黒夜行

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なぜ韓国はパチンコを全廃できたのか(若宮健)

内容に入ろうと思います。
本書は、日本のメディアが一切報道しない、韓国でパチンコが全廃された件について、日本で初めてレポートした著者による作品です。
韓国ではここ10年くらいの間にパチンコが大ブームになり、それに伴って犯罪や自殺者が増加するというような状況になっていた。
ノ・ムヒョン大統領の甥や側近が絡んでいたのではないか、という疑惑の持ち上がった「海物語」という機種についてマスコミが大きく報道をし、そこからパチンコ反対の機運が一気に高まり、その後警察が一斉取締り。最盛期は日本と同数のパチンコ店があったという韓国だが、今は細々と裏で行っているもの(それも適宜警察に摘発される)を除けば、韓国にパチンコは存在しないという。
翻って日本は何故パチンコ全廃出来ないか。マスコミはパチンコ業界からの広告料に目がくらみ、パチンコ業界を悪く言う報道は一切しない。政治家には「パチンコ議員」と呼ばれる、パチンコ業界にぶらさがって擁護している人たちがいて、国会でパチンコ業界が衰退してしまうことについてどう責任を取るのかと詰め寄るような光景も見られる。そして何よりも、パチンコ業界の関連団体へ警察OBが相当数天下りしているので、パチンコ業界は完全に守られているという状況がある。
凶悪犯罪を引き起こし、家族を崩壊させる温床となるパチンコを未だに放置し、あまつさえ業界を養護さえしている日本という国は危険なのではないか、と警鐘を鳴らす作品です。
さて、非常に評価の難しい作品だな、と思います。
題材は非常に面白いんです。僕はこの新書が発売されるまで、韓国がパチンコを全廃したことをまったく知りませんでした。そういう人は恐らく多いだろうと思います。日本のマスコミは一切そういうニュースを流していないのですね。それだけでも恐ろしいなぁ、という感じがします。
韓国がどういう状況になり、パチンコがどういう扱いをされていて、どういう判断の末全廃にまでもっていけたのか、という部分は興味深いんですね。もっと深く突っ込める題材だよなぁ、と思いました。
題材は非常にいいんですけど、評価が難しい点というのは、一言で言ってしまえば、全体的にちょっと雑なんですね。
非常にまとまっていない感じがします。色んな断片を寄せ集めてとりあえず並べてみました、というような感じがします。データもそこまで多くなくて、「◯◯なのではないだろうか」というような、憶測による論旨展開も結構あります。事実よりも感想、という感じですね。さらには、一箇所「ウィキペディアによると」というような、出典がウィキペディアであることを明かしている部分があるんだけど、それはジャーナリストとしてどうなのかなぁ、という感じはしました。それぐらい、自分の足で調べた方がいいんじゃないかなぁ、と思っちゃいました。「ウィキペディアによると」なんて自著に書けてしまうジャーナリストというのは、うーん、なかなか承認しがたいものがありますなぁ。
さらに、知り合いや近所の話、というのが非常に多い。いや、これはそれ自体は別に悪くない。でも、取り入れ方がダメだと思うんですね。
例えばこういう風な取り入れ方ならいいと思うんです。まず取材によりあることが明らかになる。その例として、例えばウチの近所では(あるいは自分の知り合いには)これこれこういうことがありますよ、というような感じですね。これはいいと思うんです。でも本書の場合、まず著者の憶測がある(取材によって確定したものではなくて、著者の感想という感じ)。そしてその後で、ウチの近所では(あるいは自分の知り合いには)実際これこれこういう状況がある。だからやっぱり◯◯なんではないだろうか、というような使われ方をしてるんですね。近所や知り合いの話から敷衍して結論を導き出すのはちょっとやっぱり違うんじゃないかなぁ、という感じがしてしまいました。
あと、『韓国はパチンコを全廃した。だから韓国は偉い』というような論旨展開が結構出てきて、それはちょっとどうなのかな、という気がしました。本書には、韓国では若者が決してシルバーシートには座らない、というような話が出てくるんだけど、それも結局本書の大きな流れの中では、『韓国はパチンコを全廃した国だ。偉い。ほら若者だってシルバーシートには絶対に座らない国なんだぜ』というような文脈で書いている感じがして、それはちょっと違うんじゃないか、という気はしました。確かに、パチンコを全廃した韓国は素晴らしいと思うけど、それを色んな部分に当てはめて韓国礼賛をするのはまたちょっと違うような気がしました。
しかし、日本のパチンコの現状を読んでいると、なかなか酷いなと感じます。今までそんなにパチンコという存在に対してどうこう思ったことはないんですが、本書を読んで、パチンコは廃止した方がいいな、と感じました。まあ著者の書き方が我田引水的な部分はたぶんにあるにせよ、それを差っ引いても日本のパチンコを巡る状況はかなり酷いだろうと思います。パチンコがなくなれば、今までパチンコに回っていたお金が一般消費に流れるから景気もよくなるのではないか、という話は、実際どうなるかわからないにせよ、なるほどと思わされました。
韓国がパチンコを全廃したという事実を伝えた、という一点は評価したいです。ただ、ノンフィクションとして評価するのはちょっと厳しいなぁ、という感じの作品です。取材というよりは、韓国に何度か行ってその辺の人に話を聞き、日本の状況は近所や知り合いの話とかニュースで流れる事件なんかからざっくり敷衍して書いてみました、というような感じです。個人的には、韓国がパチンコを全廃したというこの出来事について、別のジャーナリストによるノンフィクションを読みたいなぁ、という気がしました。ちょっとそういう意味では残念な作品だったかなという感じはします。ただ題材は非常に面白いです。

若宮健「なぜ韓国はパチンコを全廃できたのか」




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Comment

[4118]

POKKA吉田氏がこの本をデタラメ本と評しましたが、全くその通りだと思ってもかまいません。昔の書籍でありますが、溝口敦著パチンコ「30兆円の闇」を一度読んでみてください。なぜ韓国は、パチンコを全廃できたかの、足りないものが解ると思います。

[4119]

そうなのですよね。ちょっとさすがに酷い作品だよなぁ、という感じがします。
「30兆円の闇」は見たことあるけど読んだことないなぁ。
パチンコの話はちょっと興味出てきたんで、機会があったら読んでみますね。
ありがとうございますー。

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【パチンコ議員が跋扈】なぜ韓国は、パチンコを全廃できたのか

事件、事故が絶えないのに、違法な賭博を放置している国は、世界中で日本ぐらいのものであろう。(74ページ)

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小説・新書以外

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3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
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8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
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12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
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コミック

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3位 浅野いにお「うみべの女の子
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5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

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2012年の個人的ベストです
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新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
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3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

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