黒夜行

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密室殺人ゲーム2.0(歌野晶午)

志保はカナちゃんのことを思い出した。世間の流行に乗って、それをいかに知っているかで人間の価値が計られると思っているような女の子。カナちゃんの生き方を否定する気はないけれど、志保は会田君が自分と似たような感じの男の子でよかったと思った。
 あの映画における犬は流行の象徴で、男はそんな資本主義の持つ原罪みたいなものを否定しているんだという説を会田君が持ち出し、でもそれだと最後女が犬に戻った男を飼うことになるシーンがよく分からないねと志保は答えた。女優の演技がうまかったとか、あの場面で流れた音楽は気に入ったとか映画の話を続けた。あんなよく分からない映画でも、こうやって二人の間に話題を提供してくれているのだから、どんなものでも存在価値があるものだなと思った。その連想から父親のことを思い出した志保は、あの父親も誰かにとって価値のある人なのだろうかと思った。

「失踪シャベル 14-4」

内容に入ろうと思います。
本書は、「密室殺人ゲーム王手飛車取り」の続編です。今日はちょっとあまりにも時間がないので、どんな設定の物語なのかは、「密室殺人ゲーム王手飛車取り」の感想
http://blogs.dion.ne.jp/white_night/archives/9183617.html
の方を見てみてください。

「次は誰が殺しますか?」
警察に、ゲームで人を殺した、という男が捕まった。メンバーたちは、自分たち以外にも殺人ゲームをやっている人間がいると知り憤りつつ、ほんの僅かな手がかりから、彼らが一体どんなルールで殺人ゲームを行っていたのか推理する。

「密室などない」
<伴道全教授>による、お遊びのような問題。

「切り裂きジャック三十分の孤独」
<ザンギャ君>による出題。地下室でバラバラ死体が見つかる。問題は密室。内開きのドアの内側に、被害者の切断された足が置かれていて、第一発見者である被害者の娘は、なんとか力任せにドアを押し開いてなんとか部屋に入ることが出来た。さてどうやって密室を創り上げたか…。

「相当な悪魔」
<頭狂人>による、予告殺人。夕方に綱島にいた<頭狂人>が、夜に大阪にいたはずの被害者を殺すというアリバイトリック。どうやったらそれが可能だったのか…。

「三つの閂」
<aXe>による、雪密室殺人事件。屋外のゴミ捨て場に置かれた透明な箱らしきものに死体があった。問題なのは、その死体があった箱の周囲に降り積もった雪の上に足跡がなかったこと。しかもその透明の箱には、閂まで掛けられている。一体どうやったのか…。

「密室よ、さらば」
<044APD>による出題。マンションの一室で男女の死体が見つかる。被害者の男はマンションの住人ではなかったのだが、その男の出入りをマンションの管理人は見なかった。被害者である男と犯人は、一体どうやってそのマンションに侵入したのか…。

「そして扉が開かれた」
そして次巻に続く、か?

というような感じです。すいません、ちょっとホント時間がないんで、内容紹介大分適当です。
まあ僕の印象としては、「密室殺人ゲーム王手飛車取り」とさほど変わらないかな、という感じでした。まあ内容も構成も大体同じなんで当然と言えば当然なんですけど。基本的に、誰かが問題を出し、誰かがそれを解く、という感じですね。一番初めの「次は誰が殺しますか?」だけが趣向が変わっていて、ちょっと面白いなと思いましたけど。他人がやっている殺人ゲームを推理するというのは、発想としてはなかなかではないか、と思いました。さらにこの話は、全体を通じてゆるく伏線としても機能してるんじゃないかと思いました。
しかしまあ、誰もが驚いたでしょうが、まさか続編が出るとは、という感じでしたね。前作を読んだ人間は、続編を期待できる終わり方ではなかったと口を揃えていうことでしょう。本書はその続編の作り方としてなかなか秀逸だと思うし、続編を成り立たせている部分がさらにミスリードになっていたりと、なかなかうまい構成になっているなと思いました。タイトルの「2.0」という部分も、なるほどなと思わせる感じはありますし。そういう、よくぞこのシリーズで続編を生み出したものだ!という部分は賞賛に値するな、と思いました。
それぞれの話としては、とりあえず「三つの閂」は全然理解できませんでした。トリックの肝になっている部分の説明があんまりよく理解できなくて、消化不良という感じがしました。いや、たぶん僕の理解力の問題なんだろうとは思いますけどね。
「相当の悪魔」は、トリック自体というよりも、プラスされていたサプライズがなかなか読みどころかなという感じです。こういうのは嫌いじゃないです。
「切り裂きジャック三十分の孤独」は、ちょっとさすがにそれはー、という感じでした。確かに実行出来なくはないのかもしれないけど、うーん、という感じでした。
「密室よ、さらば」は、これもトリックが云々というより、別の意味での真相がなかなか衝撃的で面白いと思いました。
まあでも、このシリーズ、本格読みには結構評価が高いみたいなんだけど、僕としてはちょっとなー、という感じ。やっぱり昔ほど本格っぽいものに興味を持てなくなってきてるんだろうな、という感じがします。嫌いじゃないけど、そこまで高い評価が与えられるような作品か?という感じがしてしまうんですね。まあこれは好みの問題なんで、僕としてはそこまで素晴らしいと言える作品ではないんですけど、本格読みにはウケるんだろうなと思います。まあやっぱり設定は秀逸ですよね。普通の本格ものでは無視されてしまうような現実感やディテール(それは本当に実行可能なのか?思い通りの天気にはなかなかならないぞ…というような部分)を結構適当に流さないで書いているんで、そこがそれまでの本格モノとはかなり一線を画す形で面白いと思います。
まあそんなわけで、本格読みの方にはオススメ出来るんだろうと思います。そうでない方は、そこまで読まなくてもいいかと思います。結構面白いんですけどね。

歌野晶午「密室殺人ゲーム2.0」




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2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
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3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
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新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
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6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
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小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
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10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
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13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
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16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
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2011年の個人的ベストです
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1位 千早茜「からまる
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5位 百田尚樹「錨を上げよ
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10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
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新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
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6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
9位 「メディア・バイアス
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小説以外
1位 「死のテレビ実験
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番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)