黒夜行

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科学的に正しい英語勉強法(DaiGo)

いきなり変なことを書こう。
本書は、「英語を勉強したくない人」こそ読むべき本だと思う。
それには2つの理由がある。

一つは、「英語をうまく喋れなくても外国人と話す方法」について書かれているからだ。

例えば冒頭に、こんな文章がある。

【(海外で英語を使いこなしている非ネイティブたちは)たいてい、平均的な「英語ができない」日本人と同程度、あるいはそれ以下の英語力であるにもかかわらず、ネイティブと堂々と会話しています】

つまり著者は、「日本人が外国人と喋れないのは英語力のせいではない」と冒頭で主張しているのだ。

これはなかなか勇気が湧いてくる指摘ではないだろうか?

それに続いて著者は、日本人が外国人と喋れない、英語力以外の7つの理由を挙げています。それぞれに納得できる理由ですが、僕が一番そうだよなぁ、と感じるのは「アウトプットの訓練をしない日本の教育」という理由です。

【つまり、英語力以前に、ほとんどの日本人は流ちょうに話すこと自体が苦手なのです】

英語でスピーチが出来ない人は、そもそも日本語でもスピーチが出来ない人であることが多いでしょう。日本語で出来ないことが英語で出来るはずがありません。あるいは、日本語の会話で「あれ」とか「こないだのやつ」のような、基本的な知識が共有されていることが前提の会話ばかりしている人も、なかなか英語で話すことが出来ないでしょう。外国人とうまく話せない、という人は、そもそも日本人でも、初対面の人とうまく話せない人であることが多いように思います。

で、英語力が日本人と同等レベルの非ネイティブたちは、これら7つの理由をクリアしているから、英語力がさほど高くなくても会話が出来る、というわけです。

この指摘はつまり、「英語なんか勉強しなくても外国人と喋れるようになる可能性がある」ということだし、つまり英語を勉強したくない人向けだといえるだろうと思います。

さてもう一つの理由は、「英語を習得するための高いハードルを知ることが出来る」ということです。

世の中には、「誰でも簡単に英語が話せるようになる」とか「たった3語で何でも表現できる」みたいな、とにかく「簡単ですよ!」ということを謳う英語学習本が多数存在するが、しかし本書では、英語は基本的に結構時間掛けないと習得できないよ、という残酷な現実が突きつけられる。

【おそらく、日本人が英語を学習する際も、この4160時間というのが必要な期間の目安になりそうです】

【逆に言うと、つらくない、むしろ楽しいくらいの勉強は、効果が低いということでもあります】

【実は、日本の学校での英語教育は、圧倒的に量が足りていません。特に、触れている単語の数が断然少ないのです】

これから英語を学習しようとする人にとっては、これはとてつもなく高いハードルに感じられることでしょう。しかし、この高いハードルを知ることで、「英語を学ぶことを諦めることが出来る」というメリットが本書にはあると思います。

【この点、多くの日本人は、英語を学ばなくてはいけない切羽詰まった理由を持っていません】

そう指摘するように、「なんとなく喋れたらいいな」ぐらいの理由で英語を学ぼうとする人は結構いるのではないかと思います。しかしそういう人が、4160時間というハードルを知れば、軽々しく手を出すのは止めよう、と思うかもしれません。そういう意味で本書は、英語を学ばないと決断するためにもとても役立つ本ではないかと思います。本書には、英語が出来なくても外国人とコミュニケーションが取れるようになる3つの要素も挙げられているので、その辺りから頑張ってみるのも、人によってはいいでしょう。

と、ネガティブに受け取られるかもしれない話を色々書きましたが、一方で本書は、なんとしてでも英語をものにしたい、と決意している人にとっては、とても有益な本だといえるでしょう。タイトルにあるように、科学的な裏付けのある方法を多く紹介していますし、DaiGoの本はどれもそうですが、エビデンスがないものについてはその効果を明言したりはしません。また、DaiGo自身は勉強が好きで、辛い勉強でも頑張れる人ですが、そういう人が世の中に決して多くはないことも理解していて、どうしたら勉強のハードルを下げることが出来るかについてもページを割いています。

本書には、こんな文章もあります。

【しかし、学習を続けることは、学習法が優れていることよりもはるかに大切だということは忘れないでください】

どれほど素晴らしい勉強法でも、続けられないものであればやる意味はありません。それよりは、どんなやり方でもいいから、続けられる方が重要だということです。

さて、本書で提示されている具体的な方法については、あまり細かく触れません。それは是非本書を読んでください。個人的に気になった話は、

「毎日コツコツ勉強するより、短期間で一気にやる方がいい」
「単語帳は、見て抵抗をなくすことが出来れば役割は終わり」
「多読は、テキストの中の98%の単語を知っている場合は有効なやり方」
「忘れる前に復習するのは効果が薄い」

他にも、スマホアプリの使い方や、ネイティブの友人がいればどう協力してもらうかなど、様々な小技が紹介されています。英語を習得するハードルを理解しながら、それでも頑張って勉強したいんだ!という人は、是非参考にしてみてください。

最後に、本書のこんな文章を紹介しましょう。

【より端的に言えば、外国語学習ほど効果的なボケ防止法はありません】

英語学習に限りませんが、学習というものが脳を変化させ、どころか、脳そのものを年齢によらずに成長させられる、ということが分かってきているようです。年齢によって語学の習得に差が出るということもないようで、むしろ、年を取ってから学ぶ方が、より脳に負荷が掛かるので、それだけ脳を成長させられる、とも言えるのだそうです。

外国語学習のやり方を紹介する本はたくさんありますし、色んなことが言われていてよく分からないでしょう。しかし本書には、英語の学習をしないという決断を促す効果もあり、それはこういう類の本としては非常に珍しいのではないかと思います。

DaiGo「科学的に正しい英語勉強法」

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2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
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新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
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5位 「明日のコミュニケーション
6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
9位 「メディア・バイアス
10位 「量子力学の哲学

小説以外
1位 「死のテレビ実験
2位 「ピンポンさん
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4位 「消された一家
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7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)