黒夜行

左脇のプロフィールにある「サイト全体の索引」から読みたい記事を探して下さい。

2時間でおさらいできる日本史(石黒拡親)

子供の頃から、ずっと歴史が大嫌いだった。歴史を学ぶ意味も、歴史を暗記しなくちゃいけない意味も、まったく分からなかったからだ。
僕はバリバリの理系で、数学とか物理が大好きだった。数学や物理は、一定の法則の元、答えが一つに決まる。数学はパズル的な知的遊戯としての面白さがあるし、物理は世の中の現象を理解するための、そして未来を予測するための道具としての強力さが好きだった。
しかし歴史は、何が面白いのかさっぱり分からなかったのだ。
その理由には、「暗記しなくてはいけない」という点も大きく影響していただろう。理系だった僕からすれば、歴史の授業なんて、とりあえず受けているようなものだった。歴史を学ばなくても、政経とか地理で受験はなんとかなる。じゃあ、なんのために人名だとか年号だとかを覚えなくちゃいけないのか?
今考えれば、歴史を純粋に物語として見ることが出来れば、面白いと感じられたかもしれない。しかし当時の僕にとって、歴史というのは、ただ暗記しなくちゃいけないものでしかなくて、まるで興味が持てなかったのだ。

また、歴史そのものに対する懐疑、というのも、僕は昔からずっと持っている。
例えば、南京大虐殺があったかなかったか、そんな議論が未だになされている。まだ100年も経っていないような出来事の真偽が、確定していないのだ。じゃあ、数百年、数千年前の歴史の正しさを担保してくれるものって、一体なんなのだろう?と僕は思ってしまうのだ。

それでも、「○○だと考えられています」という風に教えてくれれば、僕もまだ納得できただろう。しかし、歴史の教科書や授業では、「○○だった」というような、断言調で語られるのだ。そんな風に断言できるほどの真実性が、どこにあるのか?
物理も、常に理論は変化していく。それまで正しいと思われてきたものが次々と塗り替えられていく学問だ。それでも教科書や授業では、歴史と同じく「○○である」と断言される。
しかし歴史と違うのは、物理の方は、検証可能だ、ということだ。学生には難しいかもしれないが、しかし教科書に書かれていることはすべて、その真偽を誰でも確かめられるようになっている。歴史の場合は、タイムマシンでも開発されない限り、そんなことは不可能だ。永遠の水掛け論でしかない。

そんな風に僕は、ずっと歴史というものが嫌いで、本当にほとんど学ばないでここまで来てしまった。嘘ではなく、僕が知ってる年号は「1192年(いい国作ろう鎌倉幕府)」と「1600年(関ヶ原の戦い)」だけだ。1192年は異説が唱えられているとかで、となると関ヶ原の戦い年号しか知らない。坂本龍馬が何をした人なのか説明できないし、そもそも室町時代とか鎌倉時代なんかを正しい順番で言えない気がする。一時話題になった、高校での必修科目の未履修問題。それが社会問題になった時点で僕はすでに成人していたけど、僕も高校では、必修科目であったはずの世界史・日本史は結局学ばなかった。

さて、大人になって、社会の中でそこそこ生きてみて感じることは、
“子供の頃、歴史の勉強をもっとちゃんとやっとくんだったなぁ”
ということだ。これは本当に後悔している。僕はあまり過去の自分の言動を後悔しないのだけど、振り返ってやり直せるなら、歴史と古典の勉強をきちんとやり直したい。

歴史というのは、様々な現代の出来事を理解するのにも必須だし、社会人として持っておくべき教養でもあるし、また人間の思考や行動の枠組みの幅を取り込むことも出来るのだ。また純粋に、歴史をベースにした様々な娯楽(映画や本や漫画やゲームなど)が楽しくなる、ということもある。普段関わらない年配の人との会話のとっかかりにも使えるかもしれないし、国際化が叫ばれる世の中においては、自国の歴史をきちんと知り自分なりの意見を持っているというのは大事なことだとも思う。学生時代こそ、歴史なんて学んで何になるんだ、二番目にクソみたいな学問だな(僕にとっての一番は国語だった)と思っていたのだけど、後悔しきりである。

大人になってから、まったくの基礎知識なく歴史の勉強をやり直すのは実に困難だ。色々調べたけど、「少年少女まんが日本の歴史」みたいなやつをひたすら繰り返し読むというのがいいのだろうな、という結論に達してはいる。しかし、全20巻ぐらいの本を買うのもしんどいし、なかなか時間もない。

そんなわけで、とりあえずざっくり流れを知るために、本書を読んでみたのでした。

本書は、予備校講師である著者が、普段は生徒に暗記させるような固有名詞をなるべく排除して、歴史の大きな流れを掴むことが出来るように書いた歴史の本です。
まえがきに、こんな風に書かれている。

