2期生という呪縛、アイドルという呪縛、北野日奈子という呪縛
雑誌の記事を読んでいると、北野日奈子は様々な機会に、ブログで自分の熱い想いを書き綴っているようだ。選抜発表や、ライブでのことなど、その時その時で自分が感じたことを、ブログを通じて書いている。現状や未来に対しての自分の考えを明らかにしたり、自分の意思を明確にしたりすることで自分を奮起させている。そんな記述を時折雑誌の記事の中で見かけることがある。
とはいえ、僕は北野日奈子のブログを読んだことがない。あくまでも僕が追っているのは、雑誌の記事だけだ。そして、僕に見える範囲での彼女の印象は、「呪縛の人」というものだ。
【(2017年の明治神宮野球場でのライブについて)3期生の歌声とお客さんのコールを聞いていたら、2期生が入ってから4年半の思いがよみがえってきました。私たちにとって重い時間だったなと思って…。2期生が経験していないことを3期生は経験しているんだなとか、もっと2期生としていろんなことを経験したかったなとか。2期生という括りに縛られたいわけじゃないけど、もう時間は巻き戻らないんだよなぁと思ったら、待っている間、すごく苦しかったです】「BRODY 2017年10月号」
北野日奈子は、「2期生」という呪縛に囚われていた。
僕は正直、2期生がどんな苦労を経て現在に至っているのか、詳しいことは知らない。僕がそのことを僅かなりにも理解するようになったのは、神宮で「期別ライブ」が行われた、そのレポを雑誌上で読むことによってだ。2期生は、研究生時代も含め、2期生全体で何かをするという機会に恵まれなかった。そのことを、「期別ライブ」のレポをいくつか読むことでやっと僕は理解した。神宮での「期別ライブ」が、活動4年半にして初めて、2期生全体で何かやることだったという。
そうだったのか、と思った。どんなアイドルグループで同じかもしれないが、確かに乃木坂46は、1期生のイメージが鮮烈だ。1人でも華のあるメンバーがゴロゴロいるし、乃木坂46の外での活動も多い。また3期生は、乃木坂46が世間に広く認知されるようになってからの加入だったこともあって、元々注目度が高かった。乃木坂46が載っている雑誌を買って読むことがファン活動の中心である僕は、乃木坂46を好きになって以降の雑誌上での乃木坂46の露出のされ方をずっと見てきているが、3期生加入以降の彼女たちの取り上げられ方はやはり凄まじいものがあった。2期生加入時点での彼女たちの取り上げられ方を直接的には知らないが、雲泥の差であることは分かる。
時期的に注目されにくいタイミングでの乃木坂46への加入、そして2期生として全体でも個人でもなかなか活動がままならない、という境遇は、2期生全体の雰囲気を決して良くはしなかった。
北野日奈子は8枚目シングル「気づいたら片想い」で初めて選抜に選ばれた。その頃のことを、【いつからか、どこかよそよそしい空気になることがあって。私は受け入れてもらえなくなったんです。あー、そうか、わかり合えないんだと思って、つらかったですね】「BRODY 2017年10月号」と語っている。選び選ばれる、というのは、乃木坂46に限らずアイドルグループの宿命のようなものだろうが、1期生と比べてあまりにも不遇の環境にいた彼女たちが、選抜に選ばれたメンバーを素直に祝福出来ないでいたことも分からないではない。堀未央奈も、いきなりセンターに抜擢されて以降しばらくの間、2期生とうまく関われなかったとインタビューで語っていたことがある。1期生も3期生も、それぞれの辛さがあるだろうが、2期生であるという呪縛は非常に大きなものだろうと思う。
しかし、乃木坂46として活動を続け、彼女なりに様々な苦労や喜びを経験した結果、彼女は「2期生」という括りからの脱却を目指す。
【でも、どうしても足並みが揃わないんだなと感じてしまったんです。だから、『ハルジオン』の時期は、私は一人でいるようにしました。ゆっくり考える時間がほしかったんです。その結果、2期生という括りから自由になろうと思ったんです。2期生がもっと先輩の刺激にならないといけないのに、そう思っている同期が意外に少ないことに気づいたからです。自分はもっと前に出たい。だったら、一人でやるしかない。そう思うようになりました】「BRODY 2017年10月号」
