春宵十話(岡潔)
古典は苦手だ、古典は苦手だ、という話をずっとしていて、未だに苦手なのだけど、「数学者が書いたものなら、古典と呼ばれているものでも大丈夫なんじゃないか?」と思って読んでみたんだけど、やっぱり苦手なままだったなぁ。
「古典だ」って気負うから(気負ってるつもりはないんだけど)読めないのか、それとも文章のトーンとか一世代前の価値観とかが合わないのか、はたまた別の理由があるのか。その辺りのことはよく分からないんだけど、やっぱりこの作品も、「読めないなぁ…」と思いながら、とりあえず文字だけ追っていました。
個人的に面白いなと思った記述は二つ。
【よく人から数学をやって何になるのかと聞かれるが、私は春の野に咲くスミレはただスミレらしく咲いているだけでいいと思っている。咲くことがどんなによりことであろうとなかろうと、それはスミレのあずかり知らないことだ。咲いているのといないのとではおのずから違うというだけのことである。私についていえば、ただ数学を学ぶ喜びを食べて生きているというだけである。そしてその喜びは「発見の喜び」にほかならない】
【また、数学と物理は似ていると思っている人があるが、とんでもない話だ。職業にたとえれば、数学に最も近いのは百姓だといえる。種をまいて育てるのが仕事で、そのオリジナリティーは「ないもの」から「あるもの」を作ることにある。数学者は種子を選べば、あとは大きくなるのを見ているだけのことで、大きくなる力はむしろ種子の方にある。これにくらべて理論物理学者はむしろ指物師に似ている。人の作った材料を組み立てるのが仕事で、そのオリジナリティーは加工にある】
やっぱり数学者だけあって、「数学」というものの捉え方は面白いなと思いました。ただ、文化とか教育とか情緒とか、そういうものについての記述は、僕にはうまく入ってこなかったなぁ。
岡潔「春宵十話」
「古典だ」って気負うから(気負ってるつもりはないんだけど)読めないのか、それとも文章のトーンとか一世代前の価値観とかが合わないのか、はたまた別の理由があるのか。その辺りのことはよく分からないんだけど、やっぱりこの作品も、「読めないなぁ…」と思いながら、とりあえず文字だけ追っていました。
個人的に面白いなと思った記述は二つ。
【よく人から数学をやって何になるのかと聞かれるが、私は春の野に咲くスミレはただスミレらしく咲いているだけでいいと思っている。咲くことがどんなによりことであろうとなかろうと、それはスミレのあずかり知らないことだ。咲いているのといないのとではおのずから違うというだけのことである。私についていえば、ただ数学を学ぶ喜びを食べて生きているというだけである。そしてその喜びは「発見の喜び」にほかならない】
【また、数学と物理は似ていると思っている人があるが、とんでもない話だ。職業にたとえれば、数学に最も近いのは百姓だといえる。種をまいて育てるのが仕事で、そのオリジナリティーは「ないもの」から「あるもの」を作ることにある。数学者は種子を選べば、あとは大きくなるのを見ているだけのことで、大きくなる力はむしろ種子の方にある。これにくらべて理論物理学者はむしろ指物師に似ている。人の作った材料を組み立てるのが仕事で、そのオリジナリティーは加工にある】
やっぱり数学者だけあって、「数学」というものの捉え方は面白いなと思いました。ただ、文化とか教育とか情緒とか、そういうものについての記述は、僕にはうまく入ってこなかったなぁ。
岡潔「春宵十話」
- 関連記事
-
- 経営者の孤独。(土門蘭) (2019/07/19)
- 行こう、どこにもなかった方法で(寺尾玄) (2019/01/22)
- レンタルなんもしない人「<レンタルなんもしない人>というサービスをはじめます。 スペックゼロでお金と仕事と人間関係をめぐって考えたこと」(レンタルなんもしない人) (2019/07/19)
- カエルの小指(道尾秀介) (2019/10/27)
- 一億総ツッコミ時代(マキタスポーツ) (2019/05/18)
- アイドル、やめました。AKB48のセカンドキャリア(大木亜希子) (2019/05/30)
- 物語 数学の歴史 正しさへの挑戦(加藤文元) (2019/05/23)
- ホンダジェット 開発リーダーが語る30年の全軌跡(前間孝則) (2019/05/09)
- 脳のパフォーマンスを最大まで引き出す神・時間術(樺沢紫苑) (2019/04/01)
- ブラックホール・膨張宇宙・重力波 一般性相対性理論の100年と展開(真貝寿明) (2019/08/21)
Comment
コメントの投稿
Trackback
http://blacknightgo.blog.fc2.com/tb.php/3776-cc6cddaf