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「ダンケルク」を観に行ってきました



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この映画を観るには、知識が必要なのだと思う。
しかしそれは、歴史の知識ではない。
クリストファー・ノーランという監督についての知識だ。

この映画は、凄まじい映像の連続だ。
第二次世界大戦中のヨーロッパが舞台であり、陸海空での死と隣り合わせの現実を切り取っていく。

しかし。何の知識もないままこの映画を観た人は、きっとこう感じるだろう。
なるほど、こんな映像、普通には撮れないから、ほとんどCGなんだろうな、と。

そうではない。
むしろこの映画では、ほとんどCGが使われていないという。

英国戦闘機・スピットファイア3機の内、2機は本物を飛ばし、もう1機は5億円を掛けて制作されたレプリカ。
博物館に収蔵されていた「マイレ・ブレゼ」という本物の駆逐艦を借り、撮影を行う。

そんな風にして、可能な限りCGを用いずに撮影された映画なのだ。
そういう事実を知った上で観ると、同じ映像でもまったく違った風に見えることだろう。この迫力ある、まるで本物の戦場としか思えない映像をCGなしで撮影したという驚異が、映画を観る者の感覚に大きなプラスとなっていくと思う。

とはいえ、知らなければ、特に調べることもなく、CGなんだろうと判断されてしまうだろう。そういう意味で僕は、この映画を観るには知識が必要だ、と書いた。

とにかく、映像で訴えかけてくる、力強い映画だ。

内容に入ろうと思います。
1940年。フランスとイギリスの連合軍は、ヒトラー率いるドイツ軍に追い詰められ、ドーバー海峡に面したフランスの港町であるダンケルクに追い詰められた。その数40万人。絶体絶命、侵攻してくるドイツ軍に蹂躙されるのを待つばかりである彼らに対する救出作戦が始まった。
陸では、救助のためにやってきた駆逐艦が、少しずつ兵士たちを乗せていく。しかしその間にもドイツ軍の戦闘機による爆撃が頻発、船は座礁し、桟橋も破壊される。兵士たちは、ことごとく海に投げ出されていく。
海では、民間船の徴用が始まっていた。ダンケルクに取り残された兵士たちを救助するためにイギリス軍が行っているのだが、「この船の船長は私しかいない」と言って自らの判断でダンケルクまで救助に向かう民間船の船長がいた。実際に900隻もの民間船が、自らの意思でダンケルクまで救助に向かったという。
そして空では、スピットファイア3機がこの救出作戦の援護をしていた。次々と仲間が撃ち落とされていく中、最後に残った1機が燃料の限界まで奮闘する。
絶体絶命からの撤退戦、その史実を描き出す作品。

個人的にはちょっとこの映画の評価は難しい。

まず、「ダンケルクの戦い」という、本作で描かれている救出作戦が存在していたことは知らなかったので、そういう意味で新しいことを知ることが出来た、という感覚はある。とはいえ、内容としては「いかに撤退するか」という映画である。その点を悪く言うつもりはないが、少なくとも「史実から新たな真実を引っ張り出す」というような作品ではない。

史実を基にしている、という点を強く意識しているのだと思うのだが、この映画は物語性という点は弱いように感じる。もちろん、物語性が薄いという点が直接欠点になるわけではないが、撤退戦をリアルに描くという意識の強さが、物語的な弱さにはつながっているように思う。

また、物語性という意味で言えば、「レヴェナント」という映画を観た時と同じ感想を抱く部分があった。「レヴェナント」は、アメリカでは良く知られているらしい実話を基にした映画だ。そして僕は、(主な観客である)アメリカ人がよく知っている実話をベースにしているからこそ、物語性を省略して映像美で見せる映画に仕上げたのだろう、と感じた。

「ダンケルク」でも、同じことが言えるのではないかと感じた。この「ダンケルクの戦い」がどれぐらい欧米人の間で知られているのか、僕は知らないが、知られているという前提で物語性を薄めている、という部分もあるのではないかと感じた。

そう考えた時、この映画の凄みはやはり映像の迫力にあると感じる。僕自身は、クリストファー・ノーランがCGを使わない人だ、という事前知識を持っていたので、映画を観ながらその凄さを感じ取ることは出来た。だから僕自身には不満はないが、クリストファー・ノーランという監督のことを良く知らないで観た人には、この映像の強さみたいなものはうまく届きにくいかもしれない。少なくとも、CGを使っていないで撮影しているのだ、と知って観るのとは見方が全然変わるだろう。

事前知識があるか否かで評価が変わりうる、という部分が、僕にはこの映画の一番の欠点に思えてしまった。もちろん、CGを使っていないと分かっていても迫力のある映像なのは間違いないのだが、それがCGで生み出されているのだろう、と感じてしまえば凄みはやはり半減してしまう。

史実を基にしている点、そしてCGを使わずに撮影している点、そして映像の迫力などは素晴らしいと思いました。しかしそれでも、何も知らないで観た場合の評価が辛くなりそうな映画だ、と感じました。

「ダンケルク」を観に行ってきました





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