「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」を観に行ってきました
凄い映画だったなぁ。
なんというのか、色々考えさせられた。
トランプ大統領が、メキシコとの国境に壁を作ると言っている。
この発言は色々と物議を醸しているし、賛否両論あるのだろうけど、基本的には「トランプ大統領は何をアホみたいなことを言っているんだ」というような情報の出方・捉えられ方をしているように僕には感じられる。
僕も確かに、そう感じていた。ちょっとそれはやりすぎではないか、と。
しかし一方で、この映画で描かれていることが真実(あるいは真実に近い)とすれば、ちょっとその認識も変化させなければならないかもしれない、とも感じる。
現在、メキシコとアメリカの国境を、毎年数千人の人間が、高い手数料を払って密入国させているという。そして、それを取り仕切っているのが、メキシコの麻薬カルテルだと言う。
20年前は、国境間を運んで最も価値が出るものはコカインだった。しかし今は、人だという。密入国は、大きなビジネスになる。この映画では、その現実が描かれている(※とはいえ、一応こうも考えている。この映画は、もしかしたらアメリカのプロパガンダ映画なのかもしれない、と。どの国が作った映画なのかは知らないけど、この映画が、「メキシコとの国境をどうにかしないとヤバイ」というアメリカ国民の世論を高めるために作られた、みたいな側面があるとしたら、描かれ方をそのまま受け取るのもちょっとマズイかもしれない。とはいえ、そこまでの判断が出来るほど知識がないので、とりあえずこの映画で描かれていることが真実に近いものだという前提で書く)。
「密入国」が法律上ダメなのは理解している。しかし一方で僕は、様々な理由から、より豊かな生活、安全な生活、不自由のない生活を求めるために別の国を目指す、という気持ちは尊重されていいとも思う。しかし、あまり詳しく知識はないが、アメリカに限らずだろうが、外国人が別の国で永住権を得る、みたいなことは、なかなか難しいんだと思う。だから「密入国」してしまう。そういう、生活のための「密入国」は仕方がないと思ってしまう。とはいえ、生活のための「密入国」なのか、あるいは悪さをするための「密入国」なのかを区別する方法がないから、「密入国」をすべて取り締まる、という形にしなければならないのも当然だと思っている。
しかし難しいのは、「密入国」が禁止されているからこそ、「密入国」を支援するビジネスがアンダーグラウンドの世界で成立する。ビジネスとして成立し、規模が大きくなればなるほど、結果的に「密入国」してくる人間は増えることになる。もちろん、単純に国境を開放しておくのと比べれば、そりゃあ雲泥の差で少ない人間しか入国できないだろうが、しかしそれでも、「密入国」が禁止されているが故に、「密入国」が増える、という現実は存在する。
そういう現実が、現に存在するという世界の中で、果たしてどういう決断が正しいのかを考えることは、なかなか難しい。
国境に壁を作る、という決断を支持するつもりは決してないが、しかしその決断によって、麻薬カルテルによる「密入国ビジネス」に大打撃を与えることが出来るなら、最悪の選択と言うことも難しいのかもしれないと、この映画を見ながら考えていた。しかしその一方で、やはり対立からは何も生まれない、とも感じてしまう。恐らくこの映画のもう一つのテーマは、そこに設定されているはずだ。主人公の一人である殺し屋と、ある少女との奇妙な関わりは、そのことを強く示唆する。価値観の異なる者、あるいは憎しみを持っている者同士が、相手をただ排除するだけの選択は、結果的に双方の未来を良くしない。双方がそう信じることによってしか、最良の未来が切り開かれることはきっとないのだろう、と思うが、しかし国家間でその選択は、やはり出来ないだろうなとも感じた。
僕はこうやって、結論を出さずにただ悩んでいるだけでも問題ない立場だが、しかし政治家などは決断し実行しなければならない。最良の選択肢を取ることは出来ず、他のどの選択肢も最良から程遠いとするならば、保留せず決断して実行するという選択をしたことそのものを評価すべきなのかもしれないなぁ、とも感じさせられてしまった。
内容に入ろうと思います。
