黒夜行

左脇のプロフィールにある「サイト全体の索引」から読みたい記事を探して下さい。

美女と竹林(森見登美彦)

宝島がまた変なものを出すようです。

http://www.oricon.co.jp/news/music/71166/full/

待任谷由実とくるりの新曲を、雑誌サイズのCDブックみたいな感じで発売するんだそうです。
宝島と言えば、「cher」などのいわゆるブランドムックを生み出した出版社です。最近出た「イヴ・サンローラン」のブランドムックもかなり売れています。そんな宝島がまた新たな試みをやるみたいですね。
たぶんですけど、この記事を読む限り、ユーミンとくるりの新曲は普通のCDのような形でCDショップとかに回ることはない、ということなんですよね?宝島が出す雑誌サイズのCDブックを買わないと手に入らないということなんですよね?そうだとすれば、かなり斬新なことをやるもんだなぁ、という感じがします。
確かに、詳しいことは知らないけど、CDの販売数は落ち込んでいるんでしょう。でも一方で、雑誌だって本だって売り上げは落ちているわけです。CDブックという形で発売して売れるのか。まあその辺はやってみないとわかんないですけどね。
しかし宝島はすごいなと思います。昔はそんなに大した出版社ではなかったと思うんですけど、ブランドムック以降好調ですね。やっぱり、ブランドムックという形で新たな需要を創出したというのはすごいなと思います。もしこのCDブックが当たれば、また新たな需要を創出することになるでしょう。そうなれば、さらに宝島の評価は上がるだろうなぁ、と思います。
本を売るというのは、出版社としても書店としてもなかなか厳しい時代になってきました。でも、本というパッケージを活かして新しいビジネスを行うというのは、まだそれほどされていなかったように思います。ブランドムック、CDブックと続けば、本というパッケージを活かした商品がたくさん出てくるようになるのではないかなと思います。まあ、おまけつきのお菓子みたいなイメージはありますけどね。それでも、そういう形でも業界全体が少しずつ元気になってくれればいいと思いますね。
さてもう一つ。今年の「キノベス」が発表されたとのこと。

