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ちっちゃな科学 好奇心がおおきくなる読書&教育論(かこさとし+福岡伸一)

本書は、生物学者である福岡伸一と、絵本作家であり、科学絵本の第一人者でもあるかこさとしが、子供の頃どんな風に過ごしたのか、どんな風に本を読むのか、どんな風に学んだのか、現在の教育についてどう思うかなどを語った作品である。

とはいえ、本書のための書きおろしというのはほとんどない。既に何かの本や映像に収録されているものを色々集めて構成している部分が多い。

そして、だからこそ本書は、ちょっと欠陥があると僕は感じる。

本書は、どんな人を読者として想定しているのかがちょっとうまくイメージできない。

本書は、内容を考えると、子ども自身が自分で読める本になっているといいな、と思う。本書は、福岡伸一とかこさとしが、子どもの頃の経験や、どんな風に物事を学ぶのかを平易な文章で書いている部分がある。そういう部分は、子どもでも読めるだろう。

しかし本書には、子どもが読むにはちょっと難しいだろうというかこさとしの文章があるかと思えば、教育者に向けてのかこさとしからの提言もある。これらは、子ども自身が読んでもまるで面白くないだろう。

もちろん、子どもが自分からこの本を買うわけではないと思う。大体は親が買うだろう。そして、必要な部分だけ読ませればいい。まあそういう考え方もある。

でも本書の中で二人は、様々な形で、「子ども自身が好奇心を持たなければ何も学べない」という話をしている。

『ここで示されたのは①自分たちに関係することで、②やり方や順序が理解できることで、③興味がわくことの三条件がそろうと、子どもたちはそれを自分のものとして愛し、努力し、工夫し、そのことに喜びをもち、結果として成長の力をもたらすという遊びの法則であった(かこさとし)』

『大人が、子どもにセンス・オブ・ワンダーを植えつけることはできないと思っています。センス・オブ・ワンダーは自分自身で自発的に気づかないとほんとうに驚く(ワンダー)ことになりませんし、そこに喜びも湧き上がってきません(福岡伸一)』

僕には本書が、二人がそうであって欲しいと言っているような形になっていないような気がするんです。そこがちょっと残念かな、という感じがしました。

まあ、親が読むことを想定して造られているというのであれば、悪くはありません。そうであったとしても、例えばかこさとしの四半世紀以上前に書かれた文章は要らないような気はしますが、子どもとどう接するべきか、子どもにどう教育するべきかということを親に伝えるという意味では悪く無いような気がします。

でも個人的には、子ども自身でも全ページ読める本、という体裁になってて欲しかったなぁ、と思ってしまったのでした。

本書全体を貫く考え方は、「子どもに好奇心を持たせることは出来ないが、その入口までは連れて行くことは出来る」という発想です。福岡伸一は中国の「馬を海辺に連れて行くことはできても、水を飲ませることはできない」ということわざを挙げてこれを端的に説明しています。

それは本当にそうだな、と思っています。子どもに限りませんが、特に子どもは、興味のあることであればもの凄い能力を発揮する。でも、興味のないことに対してはいくら時間を費やしたところでそこそこのことしか出来ない。
ただ、子どもが何に興味を抱くか、それは色々触れさせてみるしかない。その「触れさせる」というのが教育なのであって、子どもに対して大人が関われる部分なのだ、というようなことを様々な形で書いている。僕はそんな風に受けとりました。

そして、様々なことに触れさせる、という意味で「本」というのは有用性が高い、ということを改めて感じました。もちろん今後は、インターネットやパソコン的なもので様々なことに触れるというような時代になるでしょう。本の有用性は劣って見られるかもしれません。とはいえ、インターネットやパソコン的なもので子どもを啓蒙するという歴史は、まだまだ浅いです。将来的にはそちらの方がより啓蒙する力を持つようになるかもしれないけど、まだまだ、長い歴史を持つ本というメディアには敵わないように思います。

また、インターネット上に存在する有用な情報は、すぐに拡散されて、みんなが知るところとなります。これは僕の持論ですが、僕は、みんなが知っている情報をいくら持っていても戦えない、と考えています。本の場合は、どれだけ有用な情報が書かれていても、それが本というメディアの中に収まっている限り、みんなに瞬時に広まることはありません。これは、本から得た情報は、みんなが知っている情報ではない、ということを意味するのではないかと思います。そして、みんなが知らない情報をどれだけ蓄えられるかで未来が変わってくるのではないか、と感じることがあります。そういう意味でも、本の方が利点があるといえるかもしれません。