殺し屋であるアレハンドロは、CIA特別捜査官であるマットと組んで、様々な国家的な困難なミッションに取り組んできた。そんなアレハンドロがマットから依頼されたのが、メキシコの麻薬カルテルの撲滅だった。マットは国防長官と話をし、メキシコ内の麻薬カルテル同士を争わせる作戦を取ることにした。現状で麻薬カルテル同士は安定した膠着状態にあるが、彼らが争っていてくれる方が「内戦状態」と定義出来て、軍を動かしやすくなるからだ。そこで彼らは、麻薬カルテルの一つを襲撃し、敵対する麻薬カルテルの仕業に見せかけ、また、巨大カルテルの支配者であるカルロス・レイエスの16歳の娘・イザベルを報復として拉致された風に見せかけた。仕事は順調に進み、自分たちで救出した風に見せかけたイザベルをメキシコに送り届けようと、装甲車の車列を組んでメキシコの砂漠を走っていたが…。
というような話です。
観終わってから知ったけど、この映画続編なんですね。シリーズ物だったみたいです。僕としては、この映画だけ見ても十分面白いと思うけど、前作から見ている方が、アレハンドロとマットの関係性がより深いものに見えるでしょうし、たぶんアレハンドロの過去がそっちで描かれているんでしょう。
かなり良い作品でした。とにかく単純に、ストーリーが面白い。これから物語がどう展開していくんだろう、という興味を強く湧かせるサスペンスフルな映画で、面白かったなぁ。色々考えさせられる映画なんだけど、そういうことを抜きにして、ただストーリーだけ受け取ってもメチャクチャ面白い映画でした。
アレハンドロとマットが関わらない展開のストーリー軸があって、これがこれからどう物語に関係していくんだろう、と思ってたんだけど、なるほどそうなるのか!という感じでした。まさか、この映画の始まりから、アレハンドロがあんなことになるなんて誰も思わなかっただろうし、ってかそこから「えっ!マジ!」って展開になるし、しかもそこからさらに「嘘でしょっ!」ってことになっていくんで、凄いなって思いました。
あと、こういう映画を見るといつも感じるのは、「正義」についてですね。人の数だけ正義があることは理解しているつもりで、とはいえ、ここまで「正義」が分断されていくと、人間同士が理解することの困難さが本当に激しくなるなぁ、と思います。
トランプ大統領の、国境に壁を、という話に、今までさほど関心はなかったんだけど、この映画を見たことで、ニュースを今までとはちょっと違った風に受け取れそうな気がします。
「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」を観に行ってきました
なんというのか、色々考えさせられた。
トランプ大統領が、メキシコとの国境に壁を作ると言っている。
この発言は色々と物議を醸しているし、賛否両論あるのだろうけど、基本的には「トランプ大統領は何をアホみたいなことを言っているんだ」というような情報の出方・捉えられ方をしているように僕には感じられる。
僕も確かに、そう感じていた。ちょっとそれはやりすぎではないか、と。
しかし一方で、この映画で描かれていることが真実(あるいは真実に近い)とすれば、ちょっとその認識も変化させなければならないかもしれない、とも感じる。
現在、メキシコとアメリカの国境を、毎年数千人の人間が、高い手数料を払って密入国させているという。そして、それを取り仕切っているのが、メキシコの麻薬カルテルだと言う。
20年前は、国境間を運んで最も価値が出るものはコカインだった。しかし今は、人だという。密入国は、大きなビジネスになる。この映画では、その現実が描かれている(※とはいえ、一応こうも考えている。この映画は、もしかしたらアメリカのプロパガンダ映画なのかもしれない、と。どの国が作った映画なのかは知らないけど、この映画が、「メキシコとの国境をどうにかしないとヤバイ」というアメリカ国民の世論を高めるために作られた、みたいな側面があるとしたら、描かれ方をそのまま受け取るのもちょっとマズイかもしれない。とはいえ、そこまでの判断が出来るほど知識がないので、とりあえずこの映画で描かれていることが真実に近いものだという前提で書く)。
「密入国」が法律上ダメなのは理解している。しかし一方で僕は、様々な理由から、より豊かな生活、安全な生活、不自由のない生活を求めるために別の国を目指す、という気持ちは尊重されていいとも思う。しかし、あまり詳しく知識はないが、アメリカに限らずだろうが、外国人が別の国で永住権を得る、みたいなことは、なかなか難しいんだと思う。だから「密入国」してしまう。そういう、生活のための「密入国」は仕方がないと思ってしまう。とはいえ、生活のための「密入国」なのか、あるいは悪さをするための「密入国」なのかを区別する方法がないから、「密入国」をすべて取り締まる、という形にしなければならないのも当然だと思っている。
