自信 心を強くするのは、それほど難しくない(加藤諦三)
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ちょっと不思議な本だった。
というのは、凄く読みにくい本だったからだ。
加藤諦三氏の本は初めて読んだが、なんとなく読む前のイメージでは、読みやすい文章を書く人なのだと思っていた。というのも、この著者は出す本が軒並みベストセラーみたいな人だからだ。
けど読んでいて、どうにもスイスイ読めないと思った。僕の受け取り方的には、「文章が下手だなぁ」という感じだった。もうちょっとどうにかならんもんかな、と。
本書は、「自信」「不安」「依存」と言ったようなことについてあれこれ掘り下げている本だ。6つの章があり、それぞれの章の中でも小見出しで記述が分かれているのだけど、とにかく記述にまとまりがない。個人的な印象では、もっと構成をすっきり変えられるはずだ。例えば、
「自信を持てない人が生み出される環境にはどういうものがあり、そこでどういうやり取りが行われているかを、「友人」「家族」「会社」など具体的な環境毎に分けて書く」
↓
「そういう環境に置かれている、自信の持てない人が、具体的にどんな思考で物事を捉えているのかをさらに掘り下げる」
↓
「自信がないがそのことを認められない人への対処法、自信がなくそのことを認識できている人への対処法、そして自信がない人が周りにいる人への対処法などに分けて対処法を書く」
みたいに内容を分けて、本書の中でバラバラにあちこちに書かれている事柄を再編させれば、もっとすっきりするのではないかと思う。
とにかく読んでいて、著者が今から何の話をしようとしているのかが全然分からないので、ついていけない。さらに、説明していない用語がポーンと出てきたり、ある事柄とある事柄を繋ぐ理屈がすっ飛んでるように思える箇所もあって、読者が共有出来ていない前提を踏まえないで書いてしまっているように感じた。
書かれている内容には共感できる部分が多かったので、なおのこと、この読みにくさは不思議で仕方なかった。
中身としては、あちこちに色んなことが書かれているのでちょっとうまくまとめられないが、大雑把にこんな風に要約できるだろう。
「自信のない人は、依存性の強い人に操作されてしまう。自信がないからこそ操作され、操作されるから自信を無くす、という悪循環が生まれる。そしてその原因は、自己主張をしない、あるいは封じられてきたからだ」
こういうようなことについてあれこれ書いている。
本書に書かれているような人には、思い当たるフシがある。本書では「自信のない人」を二種類捉えている。一つは「自信がなく、表向きもそう見える人」、そしてもう一つは「自信はないが、それを隠すために攻撃的になる人」だ。どちらも、現実世界で当てはまる人を思い浮かべられる。
僕としては、前者の方が、自身の抱えている問題を認識しやすいはずなので、まだ対処のしようがある。「自信がなく、自信がなさそうに見える人」というのは、「自信がない」という自分の状態を受け入れているので、その原因を指摘されたりしても感情的にならない可能性が高い。
でも後者のような人は、自信がないということを認識できていないから難しい。そういう人に、自信のなさの原因を指摘しても、受け入れないだけじゃなくきっとキレるだろう。こっちのタイプの人の方が、対処が困難だ。
本書では、自信がない人に向けて、「逃げない」「自己主張する」「自分を偽らない」など色んなアドバイスをするのだけど、正直現実的じゃないよなぁ、という気はする。そんなことが出来る人なら、今のような状態になってないだろ、と思ってしまう。ちょっとモヤモヤする。
あと、もう一つモヤモヤするのは、推測が多すぎるということ。著者は心理学者で、恐らく自分が関わったケースについては守秘義務的なことがあって具体的なことが書けなかったりするのだろうが、それにしても「~だろう」という表現がメチャクチャ多い。心理学者ならもう少し根拠を示してくれてもいいのになぁ、と。あと、根拠がなくても推測にならない話としては、自分自身のことというのもあるが、自分自身の話も少なかったので、結局他者に対する推測ばかりになってしまう。この点も、ちょっとなぁ、という感じがしました。
良いことが書いてあると思うので、ちゃんと再編集して出し直したらいいと思うんだけどなぁ。
加藤諦三「自信 心を強くするのは、それほど難しくない」
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