魔女の棲む町(トマス・オルディ・フーヴェルト)
内容に入ろうと思います。
舞台は、人口約3000人の町、ブラックスプリング。この町には、ある秘密がある。魔女が棲んでいるのだ。魔女は、寝室や道路や店先など、あらゆる場所に出没する。そして住民たちは、その魔女の存在が外部に漏れないよう、必死で隠している。そこには、彼らの命に関わる、ある切実な理由がある。
キャサリンという名のこの魔女は、300年以上もこの町にいる。子供を殺された恨みから、死してなおこの地に留まっている魔女。その呪いはあまりにも強力で、住民たちは逃れようもない。そのためにブラックスプリングの住民は、この町を離れることが出来ないし、魔女の存在が観光客などにも知られないように必死にならなければならないのだ。
この町で、魔女に関する監視を行っている<HEX>は、ある日、若く裕福な夫婦がブラックスプリングの家を購入しようとしていることを知る。彼らになんとか諦めさせようと努力するも、うまく行かず、結局その夫婦は魔女の呪いに取り込まれることになってしまった。
ブラックスプリングに住むスティーヴ・グラントは、妻と二人の息子と四人で暮らしている。上の息子が、友人らと、何か企んでいるようだが…。
というような話です。
うーん、面白いのかどうか、よく分からなかったなぁ。僕の趣味ではないのだけど、僕の趣味じゃないからつまらない、という判断はしたくないから、この作品が面白いと受け取られる可能性について考えたいんだけど、どうもなぁ。分からない。
設定は非常に面白いと思った。もし本書のような設定の町が実在したとしたら、その町の情報は確かに表には出てこないと思う。住民たちが、必死で魔女の存在を隠す理由に説得力があるので、そういう意味で、キャサリンのような魔女を抱えた町がこの世界のどこかにある、という可能性は確かにあり得る、と思う。
そういう意味で言えば、リアリティというのとはまたちょっと違うんだけど、信憑性を感じられる物語ではあった。
とはいえ、長い。なんというのか、僕の目線でこの作品を捉えると、「魔女が出没するって町、っていうだけの設定で550ページ書いてる小説」って感じがする。ミステリ好きとしては、何故魔女が存在するのかとか、魔女が何を目的としているのか、みたいなことが明かされて欲しいなと思っちゃったし、あるいは、ゴジラとかエヴァンゲリオンみたいに、魔女という強敵を倒す、なんてストーリーでもいい。けど本書にはそういう要素はあんまりなくて、あくまでも「魔女がおるでー」っていうところからだけ話を展開させていく。魔女という、ある種の超常現象を抱え込まざるを得なかった人たちの意識の変化や鬱屈とした行動の描写なんかはなかなか面白いんだけど、とはいえ、僕の感覚では、それだけでこれだけ長い小説を成り立たせるのはちょっと無理があるような気がするんだけどなぁ、という感じだった。
魔女というものを中心に据えて、人間の愚かしさみたいなものを描き出していく感じは面白いし、人間の恐怖が連鎖することでさらなる恐怖がもたらされることになるというような部分もなかなか面白かったんだけど、やっぱり、これだけのネタで550Pは長いなぁ、と思ってしまったのでした。
トマス・オルディ・フーヴェルト「魔女の棲む町」
舞台は、人口約3000人の町、ブラックスプリング。この町には、ある秘密がある。魔女が棲んでいるのだ。魔女は、寝室や道路や店先など、あらゆる場所に出没する。そして住民たちは、その魔女の存在が外部に漏れないよう、必死で隠している。そこには、彼らの命に関わる、ある切実な理由がある。
キャサリンという名のこの魔女は、300年以上もこの町にいる。子供を殺された恨みから、死してなおこの地に留まっている魔女。その呪いはあまりにも強力で、住民たちは逃れようもない。そのためにブラックスプリングの住民は、この町を離れることが出来ないし、魔女の存在が観光客などにも知られないように必死にならなければならないのだ。
この町で、魔女に関する監視を行っている<HEX>は、ある日、若く裕福な夫婦がブラックスプリングの家を購入しようとしていることを知る。彼らになんとか諦めさせようと努力するも、うまく行かず、結局その夫婦は魔女の呪いに取り込まれることになってしまった。
ブラックスプリングに住むスティーヴ・グラントは、妻と二人の息子と四人で暮らしている。上の息子が、友人らと、何か企んでいるようだが…。
というような話です。
うーん、面白いのかどうか、よく分からなかったなぁ。僕の趣味ではないのだけど、僕の趣味じゃないからつまらない、という判断はしたくないから、この作品が面白いと受け取られる可能性について考えたいんだけど、どうもなぁ。分からない。
設定は非常に面白いと思った。もし本書のような設定の町が実在したとしたら、その町の情報は確かに表には出てこないと思う。住民たちが、必死で魔女の存在を隠す理由に説得力があるので、そういう意味で、キャサリンのような魔女を抱えた町がこの世界のどこかにある、という可能性は確かにあり得る、と思う。
そういう意味で言えば、リアリティというのとはまたちょっと違うんだけど、信憑性を感じられる物語ではあった。
とはいえ、長い。なんというのか、僕の目線でこの作品を捉えると、「魔女が出没するって町、っていうだけの設定で550ページ書いてる小説」って感じがする。ミステリ好きとしては、何故魔女が存在するのかとか、魔女が何を目的としているのか、みたいなことが明かされて欲しいなと思っちゃったし、あるいは、ゴジラとかエヴァンゲリオンみたいに、魔女という強敵を倒す、なんてストーリーでもいい。けど本書にはそういう要素はあんまりなくて、あくまでも「魔女がおるでー」っていうところからだけ話を展開させていく。魔女という、ある種の超常現象を抱え込まざるを得なかった人たちの意識の変化や鬱屈とした行動の描写なんかはなかなか面白いんだけど、とはいえ、僕の感覚では、それだけでこれだけ長い小説を成り立たせるのはちょっと無理があるような気がするんだけどなぁ、という感じだった。
魔女というものを中心に据えて、人間の愚かしさみたいなものを描き出していく感じは面白いし、人間の恐怖が連鎖することでさらなる恐怖がもたらされることになるというような部分もなかなか面白かったんだけど、やっぱり、これだけのネタで550Pは長いなぁ、と思ってしまったのでした。
トマス・オルディ・フーヴェルト「魔女の棲む町」
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