そう決意して彼女は、次第に選抜の常連となり、選抜を落ちた18枚目シングルでも、アンダーのセンターとなった。今では、【やってる年数も経験してることも違うけど、もう同じ目線に立たせてもらってもいいのかなとは思ってます】「BUBKA 2017年6月号」とも思えるようになっている。僕の認識では、2期生の中で、明確に上を目指すことを宣言しているのは、北野日奈子と寺田蘭世の二人。2期生というなかなか厳しい境遇にあって、それでもなお前を目指し続ける気迫こそが、彼女の魅力だし力なのだろうと思う。
そんな北野日奈子は、アイドルとしてどうあるべきか悩んでいる。
【たぶん求められていることを全部言ってもらえたら、無心でできるんですけど。自分の気持ちを押し隠してアイドルになれるんですよ。ただ、みんなが「変えなくていいと思う」とか「それが日奈子の個性だから」って言ってくれるから、どうしたらいいんだろう…って】「BRODY 2017年2月号」
この発言は、僕にはちょっと意外だった。
北野日奈子から僕は、意志の強さを感じていた。もちろん、アイドルを続けてる、という時点で皆意志は強いのだろうと思う。しかし、西野七瀬や星野みなみのような、あまり意志の強そうに見えないメンバーがいる一方で、生駒里奈や生田絵梨花のような意志が強そうに見えるメンバーもいる。北野日奈子からもそういう、外側から伝わるような意志の強さを僕は感じていた。それが外側に出るくらいだからメンバー内でも意志が強い方のメンバーなのだろう、と僕は思っていたのだ。
しかしこの発言は、僕が彼女に対して感じていた意志の強さとはまあちょっとベクトルが違っていた。彼女は、自分がどうありたいかが優先される人だと思っていた。もちろんそれは、乃木坂46全体のことを考えない、という意味ではない。1期生には北野日奈子のような、元気でパワフルで明るさ全開のようなメンバーはあまりいない。だから、自分が自分らしくあることで乃木坂46にとっても意味がある、そんな風な意識で彼女は自分がどうありたいかを優先していたのだと僕は解釈していた。
しかしこの発言からは、それとは違う印象を受ける。北野日奈子は、自分がどうありたいかではなく、自分がどうあるべきかを意識しているようだ。そのことが僕には意外だった。失礼かもしれないが、そういうことを考えているキャラクターには見えなかったのだ。
乃木坂46のメンバーとしてどうあるべきか。それは、アイドルとしてどうあるべきか、ということでもある。「アイドルという呪縛」に、北野日奈子は囚われている。
そしてそれは、「北野日奈子という呪縛」にも繋がっていく。
【今も思うことは多くて。色を出しすぎてガチャガチャするのはよくないけど、色がないのも目立たない。最近もスタッフさんと話したんですけど、「自分がやりたいこと」と「まわりが求めていること」が違ってどうしようと悩んでいるんです。自分らしくまっすぐ進むか、求められていることに挑戦していくか】「EX大衆 2017年1月号」
北野日奈子には、先程の発言から、アイドルとしてあるべき姿を追及するために「北野日奈子」を捨てる覚悟があると分かる。その一方で、「北野日奈子であることを貫く」という道筋にも可能性を感じている。問題は、彼女にはそれが両立出来ない、ということだ。
【私は本当に人間過ぎるんですよ。何に対しても。「アイドル」と「人間」をわけられないし、他人をわけて見ることもできない。だって、その人は一人じゃないですか?そういう考え方だから不器用なんですけど。だから、未央奈の作っていないのに何色にも見える感じがいいな、って思うんです。どれも未央奈なんですよ。何色にも染まれるというか】「BRODY 2017年2月号」
彼女は、アイドルとして「まわりが求めていること」に全力を注ぐか、北野日奈子として「自分がやりたいこと」を貫くか、どちらかしか選ぶことが出来ない。その両者があまりにも食い違うが故に、共存させることが出来ないのだ。
何故か。
彼女は、5thのバースデーライブのナレーションで、「ずっとポジティブにいるのは難しい」と明かしていたという。
【―乃木坂に入って想像以上にネガティブになることが多かった?