学ぶ、学ばせる、ということについて改めて考えさせる一冊です。

福岡伸一+かこさとし「ちっちゃな科学 好奇心がおおきくなる読書&教育論」

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こんばんは。お久しぶりです。
9月に入り、少し涼しい気がします。今年の夏は暑かった!というのが正直な感想ですが、エアコン嫌いの私としては職場の冷房の方が辛かったです(泣)。設定温度が20℃なんていう日もありましたし、節電などかけ声だけでした。

今日、この本を読みました。通りすがりさんがお書きのように、どんな読者を想定して書いているのかが、良くわかりませんね。でも、特別ひっかかる部分もなくスラスラ読めました。好奇心を育てる教育という視点で考えると、今の日本のやり方は座学中心ですし、実験と言いましてもほぼお膳立てができていて、生徒は最後の部分(結果につながる部分)のみ関わるという感じですので、ダメでしょうね。自由度を高めると、色々なことはできそうですが、それには今のままの大人数では無理ですし、第一危険です。1クラスの人数をもっと絞れば、解決する問題はたくさんあるのに…と思いますよ。要はお金の問題ですよね。教員の数を増やし、担当する生徒の数を減らせばよいのでしょうが、先立つものがないということで、生徒はかなり窮屈な思いをしていると思います。

理系と文系に分けることも、お二人が語っているように、あまり意味がないように思います。高校時代に、理科や数学の点数が良いかどうかで、文系か理系かに分けているのが現実でしょう(笑)。極端なことを言うと、理科や数学ができないから自分は文系と決める生徒も多いのではないでしょうか。通りすがりさんのように物理が好き、数学が好きという生徒はレア(=貴重)かな?と思いますよ。その教科が好きかどうかではなく、その教科の試験ができるかどうかで進路が決まるのは由々しき問題ですよね。

福岡さんの著作は何冊か読んでいますが、今度はかこさとしさんの本(絵本が多いようですね)も読んでみたいという気になったのが、この本を読んだ私の収穫です。

先週、京都に行ってきました。京都御所のお庭でススキや萩の花を見つけ、秋を実感しました。今日お墓参りに行ったお寺には白い彼岸花が咲いていました。いよいよ読書の秋到来ですね! お互いに素敵な本との出会いがありますように。。。

[7721]

お久しぶりです!
そちらも涼しくなりましたか。今年は、暑いかどうかより台風が多くて変な夏だったなというイメージでしたけど、ドラさんは大丈夫でしたか?女性は冷房が辛いって言いますよね。僕も冷房は嫌いなのでお察しします(僕は職場が全然涼しくないのでなんの問題もないですけど 笑)

個人的には、座学中心はある程度仕方ないのかなぁ、とは思ってしまいます。文科省による指導要領の変更と、それによる現場の教員の混乱みたいなことが書いてある本を読んだことがありますけど、やっぱり現場の先生は相当大変みたいですし。僕は、やりたいと望んだ生徒にそれが出来る環境を整えてあげる、みたいなことは出来るのかな、と思います。全校生徒に対しては無理だけど、関心を持った生徒には深められるような教材や環境があればいいのかなぁ、と。

理系と文系は、そうですよね。僕も、その分け方は意味がないよなぁ、と思います。教育現場のレベルでは、そこを分けないと成り立たないのかなぁ、とも思いはするんですけど。ちょっと違う話ですけど、高校時代に、「お前は東大の医学部に入れる」と言われていた同級生がいたんですけど、医学部には興味ないからと言って理科一類に入りました。出来る出来ないで決める問題ではないよな確かに、とその時も思いました。

かこさとしさんの科学絵本はちょっと読んでみたいなって僕も思いました。ちょっと絵本の中身が写真で載ってましたけど、面白そうでしたよね。

京都、いいですねぇ。1年ぐらい前にちょっと立ち寄りましたけど、京都らしいところに行ったのはもう大分前です。京都も良い時期でしょうね。
素敵な本との出会いがありますように~

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2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
20位 大沼紀子「てのひらの父

新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
3位 「街場のメディア論
4位 「デフレの正体
5位 「明日のコミュニケーション
6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
9位 「メディア・バイアス
10位 「量子力学の哲学

小説以外
1位 「死のテレビ実験
2位 「ピンポンさん
3位 「数学ガール 乱択アルゴリズム
4位 「消された一家
5位 「マネーボール
6位 「バタス 刑務所の掟
7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)