黒夜行

左脇のプロフィールにある「サイト全体の索引」から読みたい記事を探して下さい。

ソーシャルデザイン50の方法 あなたが世界を変えるとき(今一生)

内容に入ろうと思います。
本書は、広くソーシャルデザイン・ソーシャルビジネス・社会起業家などをテーマに、「世の中をよくしよう」という企業や個人の活動などをテーマにライターを続けている著者による最新刊です。実際今行われているソーシャルデザインの50(以上)の実例を元に、自分に出来ることを模索させるような、そんな作品に仕上がっています。
「ソーシャルデザイン」と聞いて、パッと何か頭に浮かぶでしょうか?僕自身はこの「ソーシャルデザイン」に最近特に関心があるのですが(関心があるだけで、行動は伴わない)、まだまだ日本ではこの「ソーシャルデザイン」が「日常」にはなっていないという印象が強いです。ネットの辞書で拾うと、「どのような社会を築いていくかという計画。社会制度から生活基盤の整備に至るまで非常に幅が広い。」というような意味が出てきますが、僕なりに表現すると、「身近な問題に小さなアクションで解決策を模索すること」というのが、個人にとっての「ソーシャルデザイン」の意味かなと思います(企業や社会にとっての「ソーシャルデザイン」は、また違う意味を持つでしょうけど)。

『「弱者のガマン」と「他人の無関心」の共犯によって、問題は日に日に深く広く世の中に拡大していき、やがて誰もが手に負えない大きな社会問題に育ってしまう。(中略)社会問題には、1億2000万人超という人口から見れば、少数派になる人々の問題が数多く含まれている。それらを「小さい問題」だと片付ければ、「当事者のガマン」と「多数派の無関心」との相乗効果で誰の手にも負えない大問題に発展しかねない』

『この佐藤さんの言葉は、医療の分野だけでなく、多くの専門家が自分の職域にしか関心がないために消費者に不安や不満が少なからず生まれることを示唆している。
それに気づかず、「専門外」のことを「関心外」にしたまま消費者をただの「お金を払う人」としてしか認知できないからこそ、多くの人が「社会的弱者」になってしまうのだ。
社会的弱者を作り出しているのは、自分の職域外に対する無関心である』

このような問題提起を著者はしていきます。僕らの身近には、色んな問題がある。テレビでは取り上げないけど身近で暮らしに直結する問題、あるいはテレビで取り上げないほどのマイノリティな存在に関わる問題。そういう問題に対して、あなたはどんな態度を取っていますか?と、著者は問いかけるのだ。

『だから、どんな社会問題もやがて自分の身に降りかかる苦しみとなることを忘れずにいたい。そして、自分がイ過ごせない社会問題は、政治家に頼ることなく、自分たちの手で解決していけると信じてほしい。既に多くの人が自分が見過ごせないと思った社会問題の解決に動き出している。市民の力で社会をより良いものへ作り変える活動はソーシャルデザインと呼ばれ、町作り・環境保護・福祉・ビジネスなど、多くの分野で試みられている』

しかし、自分にはそんな大層なことは出来ない、と思う人も多いだろう。社会問題を解決する?環境保護を促進させる?福祉を充実させる?無理無理、そんなん自分の手に負えるような問題じゃないって、そういうのは、政治家がやるんでしょ、と思う人も多いだろう。しかし、「自分にはそんな大層なことは出来ない」という思い込みから抜け出すことがまず大事なのだ。

『しかし、自分が仕事で覚えた技術や経験に大きな価値があることに気づいていない人は少なくない。毎日同じような作業を繰り返し、同業者とだけ顔を付き合わせていれば、「自分は『できて当たり前』のことしかしていない。自分よりできる人はいっぱいいる。だから自分は世界を変えるような技術なんてもっていない」と思いがちだ』

『本業を通じて子どもたちに夢を与えるのは、マンガ家の特権ではない。どんな仕事でも、それぞれの仕事現場では日々培ってきた独自の技術で子どもたちを喜ばせることがdえきる。
山本さんがふだんの仕事の価値を被災地の子どもたちに教えられたように、ボランティア現場ではふだんの仕事が他の業界の人にどう映るのかを知らされる。
自分や同業者にとって当たり前の職業技術は、その業界を知らない大人や子どもたちにとっては魔法使いの杖と同じ。
つまり、働いている人の誰もが、自分が無理なくできることで弱りきった人たちを救える力をもっているのだ。
あなたの魔法は何?』

最近では、業務外の時間を活用し、毎日のしごとで蓄積したプロの技術や知識をNPOや社会起業家などの公益事業団体に提供し、彼らの社会貢献活動を支援するボランティア「プロボノ」という活動が浸透しつつあるらしい。「人生の充実」を求めて、「プロボノ」に参加するサラリーマンが増えているという。本書には、こんな描写もある

『若い世代では、まったく新しい社会問題に苦しんでいる。
「自分の勤務先では自社の利益が最優先で、自分のしごとが誰を幸せにしているのかわからず、やりがいも面白みも感じないので空しい」
そういう理由で退社する若者が続出している。先代からの資産もある世代にとっては、自尊心を満たせない仕事は空しいばかりなのだ』

