黒夜行

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「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」を観に行ってきました

正しいことをしたい、といつも思っている。

もちろん、正しいことだけでは生きていけないし、意識的に悪いことをすることだってある。ただ、いつも思っていることは、後から後悔するかもしれないような行動はしたくない、ということだ。

後悔をしたくないが故にチャレンジを避けるような生き方は、それはそれで嫌なものだが、あの時ああしておけば良かった、ああしなければ良かった、などと後から思うような行動は取りたくない、と思っている。

そういう時、いつも想像するのは、戦争のことだ。

僕は、戦争というものを直接的に体験したことはない。それがどんなもので、どれほど悲惨なものなのか、僕は想像すら出来ていないだろう。そんな僕が何を言っても、それは砂上の楼閣以上のなにものでもない。

とはいえ、イメージの中で僕は、戦争という時代の圧力に屈したくない、という気持ちを持っていたい、といつも思っている。戦争というのは人びとに、それまでとは真逆の価値観を押し付けるものだ。一変してしまった価値観に、屈さざるを得ないこともあるだろう。

それでも僕は、なんとかして、自分が正しいと感じる生き方を貫けたら、と思っている。

周りの価値観に従って流されて生きていく方が、もちろん簡単だ。しかし、そういう自分をなかなか許容できない性格であることももちろん理解している。信念、なんていうカッコイイ言葉を使うつもりはないのだけど、自分が正しいと思うことをする、あるいは間違っていると思うことをしない、という矜持は、出来るだけ持ち続けておきたいなと思っている。

内容に入ろうと思います。
ポーランド・ワルシャワで、動物園を営んでいたジャビンスキー夫妻は、広大な敷地で数多くの動物を飼育し、市民に親しまれていた。しかしワルシャワに、戦争の影が忍び寄る。ドイツ軍がポーランドを制圧したのだ。
空爆により壊滅的な被害を被った動物園は、ヒトラー直属の動物学者であるヘックの指示により、希少動物のみドイツ軍が引き取り、後は処分されることになった。悲しみに暮れるアントニーナとヤン。
彼らにはもう一つ、大きな問題があった。友人であり、ユダヤ人である女性の行き場がなかったのだ。アントニーナは、夫の反対を押し切って動物園内に彼女を匿うことを決断する。動物園はドイツ軍によって監視されているけど、一人くらいなら匿えるだろう。
しかしその後夫のヤンが、驚くべき話を持ってくる。ワルシャワでユダヤ人を救う活動をしているグループと接触したらしく、ユダヤ人たちが新たな隠れ家に行くまでの間だけ彼らを匿うことに決めたというのだ。アントニーナは、友人一人を匿うのとは訳が違うと言って反対したが、救える命は救いたいという想いを共有することとなった。
彼らは、ドイツ軍から“丸見え”状態である動物園にユダヤ人を連れてきて匿うために、巧妙な作戦を考えた。彼らは日々、ゲットーからユダヤ人を数人連れてきては地下に匿うという、長く続くことになる危険な活動をやり続けた…。
というような話です。

色んな映画を観ますけど、やはり「実話(というか、実話に基づいた話)」の強さにいつも打たれます。僕が冒頭で書いたように、彼女たちも「正しいことをしたい」という想いがあって、その中で様々な葛藤を繰り広げていくことになります。

『正しいことをしたい。その思いだけなのに、自分が嫌でたまらない』

ある場面でアントニーナはそう吐露します。

具体的な内容には触れませんが、アントニーナは、自分たちがやっているこの危険な活動のリスクを少しでも減らすために、とある行動を取ります。しかしその行動は、夫のヤンにとっては不快なものでした。アントニーナの言っていることも、ヤンの言っていることも、分からなくはありません。どちらが正しいとか間違っているとかではなくて、やはり戦争という状況が間違っているのだ、としか思えません。平時であれば、アントニーナはそんな行動を取る必要がないし、ヤンも存在しない行動を不快に感じることもありません。

映画の中で描かれる葛藤以外にも、様々な葛藤が彼らを襲ったことでしょう。彼らは結局その活動を、3~4年ぐらい続けたことになるはずです。延べ300人以上のユダヤ人が彼らの元で匿われ、ごく稀な例外を除き、全員の命が助かったようです。

戦争という辛い状況の中では、そうでありたいと思っていても正しい行動が取れなかった人もたくさんいることでしょう。そういう人たちを責めるつもりなど僕にはないし、そんな権利も当然ないと思っています。ただやはり、この夫妻のような、危険を冒してでも、自分たちに出来る限りの努力で正しさを貫いていく、という生き方は称賛したいと思うし、そういう事実をもっと知りたいと思います。

彼らは後に、「諸国民の中の正義の人」としてイスラエルからヤド・ヴァシェム賞を受賞したとのこと。終戦後、ワルシャワの人口は6%を切ったそうですが、彼らはまた動物園を再開し、現在でも営業を続けているとのことです。

難しいこともありますが、日々の生活の中でなんとか折り合いをつけながら、自分なりに正しい行動をし続けたいと、この映画を観て改めて感じました。

「ユダヤ人を救った動物園 アントニーナが愛した命」を観に行ってきました

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3位 浅野いにお「うみべの女の子
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5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
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1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
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3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

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4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
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番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)