しかし難しいのは、「密入国」が禁止されているからこそ、「密入国」を支援するビジネスがアンダーグラウンドの世界で成立する。ビジネスとして成立し、規模が大きくなればなるほど、結果的に「密入国」してくる人間は増えることになる。もちろん、単純に国境を開放しておくのと比べれば、そりゃあ雲泥の差で少ない人間しか入国できないだろうが、しかしそれでも、「密入国」が禁止されているが故に、「密入国」が増える、という現実は存在する。
そういう現実が、現に存在するという世界の中で、果たしてどういう決断が正しいのかを考えることは、なかなか難しい。
国境に壁を作る、という決断を支持するつもりは決してないが、しかしその決断によって、麻薬カルテルによる「密入国ビジネス」に大打撃を与えることが出来るなら、最悪の選択と言うことも難しいのかもしれないと、この映画を見ながら考えていた。しかしその一方で、やはり対立からは何も生まれない、とも感じてしまう。恐らくこの映画のもう一つのテーマは、そこに設定されているはずだ。主人公の一人である殺し屋と、ある少女との奇妙な関わりは、そのことを強く示唆する。価値観の異なる者、あるいは憎しみを持っている者同士が、相手をただ排除するだけの選択は、結果的に双方の未来を良くしない。双方がそう信じることによってしか、最良の未来が切り開かれることはきっとないのだろう、と思うが、しかし国家間でその選択は、やはり出来ないだろうなとも感じた。
僕はこうやって、結論を出さずにただ悩んでいるだけでも問題ない立場だが、しかし政治家などは決断し実行しなければならない。最良の選択肢を取ることは出来ず、他のどの選択肢も最良から程遠いとするならば、保留せず決断して実行するという選択をしたことそのものを評価すべきなのかもしれないなぁ、とも感じさせられてしまった。
内容に入ろうと思います。
殺し屋であるアレハンドロは、CIA特別捜査官であるマットと組んで、様々な国家的な困難なミッションに取り組んできた。そんなアレハンドロがマットから依頼されたのが、メキシコの麻薬カルテルの撲滅だった。マットは国防長官と話をし、メキシコ内の麻薬カルテル同士を争わせる作戦を取ることにした。現状で麻薬カルテル同士は安定した膠着状態にあるが、彼らが争っていてくれる方が「内戦状態」と定義出来て、軍を動かしやすくなるからだ。そこで彼らは、麻薬カルテルの一つを襲撃し、敵対する麻薬カルテルの仕業に見せかけ、また、巨大カルテルの支配者であるカルロス・レイエスの16歳の娘・イザベルを報復として拉致された風に見せかけた。仕事は順調に進み、自分たちで救出した風に見せかけたイザベルをメキシコに送り届けようと、装甲車の車列を組んでメキシコの砂漠を走っていたが…。
というような話です。
観終わってから知ったけど、この映画続編なんですね。シリーズ物だったみたいです。僕としては、この映画だけ見ても十分面白いと思うけど、前作から見ている方が、アレハンドロとマットの関係性がより深いものに見えるでしょうし、たぶんアレハンドロの過去がそっちで描かれているんでしょう。
かなり良い作品でした。とにかく単純に、ストーリーが面白い。これから物語がどう展開していくんだろう、という興味を強く湧かせるサスペンスフルな映画で、面白かったなぁ。色々考えさせられる映画なんだけど、そういうことを抜きにして、ただストーリーだけ受け取ってもメチャクチャ面白い映画でした。
アレハンドロとマットが関わらない展開のストーリー軸があって、これがこれからどう物語に関係していくんだろう、と思ってたんだけど、なるほどそうなるのか!という感じでした。まさか、この映画の始まりから、アレハンドロがあんなことになるなんて誰も思わなかっただろうし、ってかそこから「えっ!マジ!」って展開になるし、しかもそこからさらに「嘘でしょっ!」ってことになっていくんで、凄いなって思いました。
あと、こういう映画を見るといつも感じるのは、「正義」についてですね。人の数だけ正義があることは理解しているつもりで、とはいえ、ここまで「正義」が分断されていくと、人間同士が理解することの困難さが本当に激しくなるなぁ、と思います。
トランプ大統領の、国境に壁を、という話に、今までさほど関心はなかったんだけど、この映画を見たことで、ニュースを今までとはちょっと違った風に受け取れそうな気がします。
「ボーダーライン ソルジャーズ・デイ」を観に行ってきました
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