ずっと自分には暗い部分がないと思ってたんです。でも、乃木坂に入って3年目くらいに根暗だなって気がつきました。乃木坂に入る前はどんなにいじめられても笑顔でいたのに、なんで顔を見たこともない人の意見を気にしてしまうんだろうって。】「Top Yell 2014年5月号」
これもまた、僕にとっては意外な発言だった。外側から見ている限りにおいては、北野日奈子は元気で明るくてパワフルな、陳腐な表現をすれば向日葵や太陽のような存在であるように見える。もちろん苦悩がないはずはないと思っていたが、とはいえ「根暗」という彼女自身の自覚はあまりにもイメージから遠い。
アイドルとしては、元気いっぱいの女の子。そして、北野日奈子としては、根暗な女の子。確かに、この両者はなかなか両立しないだろう。齋藤飛鳥も、乃木坂46加入当初は、いわゆる「THEアイドル」を目指して明るく可愛らしく振る舞っていたと言うが、あまりにも自分に合わなくて早い段階で断念したと言う。そして齋藤飛鳥は、アイドルらしいアイドルを目指さなくても許容される存在として、アイドルの呪縛から抜け出した。西野七瀬も似たような発言をしていた。
そういううまい流れを作り出せれば、北野日奈子も楽になれるのだろう。しかし彼女にとって、それはなかなか難しい選択だ。というのも、北野日奈子を熱心に追っていない僕でさえ、彼女のイメージは「元気で明るくてパワフルな女の子」なのだ。そのイメージを手放すことは簡単ではない。とはいえ、「北野日奈子」を捨ててアイドルとしての自分に邁進することもなかなか出来ない。誰かにそう命令されれば、彼女はそうするだろう。しかし、誰も彼女にそんな命令はしない。彼女もバカではない。やれと言われない以上、その道が正しくない可能性についても考慮しているだろう。だからこそ、「北野日奈子」も捨てることが出来ないでいる。
【だから未央奈みたいに芯を持った、なにを言われても揺るがないような人はすごいと思う。アイドル向きというか。(西野)七瀬さんとかも。私は左右されて波があるんですけど、でも、変われない自分がいて。この変われない自分がいいのか、悪いのか…】「BRODY 2017年2月号」
「2期生という呪縛」「アイドルという呪縛」「北野日奈子という呪縛」に囚われる彼女は、自分がどうあるべきかを定めることが出来ない。変わることが良いのか悪いのかさえ悩んでしまう状態は、とても苦しいだろう。命令されればその通りに出来る、と語る彼女だが、やはり自分で決断しなければなかなか前には進んでいけない。今、この葛藤から逃げないことが、きっと彼女を大きくしていくだろう。そう信じて、これからも悩みながら活動を続けていって欲しいと思う。
「2期生という呪縛、アイドルという呪縛、北野日奈子という呪縛」
とはいえ、僕は北野日奈子のブログを読んだことがない。あくまでも僕が追っているのは、雑誌の記事だけだ。そして、僕に見える範囲での彼女の印象は、「呪縛の人」というものだ。
【(2017年の明治神宮野球場でのライブについて)3期生の歌声とお客さんのコールを聞いていたら、2期生が入ってから4年半の思いがよみがえってきました。私たちにとって重い時間だったなと思って…。2期生が経験していないことを3期生は経験しているんだなとか、もっと2期生としていろんなことを経験したかったなとか。2期生という括りに縛られたいわけじゃないけど、もう時間は巻き戻らないんだよなぁと思ったら、待っている間、すごく苦しかったです】「BRODY 2017年10月号」
北野日奈子は、「2期生」という呪縛に囚われていた。