『「みんなガマンしてるんだから安定した会社で働き続けろ」という声は、「仕事の社会的価値」という新しい価値観に目覚めた世代にとっては、不当なガマンを強いられているのと同じだ。そうした同調圧力が若くて優秀な人材を社内で孤立に追いつめ、うつ病や自殺へと導いている。これは立派な社会問題である』

著者は、被災地支援を例にとって、こんな風に動いたらいいよ、という具体的な行動指針を書いている。

『まずやるべきことは、解決してほしいニーズ(要望)を困っている当事者の被災者に訪ねること。これは、インターネットで被災地支援団体を検索したり、被災者に呼びかけるブログを書いて、twitterなどで拡散すれば、被災者と連絡を取ることは簡単にできる。
そして、自分たちが無理なくできそうなことは何かを具体的に考えること。
みんなと一緒に動けば割と簡単にできてしまうことは少なくない。
みんなが面白がって参加したくなる楽しいアイデアをどんどん書き出し、「ゲームを寄付して東北笑顔プロジェクト」とか、「同世代の被災者に手紙を贈ろうプロジェクト」など活動に名前をつけよう。
そのうえで、自分にはできないと思ったことでも、それができそうな人のリストを作り、初対面でも声をかけ、仲間に誘おう。最初に誘った一人が断っても、人材は世の中に無数にいる。そう信じれば、プロジェクトは必ず実現できるのだ』

本書に書かれている「具体的な解決策」に触れることはしない。本書では様々な問題とそれに対する実際に行われた解決策が提示されているのだが、本書を読む一番の目的が「解決策を知ること」であってはいけないのだ。そうでは無い。本書を読むことで、「何が問題であるのか意識する」という、自分の変化の方が大事なのだ。
重要なのは、「身近な問題に目を向けること」。被災地支援や、カンボジアに学校を建てるなど、大きな問題に目を向けてもいい。しかしそうではなくて、自分が普段生活している環境の中で、「どうしてこれはこうなんだろう?」「もしこれがこうなったらもっと良くなるんじゃないか?」という視点を持つことこそが一番大事だと僕は感じている。本書を読むことで、そういう視点を持つことが出来るようになるのではないかと思う。
僕自身、行動力のない人間なので、人にとやかく言えるような人間ではないのだけど、でもソーシャルデザインの方向に関心はある。生きていることがどうも楽しくない、という人はそれなりにいるのではないかと思う。何をやってても、「こんなことやってていいのかな?」なんて思ってしまう人は、それなりにいるのではないかと思う。何が出来るかは分からない。結果的に、何も出来ないかもしれない。それでも、とりあえず目を向けること、関心を持つこと、そういうところから始めて行くのがいいんじゃないかなと思う。ソーシャルデザイン系の本は、最近良く目にします。本書でなくても、どれか一冊読んでみて、新しい視点を手に入れてください。
ちなみに本書は、著者印税の10%(本体価格の1%)が、寄付に回るそうです。

今一生「ソーシャルデザイン50の方法 あなたが世界を変えるとき」


関連記事

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://blacknightgo.blog.fc2.com/tb.php/2534-cc7313df

 | ホーム | 

プロフィール

通りすがり

Author:通りすがり
災害エバノ(災害時に役立ちそうな情報をまとめたサイト)

サイト全体の索引
--------------------------
著者名で記事を分けています

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行~わ行

乃木坂46関係の記事をまとめました
(「Nogizaka Journal」様に記事を掲載させていただいています)

本の感想以外の文章の索引(映画の感想もここにあります)

この本は、こんな人に読んで欲しい!!part1
この本は、こんな人に読んで欲しい!!part2

BL作品の感想をまとめました

管理人自身が選ぶ良記事リスト

アクセス数ランキングトップ50

TOEICの勉強を一切せずに、7ヶ月で485点から710点に上げた勉強法

一年間の勉強で、宅建・簿記2級を含む8つの資格に合格する勉強法

国語の授業が嫌いで仕方なかった僕が考える、「本の読み方・本屋の使い方」

2014の短歌まとめ



------------------------

本をたくさん読みます。
映画もたまに見ます。
短歌をやってた時期もあります。
資格を取りまくったこともあります。
英語を勉強してます。













下のバナーをクリックしていただけると、ブログのランキングが上がるっぽいです。気が向いた方、ご協力お願いします。
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

アフィリエイトです

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
14位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
11位
アクセスランキングを見る>>

アフィリエイトです

最新記事

サイト内検索 作家名・作品名等を入れてみてくださいな

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

カウンター

2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
20位 大沼紀子「てのひらの父

新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
3位 「街場のメディア論
4位 「デフレの正体
5位 「明日のコミュニケーション
6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
9位 「メディア・バイアス
10位 「量子力学の哲学

小説以外
1位 「死のテレビ実験
2位 「ピンポンさん
3位 「数学ガール 乱択アルゴリズム
4位 「消された一家
5位 「マネーボール
6位 「バタス 刑務所の掟
7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)