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日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る(青山透子)



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これまで、色んなノンフィクションを読んできた。
その中には、未解決事件のノンフィクションも多くある。歴史に名を残すような有名な事件のノンフィクションが多いが、様々な謎が残され未だ解決の糸口すら見えない事件というのは多く存在する。

しかし、それらは「事件」であると認識されている。

本書を読んで驚いたことは、「事故」だと認識されていることが、実は「事件」だったかもしれない、ということだ。

『この三十二年間、墜落に関する新聞記事等の膨大な資料を、現在から墜落時まで時系列にさかのぼって読み込んでいくと、そこに見えてきたものは、これは未解決事件であるということだ』

もちろん、今パッとは頭に浮かばないが、「事故」だと思われていたものが実は「事件」だった、という本も読んだことがあるだろう。しかし、しかしである。「日航機墜落事故」は、リアルタイムでその事件を知らなくたって、普通に生きていればまず耳に入ってくるだろう、昭和史における重大事故だ(だからこそ、本書の中で、早稲田大学の学生がこの事件を「知らなかった」とレポートに書いている事実を知って驚いた)。

そんな重大事故が、実は「事件」だったかもしれない…。本書は、そう強く訴えかけている。

本書にどんな具体的な事実が書かれているのか、それは後で触れよう。何よりも重大なことは、あれだけの「事故」がもし本当は「事件」だったとしたら、そんな隠蔽を実行に移すためにはとてつもない力が働いていたと想像するのに難くない、という点だ。政府レベルで隠蔽工作が行われているのでなければ、絶対に不可能だ。

僕は、そのことが一番怖い。

「殺人犯はそこにいる」という作品を読んでそのことを強く実感したが、僕たちが生きている社会は、様々な欺瞞の上に成り立っている。公権力が、その権力を利用して、不都合な事柄を隠そうとする、そういう動きが恐らく存在する。日航機墜落事故においてその力が働いたのか、それはもちろん定かではないが、本書を読む限り、その可能性は決して低くはないだろうと思わされる。

ごくごく一般的な人生を歩んでいられるのであれば、この点はさほど大きな問題にはならない。実際のところ。警察や裁判所や軍や永田町などと、どんな形であれ一生関わらずに生きられるのであれば、特に支障はない。しかしそれらと、期せずして対立する形になってしまった場合、社会が持つこの性質は、一気に僕らの人生に襲いかかり、すべてを破壊していくだろう。

問題は、それらと関わるかどうか、僕らの意志ではどうにもコントロール出来ない、ということだ。日航機墜落事故にしたって、乗客たちは自らの意志でこの事故(あるいは事件)に遭ったわけではない。僕らが普通に生きている中で、いつ何時そういう自体に巻き込まれるのか分からない。

だからこそ僕らは、僕らが生きている社会が孕んでいる欺瞞や、隠蔽を生み出す構造などをあらかじめ知っておかなければならないのだ。知っていたとしても、必ずしも対処出来るわけではない。しかし、知らないで遭遇するよりは、ずっとマシだ。

日航機墜落事故を知らなくても、そこまで関心が持てなくても、社会の底が抜けているのだということを確認するためにも、読んだほうがいい一冊だ。

内容に入ろうと思います。
本書は、元日本航空客室乗務員であった著者が、日航機墜落事故に関する資料を読み、様々な人に話を聞き、その中で抱いた疑問や仮説などについて書いている作品です。

本書は僕の中で、全体的には高評価の作品ですが、先に1点、もっとこうだったら良かったのに、という点を挙げておきます。

それは、著者がノンフィクション作家だったらもっと良かっただろうな、ということです。

著者が元日本航空の客室乗務員である、という点は、作品にある種の厚みを加えている点であることは間違いありません。本書の中では、日航機墜落事故で亡くなった客室乗務員と著者との関わりが描かれます。そういう描写が組み込まれることで、亡くなった方々をよりリアルに感じられる、という点は本書の強みだと思います。

しかし一方で、これは厳しい見方かもしれませんが、本職のノンフィクション作家ではないが故に、すべき取材が出来ていなかったり、文章の構成がそこまで上手くなかったりするな、ということも感じました。