僕は正直、2期生がどんな苦労を経て現在に至っているのか、詳しいことは知らない。僕がそのことを僅かなりにも理解するようになったのは、神宮で「期別ライブ」が行われた、そのレポを雑誌上で読むことによってだ。2期生は、研究生時代も含め、2期生全体で何かをするという機会に恵まれなかった。そのことを、「期別ライブ」のレポをいくつか読むことでやっと僕は理解した。神宮での「期別ライブ」が、活動4年半にして初めて、2期生全体で何かやることだったという。
そうだったのか、と思った。どんなアイドルグループで同じかもしれないが、確かに乃木坂46は、1期生のイメージが鮮烈だ。1人でも華のあるメンバーがゴロゴロいるし、乃木坂46の外での活動も多い。また3期生は、乃木坂46が世間に広く認知されるようになってからの加入だったこともあって、元々注目度が高かった。乃木坂46が載っている雑誌を買って読むことがファン活動の中心である僕は、乃木坂46を好きになって以降の雑誌上での乃木坂46の露出のされ方をずっと見てきているが、3期生加入以降の彼女たちの取り上げられ方はやはり凄まじいものがあった。2期生加入時点での彼女たちの取り上げられ方を直接的には知らないが、雲泥の差であることは分かる。
時期的に注目されにくいタイミングでの乃木坂46への加入、そして2期生として全体でも個人でもなかなか活動がままならない、という境遇は、2期生全体の雰囲気を決して良くはしなかった。
北野日奈子は8枚目シングル「気づいたら片想い」で初めて選抜に選ばれた。その頃のことを、【いつからか、どこかよそよそしい空気になることがあって。私は受け入れてもらえなくなったんです。あー、そうか、わかり合えないんだと思って、つらかったですね】「BRODY 2017年10月号」と語っている。選び選ばれる、というのは、乃木坂46に限らずアイドルグループの宿命のようなものだろうが、1期生と比べてあまりにも不遇の環境にいた彼女たちが、選抜に選ばれたメンバーを素直に祝福出来ないでいたことも分からないではない。堀未央奈も、いきなりセンターに抜擢されて以降しばらくの間、2期生とうまく関われなかったとインタビューで語っていたことがある。1期生も3期生も、それぞれの辛さがあるだろうが、2期生であるという呪縛は非常に大きなものだろうと思う。
しかし、乃木坂46として活動を続け、彼女なりに様々な苦労や喜びを経験した結果、彼女は「2期生」という括りからの脱却を目指す。
【でも、どうしても足並みが揃わないんだなと感じてしまったんです。だから、『ハルジオン』の時期は、私は一人でいるようにしました。ゆっくり考える時間がほしかったんです。その結果、2期生という括りから自由になろうと思ったんです。2期生がもっと先輩の刺激にならないといけないのに、そう思っている同期が意外に少ないことに気づいたからです。自分はもっと前に出たい。だったら、一人でやるしかない。そう思うようになりました】「BRODY 2017年10月号」
そう決意して彼女は、次第に選抜の常連となり、選抜を落ちた18枚目シングルでも、アンダーのセンターとなった。今では、【やってる年数も経験してることも違うけど、もう同じ目線に立たせてもらってもいいのかなとは思ってます】「BUBKA 2017年6月号」とも思えるようになっている。僕の認識では、2期生の中で、明確に上を目指すことを宣言しているのは、北野日奈子と寺田蘭世の二人。2期生というなかなか厳しい境遇にあって、それでもなお前を目指し続ける気迫こそが、彼女の魅力だし力なのだろうと思う。
