黒夜行

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六本木少女地獄(原くくる)

内容に入ろうと思います。
本書は、5つの戯曲が収録された戯曲集です。戯曲ってのは要するに会話だけで構成されているようなもので、本書は演劇用の戯曲を本にしています。
著者は女子高生です。
演劇部なんか全然強くない、原くくるが入部した時部員が3人しかいなかった、学校内でもほとんど存在を認知されていなかったような都立六本木高校の演劇部に入部した原くくるは、自らが脚本・演出・出演を務めた「六本木少女地獄」という演劇で東京都高等学校演劇コンクールでして教育委員会賞・審査員特別賞・中央委員会章・アマチュア演劇創作脚本賞を受賞しまう。のみならずこの「六本木少女地獄」は、関東高等学校演劇研究会で優秀賞を受賞。今演劇界が最も注目する若き才能、なんだそうです。

「うわさのタカシ」
シズカとエミリとサトコという三人の少女が、タカシという男の部屋にワラワラと集まる。タカシは今オーストラリアに言っていていない。その三人の少女たちはみな、タカシの彼女であると主張するのだ。薄々分かってはいたけれど、タカシが浮気をしていた事実を知り混乱する三人。皆、自分こそがもっともタカシに愛されていると主張して止まない…

本書に収録されている戯曲の中で、最も分かりやすい作品だと思いました。筋書きが時系列が直線的で、凄くシンプルです。ラストの方はなんだか不穏な展開になっていくんですけど、基本的には三人の少女が一人の男を取り合うというシンプルな話で、なかなか面白かったです。

「家庭教師のドライ」
タカシ(「うわさのタカシ」のタカシと同一人物)の部屋に、友人が集まってダラダラしている。そこに、家庭教師ドライが現れる。すべての事柄をドライに判断する、タカシが鬱陶しいと感じている家庭教師で、タカシが望んでいないのに部屋にやってくる。ウザい。と何故か、家庭教師ウエットとか言うのまでやってきて、どっちが家庭教師に相応しいか勝負することに…。

これも話としては分かりやすいんですけど、既に結構ハチャメチャな感じですね。初めはただのアホみたいなやり取りの応酬だったのが、次第に色々新事実が出てきて、みんなが(っていうかタカシが)どんどん混乱していく、という話。ラスト付近のオチが「うわさのタカシ」と絡んでくるんで、なかなか巧いですね。

「スズキくんの宇宙」
「銀河鉄道の夜」を下敷きに、学校でいじめられている鈴木が時空をあちこち飛び回る中で、大事なことに気づく、という話。

というような内容紹介しか出来ないなぁ。これは文字じゃなくて、実際の演劇として見てみたかったな、という感じがします。色んな時代を行き来したり、なかなか幻想的(なんじゃないかなぁ)なシーンが散りばめられていたりと、実際の演劇として見たらどうなるのか非常に気になる作品でした。しかし、少なくとも文字で読んでいる分には、話はよく理解できなかったなぁ。

「月の爆撃機」
父と母が姉妹に重大な告白をしようとしているのだけど、妹の早とちりや予期せぬ闖入者の存在によって、両親の告白は一向に進まない。不良三兄弟たちとの不毛なやり取りに時間を取られている間に巨大地震が起き、ななんと、月が地球にぶつかることになるらしい。そこでようやく、両親が◯◯だったと知る姉妹だったが…。

なんというか、中二病色満載の作品で素敵ですね。話をちゃんと理解できているわけではないんだけど、この作品は凄く雰囲気が好きです。世界の滅亡とホームドラマをくっつけた作品で、それだけでもう中二病って感じだけど、なんか面白く読めるんだよなぁ。

「六本木少女地獄」
六本木にやってきた少女。想像妊娠する少女。ボクケットミントンという謎のスポーツをやる羽目になった弟…

みたいなことしか書けないっす。少なくともこの話、文字で読んでる分には僕には全然理解できなかったなぁ。演劇としてまた別の感想になるのかもしれないけど。この脚本で数多の賞を獲得してるなら、ちょっとこれの演劇は見てみたい気がします。ちょっと僕には高度すぎる物語だったかな、という気がしました。


話が理解出来ないものも多かったんだけど、なんとなく、原くくるって人はもの凄く才能に溢れているんだろうなぁ、という雰囲気を感じることは出来ます。どうしても、僕は文字で読んでいるだけでここに収録されている戯曲の演劇を見たことがあるわけじゃないんで、原くくるという人の才能については全然理解できていないんでしょうけど、それでも、なんか凄いパワーを秘めた人だぞ、という雰囲気は伝わってきます。まあ、この作品自体は、僕にはちょっと巧く評価できないんだけども。
最後に。僕のバイト先に昔演劇をやっている子がいて、その子の繋がりである演劇を見に行ったことがありました。劇団名も芝居のタイトルもまったく覚えていなくて、劇中に必ずピンクパンサーが出てくる、ということしか覚えていないんだけど、その劇団のやってた演劇を見て衝撃を受けたことがあります。もちろんその時点で僕は演劇なんかほぼ見たことない初心者だったんで、玄人の人から見たらどうなのかよく分かりませんが、演劇ってこんなに面白いんだ!と初めて思えた経験でした。
だから、ちょっとだけ演劇ってものに興味があったりします。「六本木少女地獄」は、本書で読んだ限りではさっぱり意味不明な感じだったんですけど、演劇で見てみたい気がします。
何にしても、こういう才能に満ち溢れているような雰囲気を漂わせる人はいいですね。
原くくるのインタビューはここから読めます(僕はこれを読んで、本書を買おうと思ったのでした)。
http://sai-zen-sen.jp/sessions/hrkkr/

原くくる「六本木少女地獄」




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2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
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新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
20位 大沼紀子「てのひらの父

新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
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5位 「明日のコミュニケーション
6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
9位 「メディア・バイアス
10位 「量子力学の哲学

小説以外
1位 「死のテレビ実験
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3位 「数学ガール 乱択アルゴリズム
4位 「消された一家
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7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)