『(世界史の図鑑にはハマったが)ところが、その歴史の流れを説明する本を読むと、今一つ楽しめない。最後まで読み通すのも苦痛なくらいだ。一番大きな壁だったのは、まぎらわしいカタカナ名だった。ローマの歴史に出てくる「グラックス兄弟」と「将軍クラッスス」などは、別人と気づかないまま読み進めていた。
自分の記憶力のなさにうなだれるほかないが、じれったさもつのった。
「人名なんてどうでもいいから、人間の営みそのものが知りたい!」と。
ローマのあの高い文化水準が、その後なぜ衰えてしまったのか。そっちの方がずっと気になるのである。そうして思ったのは、普通の人が日本史の本に向かうときも、同じ感情を抱くのではないだろうか、ということだった』

そこで著者は、暗記や詳細な解説を目的とする本ではなく、あくまでも歴史全体を概観出来るようなそんな本を書こうと思ったようです。

本書のタイトルには「2時間で」とありましたけど、僕は2時間では読めませんでした(笑)
やっぱり、あまりにもベースとなる歴史の知識がなさすぎるのでしょう。でも、なかなか面白く読めました。

本書は、「これこれが起こった」だから「これこれがこうなった」という流れを結構重視して説明してくれる。これがわかりやすい。たとえば「武士」というのは、元々、所領を守るために武装した者だった。かつて土地は幕府のものだったが、力のある領主が「この土地を俺にくれ」と幕府に言うと、幕府はそれをOKしたのだ。土地を広くすることに領主が躍起になってくれれば、税収が増えるからだ。そうすると、土地を広げたいと考える領主は当然、他の領主とぶつかり合うこともある。そういう時のために武装したのが、「武士」の始まりだった、というのだ。

確かに、唐突に「よっしゃ、武装して戦おうぜ!」という、暴走族みたいな輩が現れたなんて風には考えにくいんだけど、とはいえ、「何故武士が生まれたのか?」なんていう疑問を持ったことのなかった僕には、なるほど!という感じでした。誰かが何かをした、その結果がある時の別の何かに影響を与えている。そういう風に歴史を複層的に描くことで、歴史を一つの繋がりのある存在として感じられるようにしてくれているのだと思います。

また、著者もそう書いているように、固有名詞を出来るだけ排除しているように感じられるので、読みやすいです。ところどころ固有名詞が出てこますが、重要そうなものは太字になっているので、これは最重要なのだなということが伝わるようになっています。

一回読んだだけでは頭に残らないでしょうけど、何回か読んで、歴史の流れを掴めたらいいなと思っています。

石黒拡親「2時間でおさらいできる日本史」


関連記事
スポンサーサイト

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://blacknightgo.blog.fc2.com/tb.php/2955-a17348a9

 | ホーム | 

プロフィール

通りすがり

Author:通りすがり
災害エバノ(災害時に役立ちそうな情報をまとめたサイト)

サイト全体の索引
--------------------------
著者名で記事を分けています

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行~わ行

乃木坂46関係の記事をまとめました
(「Nogizaka Journal」様に記事を掲載させていただいています)

本の感想以外の文章の索引(映画の感想もここにあります)

この本は、こんな人に読んで欲しい!!part1
この本は、こんな人に読んで欲しい!!part2

BL作品の感想をまとめました

管理人自身が選ぶ良記事リスト

アクセス数ランキングトップ50

TOEICの勉強を一切せずに、7ヶ月で485点から710点に上げた勉強法

一年間の勉強で、宅建・簿記2級を含む8つの資格に合格する勉強法

国語の授業が嫌いで仕方なかった僕が考える、「本の読み方・本屋の使い方」

2014の短歌まとめ



------------------------

本をたくさん読みます。
映画もたまに見ます。
短歌をやってた時期もあります。
資格を取りまくったこともあります。
英語を勉強してます。













下のバナーをクリックしていただけると、ブログのランキングが上がるっぽいです。気が向いた方、ご協力お願いします。
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

アフィリエイトです

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
13位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
10位
アクセスランキングを見る>>

アフィリエイトです

サイト内検索 作家名・作品名等を入れてみてくださいな

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

カウンター

2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
20位 大沼紀子「てのひらの父

新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
3位 「街場のメディア論
4位 「デフレの正体
5位 「明日のコミュニケーション
6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
9位 「メディア・バイアス
10位 「量子力学の哲学

小説以外
1位 「死のテレビ実験
2位 「ピンポンさん
3位 「数学ガール 乱択アルゴリズム
4位 「消された一家
5位 「マネーボール
6位 「バタス 刑務所の掟
7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)