そんな北野日奈子は、アイドルとしてどうあるべきか悩んでいる。
【たぶん求められていることを全部言ってもらえたら、無心でできるんですけど。自分の気持ちを押し隠してアイドルになれるんですよ。ただ、みんなが「変えなくていいと思う」とか「それが日奈子の個性だから」って言ってくれるから、どうしたらいいんだろう…って】「BRODY 2017年2月号」
この発言は、僕にはちょっと意外だった。
北野日奈子から僕は、意志の強さを感じていた。もちろん、アイドルを続けてる、という時点で皆意志は強いのだろうと思う。しかし、西野七瀬や星野みなみのような、あまり意志の強そうに見えないメンバーがいる一方で、生駒里奈や生田絵梨花のような意志が強そうに見えるメンバーもいる。北野日奈子からもそういう、外側から伝わるような意志の強さを僕は感じていた。それが外側に出るくらいだからメンバー内でも意志が強い方のメンバーなのだろう、と僕は思っていたのだ。
しかしこの発言は、僕が彼女に対して感じていた意志の強さとはまあちょっとベクトルが違っていた。彼女は、自分がどうありたいかが優先される人だと思っていた。もちろんそれは、乃木坂46全体のことを考えない、という意味ではない。1期生には北野日奈子のような、元気でパワフルで明るさ全開のようなメンバーはあまりいない。だから、自分が自分らしくあることで乃木坂46にとっても意味がある、そんな風な意識で彼女は自分がどうありたいかを優先していたのだと僕は解釈していた。
しかしこの発言からは、それとは違う印象を受ける。北野日奈子は、自分がどうありたいかではなく、自分がどうあるべきかを意識しているようだ。そのことが僕には意外だった。失礼かもしれないが、そういうことを考えているキャラクターには見えなかったのだ。
乃木坂46のメンバーとしてどうあるべきか。それは、アイドルとしてどうあるべきか、ということでもある。「アイドルという呪縛」に、北野日奈子は囚われている。
そしてそれは、「北野日奈子という呪縛」にも繋がっていく。
【今も思うことは多くて。色を出しすぎてガチャガチャするのはよくないけど、色がないのも目立たない。最近もスタッフさんと話したんですけど、「自分がやりたいこと」と「まわりが求めていること」が違ってどうしようと悩んでいるんです。自分らしくまっすぐ進むか、求められていることに挑戦していくか】「EX大衆 2017年1月号」
北野日奈子には、先程の発言から、アイドルとしてあるべき姿を追及するために「北野日奈子」を捨てる覚悟があると分かる。その一方で、「北野日奈子であることを貫く」という道筋にも可能性を感じている。問題は、彼女にはそれが両立出来ない、ということだ。
【私は本当に人間過ぎるんですよ。何に対しても。「アイドル」と「人間」をわけられないし、他人をわけて見ることもできない。だって、その人は一人じゃないですか?そういう考え方だから不器用なんですけど。だから、未央奈の作っていないのに何色にも見える感じがいいな、って思うんです。どれも未央奈なんですよ。何色にも染まれるというか】「BRODY 2017年2月号」
彼女は、アイドルとして「まわりが求めていること」に全力を注ぐか、北野日奈子として「自分がやりたいこと」を貫くか、どちらかしか選ぶことが出来ない。その両者があまりにも食い違うが故に、共存させることが出来ないのだ。
何故か。
彼女は、5thのバースデーライブのナレーションで、「ずっとポジティブにいるのは難しい」と明かしていたという。
【―乃木坂に入って想像以上にネガティブになることが多かった?
