頂。それは小学生が「物理学者になる気はないので算数はやりません」と言って勉強しなかったり、「プロのレーサーになる気はないので免許は取りません」と言い放ったりするくらい的外れだ。
おそらく、ボディビルダーのような肉体を塑造しているのだと思うが、筋肉はそう簡単につかないし、そう簡単にゴツくはならない。】
なるほどわかりやすい気がする!という感じがしました。
あと、「筋トレは毎日してはいけない」というのを理由をつけて説明していたり、カロリーを考えた食事とか(これも、細部にはこだわらなくていい、っていう書き方だからハードルは低め)、どうトレーニングしたらいいかという具体的な方法も書いているので、「筋トレを始めたい」と思っている人にも最適な一冊だと思う。著者は、自宅でも出来るけど、ちゃんと筋トレをしたいならジムに行け、と言っているんで、そこはちょっとハードル高いかもだけど、でも、自宅で出来るプログラムについてもちゃんと書いています。
僕自身は、本書を読んでも「筋トレやろう!」とは思えないけど(笑)、本書に合う読者はいるだろうと思います。
Testosterone「スーツに効く筋トレ」
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