本書を書く上で著者は、「これまでの資料を読み込む」かつ「HPを通じての情報提供(提供者から直接話を聞くこともある)」という二つをメインにしています。もちろん、著者自身も取材に出ることはあるのですが、やはりそこは本職のノンフィクション作家と同じようにというわけにはいかないでしょう。取材のノウハウみたいなものはやはりあるはずで、だからこそノンフィクション作家には、新聞記者や雑誌記者だった方がなることが多いんだと思います。恐らく本職のノンフィクション作家であれば、もっと多方面に取材しただろう、と本書を読んで僕は感じました。

また、全体の構成的にも、ちょっとノンフィクションとして弱いかな、という印象を受けました。具体的にどうすればいいのか、という提案は出来ませんが、もう少し構成をすっきりさせることが出来るような気がしました。

この辺りが、僕としてはちょっと不満ではありました。

とはいえ、内容的にはかなり驚かされるものでした。副題にもあるように、本書では「目撃証言」にかなり重点を置いています。著者は資料を読み込むことで、埋もれてしまった様々な「目撃証言」を拾い出していきます。そして、それらの目撃証言から想像しうる仮説を導き出しています。

日航機墜落事故に関してどんな目撃証言が存在したのか。すべてではありませんが、ざっと挙げてみます。

◯ 墜落現場周辺の人が墜落現場を特定し政府関係者や県に連絡していたが、テレビなどではいつまでたっても「墜落現場不明」と報道されていた
◯ 日航機は超低空飛行していた。そしてその腹の部分には、赤色の楕円形の何かが見えた
◯ 墜落現場一帯に、ジェット燃料とは違う種類の臭いが充満していた
◯ 窓から外を写した写真を解析したところ、オレンジ色の物体が飛行機に近づいていることが分かった
◯ 墜落前の日航機を、2機のファントムが追尾していた

これらの目撃証言を、著者は様々な形で入手する。小学校の文集の中から、HPを通じて会いに来てくれた人の証言から、様々な報告書などから…。もちろん人間には見間違いや記憶違いもあるだろうが、それぞれの目撃証言は一人や二人の話ではない。かなり大勢の人間によって目撃されているのだ。集団で幻覚を見たというのでもなければ、見間違いなどということはあり得ないだろう。

また、目撃証言ではないが、日航機墜落事故に関する様々な状況も著者は拾い集めていく。米軍や自衛隊が、出動準備が整っていたにも関わらず待機を命令された、日本航空の社長が首相官邸に行ったら殺されると怯えていた…などである。これらの証言も、何か大きな力の関与を想像させる。

もちろん、著者の仮説には、それを支える積極的な証拠はない。目撃証言や状況証拠から考えて、「これまで原因とされていたものでは説明がつかないこと」が多いことを示し、さらに「自分が集めた証言や状況をうまく説明するためにはこう考えるのが妥当なのではないか」という想像を書いているにすぎない。もちろん、これは著者を責めているというのではない。冒頭でも触れたが、もし日航機墜落事故に政府を含めた巨大な力が働いているとすれば、公にされている事実を覆すような何かを個人がえぐり出していくことはほとんど不可能だろう。しかもこの件には、米軍が絡んでいるのではないかという推測もある。であれば、真相の究明はなおさら困難だろうし、推測の域を出なくても仕方ないと思う。しかし、やはりノンフィクションとして見た場合には、弱さを感じる。

隠蔽を完全に証明できるような物証が出て来ることは、恐らくないだろう。であれば、もし著者の推測通りのことが起こっていた場合には、隠蔽に関わった人物からの告発がなければ真相の解明は不可能だろう。それが実現する可能性があるとすれば、僕らがずっと関心の持ち続けることが一番だろうと思う。そういう意味でも僕らは、この事故のことを忘れてはいけないのだ、と改めて感じさせてくれた一冊だった。

青山透子「日航123便墜落の新事実 目撃証言から真相に迫る」

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6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
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小説・新書以外

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3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
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6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
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13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
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3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

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1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
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4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
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3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
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13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
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