ずっと自分には暗い部分がないと思ってたんです。でも、乃木坂に入って3年目くらいに根暗だなって気がつきました。乃木坂に入る前はどんなにいじめられても笑顔でいたのに、なんで顔を見たこともない人の意見を気にしてしまうんだろうって。】「Top Yell 2014年5月号」
これもまた、僕にとっては意外な発言だった。外側から見ている限りにおいては、北野日奈子は元気で明るくてパワフルな、陳腐な表現をすれば向日葵や太陽のような存在であるように見える。もちろん苦悩がないはずはないと思っていたが、とはいえ「根暗」という彼女自身の自覚はあまりにもイメージから遠い。
アイドルとしては、元気いっぱいの女の子。そして、北野日奈子としては、根暗な女の子。確かに、この両者はなかなか両立しないだろう。齋藤飛鳥も、乃木坂46加入当初は、いわゆる「THEアイドル」を目指して明るく可愛らしく振る舞っていたと言うが、あまりにも自分に合わなくて早い段階で断念したと言う。そして齋藤飛鳥は、アイドルらしいアイドルを目指さなくても許容される存在として、アイドルの呪縛から抜け出した。西野七瀬も似たような発言をしていた。
そういううまい流れを作り出せれば、北野日奈子も楽になれるのだろう。しかし彼女にとって、それはなかなか難しい選択だ。というのも、北野日奈子を熱心に追っていない僕でさえ、彼女のイメージは「元気で明るくてパワフルな女の子」なのだ。そのイメージを手放すことは簡単ではない。とはいえ、「北野日奈子」を捨ててアイドルとしての自分に邁進することもなかなか出来ない。誰かにそう命令されれば、彼女はそうするだろう。しかし、誰も彼女にそんな命令はしない。彼女もバカではない。やれと言われない以上、その道が正しくない可能性についても考慮しているだろう。だからこそ、「北野日奈子」も捨てることが出来ないでいる。
【だから未央奈みたいに芯を持った、なにを言われても揺るがないような人はすごいと思う。アイドル向きというか。(西野)七瀬さんとかも。私は左右されて波があるんですけど、でも、変われない自分がいて。この変われない自分がいいのか、悪いのか…】「BRODY 2017年2月号」
「2期生という呪縛」「アイドルという呪縛」「北野日奈子という呪縛」に囚われる彼女は、自分がどうあるべきかを定めることが出来ない。変わることが良いのか悪いのかさえ悩んでしまう状態は、とても苦しいだろう。命令されればその通りに出来る、と語る彼女だが、やはり自分で決断しなければなかなか前には進んでいけない。今、この葛藤から逃げないことが、きっと彼女を大きくしていくだろう。そう信じて、これからも悩みながら活動を続けていって欲しいと思う。
「2期生という呪縛、アイドルという呪縛、北野日奈子という呪縛」
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Comment
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コメントありがとうございます~。
「実戦で試した体感として、素の自分に限界を感じていたのかもしれません。」
これは、なんかなるほどっていう感じしますね。で、自分がどうすればいいのか捉えきれていない、というのもそうなんだろうなぁ、という印象はありますね。僕の印象では、齋藤飛鳥は周りの人に良さを見つけてもらった人(もちろん、本人の努力や素質もありますが)という感じがしますけど、北野日奈子はまだ見つけてもらえていないんだろうなぁ、と。苦しいだろうけど、踏ん張るしかないんでしょうね。
上を目指している2期生に堀未央奈を入れなかったのには、理由が2つあります。
一つは、僕が見ている範囲内で堀さんがそういう発言をしていなかった、ということ。少なくとも僕の認識では、北野日奈子や寺田蘭世ほどにはそういう発言をしていないと思っていました。
もう一つは、そもそも堀さんは、もう上にいるな、と思っているからです。もちろん、もっと上は目指せるでしょうけど、僕の認識ではかなり上にいると思っているので、「上を目指す」という表現にはそぐわないかな、と思って外しました。
「実戦で試した体感として、素の自分に限界を感じていたのかもしれません。」
これは、なんかなるほどっていう感じしますね。で、自分がどうすればいいのか捉えきれていない、というのもそうなんだろうなぁ、という印象はありますね。僕の印象では、齋藤飛鳥は周りの人に良さを見つけてもらった人(もちろん、本人の努力や素質もありますが)という感じがしますけど、北野日奈子はまだ見つけてもらえていないんだろうなぁ、と。苦しいだろうけど、踏ん張るしかないんでしょうね。
