黒夜行

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【福島の今を知り、私たちの未来を考える旅 第三弾:秋の稲刈り】に行ってきました

先週もわたくしは、福島への日帰りのバスツアーに行っていましたが(【解放食堂・ふくしま弾丸ツアー 2013/09/29】に行ってきました)、今日もまたわたくしは、日帰りのバスツアーに行ってきました。

今日行ってきたのは、5月に参加したHISのスタディツアー(【福島の今を知り、私たちの未来を考える2日間】(HISスタディツアー)の感想)の第三弾でした。第一弾(僕は行っていません)が種まき、第二弾(参加しました)が田植えで、そして今回の第三弾で稲刈り、という流れになっていたツアーでした。前回の第二弾は、農家民宿に一泊するというスケジュールでしたが、今回は日帰りのツアーでした。

前回の参加者はほとんどが女性で、かつ全国各地様々なところから参加者が集まっていましたが、今回は東京・神奈川・千葉・埼玉・栃木と、関東近郊からの参加が多かったです。とはいえ、奈良・静岡・徳島と行った遠方からの参加者もいました。行きのバスの中では、僕らが稲刈りでお世話になる、二本松市東和地区で有機農業をされている菅野正寿さんと、その娘である菅野瑞穂さんの取り組みを取材したテレビ番組を見つつ、という感じでした。

11時過ぎ頃、稲刈りをする田んぼに到着します。

田んぼ着

前回田植えにお邪魔した時と同じ田んぼです。この田んぼは、新潟大学と共同で3年間調査を続けている田んぼだそうです。同じ田んぼの中でも、水が入ってくる「水口」は線量が高く、それ以外のところはさほどでもない。また、土壌を何センチひっくり返すのか、どのような肥料を使うのか、ゼオライトの分量はどうなのか。そういう違いを作って、それぞれでどう変化が生まれるかを調査しているんだそうです。

菅野正寿さんのお話によれば、一番の問題は「水」だそうです。阿武隈山系に囲まれた地形で、そのお陰で原発から近い(48km)のにも関わらずそこまで線量が上がらず、こうして作付をすることが出来るし、元々阿武隈山系の綺麗な水でいいお米が出来ていた。しかし今その水が問題で、どうしても水がセシウムを運び込んでしまう。特に7・8月の集中豪雨による「濁り水」が大敵だそうで、綺麗な水であれば0.01ベクレルぐらいだけど、濁り水になるとその10倍になることもあるという。今後は、そういった濁り水がいかに田んぼに入らないようにするか、それを模索していくということでした。

ちなみに今日の空間線量は、風向きなどによって逐一変化するらしいですが、ついさっきは0.45、今は0.58、というような報告を最初に受けました。

まず菅野正寿さんから、稲刈りのレクチャーをしてもらい、それから田んぼに入ります。

稲刈り中

刈る方は、鎌を持ってザクッて感じで切れば、すんなりとは行かないまでも、ちゃんと刈れます。ただ、体力がないんでしょうね。すぐに、鎌を持つ右手が痛くなりました。腰が痛くなるかなと思ったけど、右手の方がいたかったです。

刈った田んぼ1

そして刈った稲を藁で縛る作業もあるんだけど、これがなかなか難しい。やり方はわかるんだけど、上手く出来ない。そこまで下手なわけではなかったと思うんだけど、スイスイって感じでは出来なかったなぁ。縛るのはとても難しかったです。

そしてそれから、「はせがけ」という作業に移ります。これは、農村部を訪れたことがある人(あるいはテレビでも農村部の映像としてよく出てくるでしょう)はわかると思いますが、藁を天日干しするやつです。

はせがけ2

これも、二つに割った藁をひたすら重ねていくだけなので、そんなに難しいわけではないんですが、何せ量が結構なもので、人出もかなりあったので、割とすんなり一列終わった感じはしたけど、稲刈り・縛る・はせがけという3セットを、全部の田んぼでやるのは物凄く大変だろうなと思いました(もちろん、機械でも刈るわけなんですが、機械ではなかなか借りきれない端っこの部分を中心に、鎌で稲刈りをしたのでした)。