http://www.kinokuniya.co.jp/01f/kinobes/2009/index.htm#best10

「キノベス」というのは、紀伊国屋書店が選ぶ(どうやって選ぶのかは詳しく知らない。知りたい人は自分で調べてみてください)、是非読んでほしい本のランキングだそうです。毎年やっているみたいで、ジャンルは限定されていないんでいろんなタイプの本が入っています。12月は各種ランキングがいろいろと出る時期で、ミステリとかSFとかは結構ありますけど、オールジャンルのランキングというのはなかなかないんで見てみたら面白いかもしれません。
トップ30の中で読んだことがあるのが、「ヘヴン」「猫を抱いて象と泳ぐ」「プリンセストヨトミ」「宵山万華鏡」「植物図鑑」「1Q84」「恋文の技術」のみ。もともと存在を知ってて読みたいと思っていたものは、「星守る犬」「神去なあなあ日常」「単純な脳、複雑な「私」」「神様のカルテ」「学問」「夜想曲集」「動的平衡」「日本語が亡びるとき」。このランキングを見てちょっと面白そうだなと思ったのが、「元素生活」「読んでいない本について堂々と語る方法」という感じでしょうかね。僕の読書に関する興味はちょっと幅が広すぎるんで、なかなかその年に出た作品を読めないというのが難点ですね。あと意外だったのが、東野圭吾の「新参者」が入っていないということ。何ででしょうね。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本書は、森見登美彦のエッセイです。しかし普通のエッセイではありません。妄想エッセイです。エッセイというのは普通本当にあったことや自分が考えたことなんかを書くようなものですけど、本書の場合、どこまでが妄想で、どこまでが嘘で、どこまでが本当のことなのかよくわかりません。そんな嘘八百が書かれたエッセイで、乙一の「小生物語」みたいな雰囲気があります。
元々の発端は、森見登美彦が多角経営に乗り出そう、と考えたことに始まります。森見登美彦は作家としてデビューしましたけど、未来永劫これで食っていけるとはとても思えない。となれば他に何かやれることを見つけなくてはなるまい。だとすればそれは竹林経営だ、という発想に至るわけです。森見登美彦は、「竹林にぼーっとするのが好き」というだけの理由で、大学時代竹を研究テーマにしてしまったような男で、とりあえず竹林が大好きなんだそう。これまで書いてきた小説の中にも度々竹林が顔を出します。
さて、竹林経営に乗り出そうと決めた登美彦氏でしたが、まずは自分で竹林を管理してみないとなるまいということで、同僚の(今はどうか知らないけど、連載時登美彦氏はまだ普通に小説家以外の仕事を持っていた)鍵屋さんという女性の両親が管理する竹林の竹を切らせてもらうことになった。
かねてからの盟友である明石氏を召喚し、竹林経営の第一歩として華麗なる竹捌きを見せるつもりだったが…。
というような形で進んでいくわけなんですけど、しかし登美彦氏はとにかく竹林に行かないのだ。本書は17の章により成っているので、普通に考えれば最低でも17回は竹林に行っていないと成立しないエッセイのはずが、実際は10回も行っていないはずです。7回とか8回ぐらいじゃないかなぁ。じゃあ、竹林に行っていない時の回では一体何を書いているのか。
まさにその部分こそ本書の真骨頂といえるでしょう。もちろん竹林に行って竹を切る話も面白いんですけど、森見登美彦のくだらない妄想が炸裂する、竹林に行かない回の話も滅法面白いんです。
ある回では、自分が竹林にいけない理由を、鍵屋さんの御尊父と夢の中でやり取りをしているという形式にして言い訳をするというものがあります。その回は本当に、竹林に行きたくてもいけないのだ、という言い訳しか載っていません。
また、何故か本上まなみ氏との対談の話も載っています。竹林とはほぼ関係ありません。一応、適当な理屈をつけて竹林と絡めようとするのだけど、全然関係ないんですね。こんな感じの理屈。
『美女とは竹林という概念に含まれる。竹林と美女とは、本質的に同じものだ。「美女と竹林」とは、美女がいて竹林があるという意味ではなく、美女と竹林が等価交換の関係にあることを示している。つまり読む人は、洛西の竹林の涼やかなざわめきの向こうに、玲瓏たる美女のおもかげを感じ取らねばならない。』無茶苦茶ですね。
他にも、大学時代竹とどう関わっていたのかや、10年後、MBC(森見バンブーカンパニー)の最高経営責任者になっている自分を妄想した話なんかが書かれています。
竹林を切りに行く話でもテキトーっぷりは素晴らしいですね。「秘技三本倒し」という荒技に取り組んだとか、恐るべき特殊技能を持った竹林バスターズとかいう変な集団を考えたり、腰をやられて戦線離脱したのに自分は司令塔になったのだと自己暗示を掛けたりとはちゃめちゃです。最後の大団円も、たけのこを掘って食べるというのが目標のはずで、実際文章ではたけのこが掘れたことになっているんだけど、でも実際は掘れていないと思う。完全に捏造だと思うんですよね。そんな感じで、最後から最後まで嘘と妄想に塗れた、ある意味で気の抜けない(?)エッセイになっています。
森見登美彦の変さが余すところなく滲み出ている作品だと思います。普通作家のエッセイというのはそこまで面白くはないんですけど、これはもはやエッセイというか小説に近いんで面白いです。僕がこれまで読んできたエッセイでは、乙一の「小生物語」が最強だと思うんですけど、それに匹敵するほどの面白さです。是非読んでみてください。

森見登美彦「美女と竹林」





関連記事
スポンサーサイト

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://blacknightgo.blog.fc2.com/tb.php/1609-2b19b737

1Q84 BOOK3

BOOK3が4月に発売されることになりましたね。また売り切れ続出となるのでしょうか!?今から楽しみです

 | ホーム | 

プロフィール

通りすがり

Author:通りすがり
災害エバノ(災害時に役立ちそうな情報をまとめたサイト)

サイト全体の索引
--------------------------
著者名で記事を分けています

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行~わ行

乃木坂46関係の記事をまとめました
(「Nogizaka Journal」様に記事を掲載させていただいています)

本の感想以外の文章の索引(映画の感想もここにあります)

この本は、こんな人に読んで欲しい!!part1
この本は、こんな人に読んで欲しい!!part2

BL作品の感想をまとめました

管理人自身が選ぶ良記事リスト

アクセス数ランキングトップ50

TOEICの勉強を一切せずに、7ヶ月で485点から710点に上げた勉強法

一年間の勉強で、宅建・簿記2級を含む8つの資格に合格する勉強法

国語の授業が嫌いで仕方なかった僕が考える、「本の読み方・本屋の使い方」

2014の短歌まとめ



------------------------

本をたくさん読みます。
映画もたまに見ます。
短歌をやってた時期もあります。
資格を取りまくったこともあります。
英語を勉強してます。













下のバナーをクリックしていただけると、ブログのランキングが上がるっぽいです。気が向いた方、ご協力お願いします。
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

アフィリエイトです

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
11位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
9位
アクセスランキングを見る>>

アフィリエイトです

サイト内検索 作家名・作品名等を入れてみてくださいな

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

カウンター

2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
20位 大沼紀子「てのひらの父

新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
3位 「街場のメディア論
4位 「デフレの正体
5位 「明日のコミュニケーション
6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
9位 「メディア・バイアス
10位 「量子力学の哲学

小説以外
1位 「死のテレビ実験
2位 「ピンポンさん
3位 「数学ガール 乱択アルゴリズム
4位 「消された一家
5位 「マネーボール
6位 「バタス 刑務所の掟
7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)