上を目指している2期生に堀未央奈を入れなかったのには、理由が2つあります。
一つは、僕が見ている範囲内で堀さんがそういう発言をしていなかった、ということ。少なくとも僕の認識では、北野日奈子や寺田蘭世ほどにはそういう発言をしていないと思っていました。
もう一つは、そもそも堀さんは、もう上にいるな、と思っているからです。もちろん、もっと上は目指せるでしょうけど、僕の認識ではかなり上にいると思っているので、「上を目指す」という表現にはそぐわないかな、と思って外しました。
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きぃちゃんの記事でこれ以上この話を書くべきかどうか少し迷ったのですが……
>もう上にいる
うーん、例えば……仮に寺田蘭世が今フロントの左端にいるとして「上を目指してるやつリスト」から寺田蘭世を外していいかって言ったら絶対ダメじゃないですか。上がどこかを決めるのは黒夜行さんでも私でもなく当の本人です
>そういう発言
堀未央奈は「次世代」という言葉に対し「私たちは今になりたい」と言いました。それが「上を目指す」に当たるのか。当たるとして現在の達成度はどれぐらいなのか。考え方は人それぞれなので私も断言はしませんしできません。できませんが、少なくとも、堀が歩いてる道はそんな簡単にゴールできる代物ではないと思うのです
>もう上にいる
うーん、例えば……仮に寺田蘭世が今フロントの左端にいるとして「上を目指してるやつリスト」から寺田蘭世を外していいかって言ったら絶対ダメじゃないですか。上がどこかを決めるのは黒夜行さんでも私でもなく当の本人です
>そういう発言
堀未央奈は「次世代」という言葉に対し「私たちは今になりたい」と言いました。それが「上を目指す」に当たるのか。当たるとして現在の達成度はどれぐらいなのか。考え方は人それぞれなので私も断言はしませんしできません。できませんが、少なくとも、堀が歩いてる道はそんな簡単にゴールできる代物ではないと思うのです
[8415]
コメントありがとうございます!
おっしゃっていることはどちらも良く分かります。確かにその通りだなと思うんですけど、あくまでも僕のブログの記事も、僕のコメントも、「僕自身の主観では」ということを踏まえて書いている(つもり)なので、僕としてはそこまでこだわらないでもいいのではないかなぁ、と思ってしまいます。村長さんと僕の「主観」は違っていて当たり前だよなぁ、と。僕が「客観的な事実として◯◯だ」と書いているなら、僕の主張は修正されるべき余地はあると思いますけど、そうではないつもりなので、村長さんと僕の意見は違うんだなぁ、ぐらいに思ってもらえればいいなぁ、と思っております~
おっしゃっていることはどちらも良く分かります。確かにその通りだなと思うんですけど、あくまでも僕のブログの記事も、僕のコメントも、「僕自身の主観では」ということを踏まえて書いている(つもり)なので、僕としてはそこまでこだわらないでもいいのではないかなぁ、と思ってしまいます。村長さんと僕の「主観」は違っていて当たり前だよなぁ、と。僕が「客観的な事実として◯◯だ」と書いているなら、僕の主張は修正されるべき余地はあると思いますけど、そうではないつもりなので、村長さんと僕の意見は違うんだなぁ、ぐらいに思ってもらえればいいなぁ、と思っております~
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>自分がどうあるべきか
北野を特集しているOVERTURE(No.008)を読む限り「自分がどうありたい」=「上に行って輝きたい」で一貫してて、その為の手段として「選抜三列目止まりの自分を捨てる」ことを視野に入れています。半端にキャラを作って売れなかった初期の齋藤飛鳥とは違い、北野日奈子は自分をそこまで出し惜しんではいない。実戦で試した体感として、素の自分に限界を感じていたのかもしれません。
要はアイドルガチ勢なんですよ。ただ、やる気はあっても肝心要の強化案がぼやけてる。どんな手を使ってでも上にいきたいけど、そのどんな手がどんな手なのかがイマイチわからない。なまじ強力な武器を持っているがゆえにカスタマイズが効き辛いんですよ、北野日奈子というアイドルは。この辺は星野みなみ等にも通じる課題だと思います
>2期生の中で、明確に上を目指すことを宣言しているのは、北野日奈子と寺田蘭世の二人
少なくとも、そこに堀未央奈を入れない理由はないと思います