黒夜行

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「ピエロがお前を嘲笑う」を観に行ってきました

一人のハッカーが、ユーロポールに出頭する。ベンヤミン。彼は、世界中を騒がせているハッカー集団<CLAY>の一員だと言う。
彼は、彼が<CLAY>に関わる前から、彼の物語を始める。
どこにいても“透明人間”だった少年。特技もなく、スーパーマンでもない。負け犬で、ただの変人だった。
14歳の時、コンピューターと出会う。一気にハマり、ハッキングに手を染めた。好きな女の子が単位を落としそうな試験問題を盗もうとした。
捕まり、50時間の社会奉仕活動を命じられる。そこで出会ったのがマックスだった。
マックスは、シュテファン・パウルという仲間と共に、何かをしていた。ベンヤミンは、マシン語の腕を試すように言われて、その実力を証明してみせた。彼らの、仲間になった。
<CLAY>-<ピエロがお前を嘲笑う> ピエロの仮面を被って社会を挑発した動画から、彼らはそう名乗るようになる。
彼らは、様々なハッキングをした。マックスは、MRXという、ハッキングのスーパーヒーローの目を振り向けさせたかった。しかし、MRXは、彼らを相手にしない。そこで彼らは、連邦情報局に侵入を試みることにした…。
ベンヤミンの話を聞いているのは、ユーロポールのリンドベルグ。ベンヤミンからのご指名だ。リンドベルグは、ベンヤミンの話をじっくりと聞き、彼の目的を推測する。
“奴の話には、大きな穴がある”
ベンヤミンの告白は、何をもたらそうとしているのか…。
というような話です。

まあまあ面白い作品だった、という感じでしょうか。正直、期待したほどではなかったかな、という感じはします。とはいえ、全体的にはなかなか良く出来た映画だとは思いました。

基本的には、ベンヤミンという男が語る、<CLAY>の歴史を追う物語です。それ自体、なかなか面白い物語です。個性的なハッカー集団、一筋縄ではいかない人間関係、引っ込み思案であるが故にままならない恋。そういう様々なスパイスを混ぜ込みながら、基本的にはハッキングが様々に展開されていきます。
彼ら<CLAY>は、3つの信条をベースに行動していきます。

1. 安全なシステムはない
2. 不可能に挑め
3. 仮想空間と現実空間を共に楽しめ

これは元々、ハッカー界のスーパースターであるMRXが言っていたもので、MRXに心酔しているマックスとベンヤミンが追従したものです。
この内、1の「安全なシステムはない」というのは、まさにその通りなんだな、と感じます。僕は、システムだのプログラムだのと言ったことには全然詳しくないから、彼らが何をしてるのかは分からないんだけど、でもハッキングというのは、そういうコンピューター上のことだけではありません。彼らが、かなりセキュリティの高い連邦情報局に侵入した時のやり方は、コンピューター上であれこれしただけでは不可能なものでした。

安全で完璧なシステムを無効にするのは、常に人間の存在です。システムの最大の脆弱性は、人間であると言っても言い過ぎではないでしょう。どれほど優れたシステムがあっても、それを使うのは人間です。すべての人間が優秀で完璧でない限り、どこかに穴はある。

『大胆にやれば、世界は平伏する』
『世間の連中は眠らされているんだ。安全なんてどこにもないんだ。でも、それさえわかれば、世界を手に入れたも同然だ』

卓越したハッキングの技術が存在することが大前提ではあるのだけど、でも確かに彼らの言っていることは正しいのだろうなと思います。どんな情報も、それがオンライン上にある時点で、盗まれたり書き換えられたりする可能性はある。だからと言って僕らはもう、インターネットのない生活には戻れない。安全なシステムなどどこにもないのだ、ということを自覚して生きていく以外、方法はないのでしょう。

さて、ハッキングはトリックだとベンヤミンは言います。確かにその通りで、人間を騙してシステムの入り口に入り込み、そこから奥深く探索する。これが、この物語の非常に重要なポイントの一つだ。この物語の、どこにトリックが仕掛けられているのか。

さて、詳しくは書けないのだけど、しかし僕は、このプランは、ちょっと厳しいのではないかという感じがしました。賭けだと言われればそれまでだし、『大胆にやれば、世界は平伏する』の実践なのかもしれないけど、狙い通りの結果を導くのはかなり運が必要なのではないかという気がしました。もちろん、僕がきちんと捉えきれていない部分に、成功の確率を高める要素があったのかもしれないけど、僕にはちょっと良くわかりませんでした。

エンタメとしてはほどよく楽しめる作品かなという感じです。

「ピエロがお前を嘲笑う」を観に行ってきました
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2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
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新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
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5位 「明日のコミュニケーション
6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
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小説以外
1位 「死のテレビ実験
2位 「ピンポンさん
3位 「数学ガール 乱択アルゴリズム
4位 「消された一家
5位 「マネーボール
6位 「バタス 刑務所の掟
7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)