さて、今回の稲刈りには、「ふくしま新発売」という、農産物のモニタリング情報を配信しつつ、福島の「今」も届けようとしているウェブサイトの取材も入っていました。今回の取材は、あるイベントに直接は参加できない菅野瑞穂さんが、ビデオレターとして送る映像の中に、この稲刈りの光景を入れたいということでの取材だったようです。「ふくしま新発売」の方は、「外からこうして来てくれる人たちのことを紹介したいという、瑞穂さんの思いを強く感じてやってきました」というようなことを言っていました。

また今回の稲刈りには、僕ら以外のお手伝いの方もいたわけですが、異色だったのがセルビア人の男性です。後々昼食会の自己紹介で聞くことになりましたが、日本に初めて来たのは25年前、17歳の時で、東和地区に来るのは今回で三回目。稲刈りは二回目だということです。稲刈りは二回目だという割には、はせがけをするための支柱(長い木の棒)を、刈り終わった田んぼに突き刺す作業をかなり手慣れた感じでやっていて、カッコ良かったです。

それから、昼食会の会場に移動です。

昼食会

本当であれば屋外でバーベキューという予定でしたが、天候が保つのか読めなかったとのことで、今回は屋内での昼食会ということになりました。とはいえ実際、昼食会の最中に雨がパラパラ降り出したので、ナイスな判断だったと言えるでしょう。

昼食会の会場につくまでのバスの窓外からの光景には、先ほど自分たちでもやった「はせがけ」が至るところで見られました。支柱を使わずに二つに割った稲の束を直接田んぼに置いているもの、かなり高くまで「はせがけ」をしているもの、そして中にはガードレールに直接「はせがけ」をしている光景なんかもあって、なかなか面白いなと思いました。


昼食会の会場にたどり着いてすぐ、餅つきが始まりました。

餅つき2


餅つき4

正直餅つきをちゃんと見るのも、杵を持つのも初めてで、なかなか面白い経験でした。ついさっきまで米だったものが、あんなに短時間で餅になるんだなぁ、という感じがしました。

昼食会ではまたひと通り自己紹介をしましたが、非常に印象的だったのが、とある作家さんとまったく同じ名前のおじいちゃんのお話。

「終戦後、山梨にいたけれど、目の前に稲穂がなっていても自分たちで食べられるわけではなかった。30日の内、7日間分ぐらいしか配給がなくて、何食べてたんだか全然覚えてないですけど、でも食べてなかったんでしょうなぁ。小学校に上がるようになると、お弁当を持って行くようになるんですが、持って行くようなものがないんですよ。そんなわけで、私は今、ごはん粒一つだって残せないですし、お米を研いでいる時に一粒でも落ちちゃえばそれもきちんと拾います」

そして、

『みなさん、美味しいお米、美味しいお米って言いますけど、私にとっては「不味いお米」なんて、ないんですよ』

と言って涙ぐみます。食べ物に強い関心の持てないわたくしですが、背景にあるものをこんな風に知ると、お米に限らず、様々な人が様々なものに対して持つ価値観みたいなものは本当に色々なのだな、と実感させられました。

昼食会も終わり、それから、前回も立ち寄った「道の駅ふくしま東和」に向かいます。NPOが運営する珍しい道の駅であり、ここでは農家の方が栽培した野菜を自主的に検査し、基準値以下のものしか扱わない、という方針を貫いています。そのための測定器の見学も、またしてみました。この道の駅で売られているものには、すべて生産者の名前が書かれています。ここで僕はなんとなく、下駄を買ってみました。すぐに履き替えて、以降はすべて下駄で過ごしました。

ここから本来であれば、疲れを癒やすために温泉に向かう予定でしたが、大型バスでは通れない道があり迂回して行かなくてはならないが、そうすると新宿の到着時間がかなり遅くなる、という状況になり、温泉を諦める形となりました。そうして、新宿まで帰ってきました。

これからもまた、何らかの形で福島と関わっていけたらいいかなと思っています。バスだとなかなか疲れるけど、とはいえやっぱり、福島って、そんなに遠くないしね。

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2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
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18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
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新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
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6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
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小説以外
1位 「死のテレビ実験
2位 「ピンポンさん
3位 「数学ガール 乱択アルゴリズム
4位 「消された一家
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7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)