黒夜行

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終の住処(磯崎憲一郎)

今日は、昨日発覚したちょっとありえないような二つのミスについて書こうと思います。
まずは、客注についてです。客注というのは、店内に在庫がない本についてお客さんから注文を受け発注するというものです。
昨日、9/14に発売されるある雑誌を取り置きしていたというお客さんが来店しました。初め僕が対応したわけではなく、僕の隣にいたスタッフが対応したのですが、お客さんが言った雑誌を取り置きの棚から探している間に、そのお客さんは別の雑誌も持ってくるから、と言って一旦レジから離れました。
その間に、その隣のスタッフに何を探しているのかと聞くと、「週刊朝日だ」というんです。注文を受けた時点でお客さんに渡す控えをそのスタッフは受け取っていて、そこにも「週刊朝日」と書いてありました。で、取り置きの棚にある「週刊朝日」を取り出しました。
その後お客さんが僕の方のレジに来て、さっきの取り置きの雑誌を買うと言ってきました(結局もう一冊買うと言っていた雑誌は持っていませんでした)。そこで、さっき取り置きの棚から抜き出した「週刊朝日」を持って来たんですけど、その時お客さんは、「頼んだのは「週刊アスキー」なんだけど」と言ったんです。
最終的に売場に「週刊アスキー」が残っていたので事なきを得ましたが、あれはビックリしました。恐らく注文を受けた時点でスタッフが聞き間違えたんでしょうね。実際、調べてみると、「週刊朝日」も「週刊アスキー」も共に9/14に発売していました。しかしそれにしても、聞き間違えるかねぇ、とか思ってしまいました。ちょっとありえないミスですね。
もう一つもちょっとありえないミスです。ウチの店には、コミックの新刊台というのがあって、基本的には新刊はすべてそこに置かれることになります。
「JIN」というコミックがあるんですけど、たぶんこれがドラマだかアニメだか、とにかくそういうのになるんだと思うんです。つい最近15巻が発売されたらしいんだけど、1巻から14巻までが最近入荷したみたいです。
で、何故か、「JIN」の7巻が新刊台に平積みされていたそうで、恐らく新刊と間違えて4人のお客さんが購入しているだろう、ということが昨日発覚しました。
昨日あるお客さんが店に来て、新刊台にあったものでかつ最新刊かどうかスタッフに確認して買ったのに全然違った、と怒ってきたお客さんがいたそうです。そりゃ怒りますよね。最新刊かどうか確認されたスタッフが誰なのか分かっていませんが、恐らくデータをおざなりにしか確認しなかったのでしょう。しかし何よりも、再新刊ではないのに新刊台に置いた担当者がありえないですよね。
まあそんな、常識的にちょっとありえないミスが昨日立て続けにあって驚きました。どんな形であれミスはしてはいけないと思うけど、人間だからまったくミスをしないというのは不可能です。それでも、どう考えても防げただろうというミスはやっぱり許せないですね。なんというか、スタッフ全体がそうですけど、もう少ししっかりしてもらえないと困るなと思いました。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本書は今年度上半期の芥川賞受賞作品です。本書には、芥川賞を受賞した「終の住処」という作品と、書きおろしの「ペナント」という作品が収録されています。

「終の住処」
何となく結婚した妻と生活を始めるも、何故か妻はいつも不機嫌なのだった。「別に今に限って怒っているわけではない」と妻は言う。不機嫌の理由はよくわからない。
男は誘惑をはねのけているつもりながら、何度か妻以外の女性と関係を持つことになる。その内に子供が生まれた。働いている会社でも変化が起きた。妻とはある日以来、11年間会話を交わさなかった…。

「ペナント」
部屋の壁中にペナントを貼りまくっている部屋にいる一人の少年。その部屋は少年の部屋ではないようだ。少年はペナントの数を数え、ふかふかのベッドに入り込み、そして壁に開いた穴に手を差し入れる。
一人の男が、公園に囲まれたホテルへと向かう途中でボタンを落とした。それを広いに階段を降りるも、見つからない。繁華街に向かい飯でも食べようと思ってあてどもなくさまようが…。

というような話です。
うーん、イマイチよく分からない作品でした。そもそも僕は、芥川賞を受賞するような、いわゆる文学チックな作品というのは得意ではないんでなんとも言えない感じでした。
本書のような、感覚で理解する作品っていうのは難しいです。良いとか悪いとかいうのがよく分からない。結局好きか嫌いかに換言されることになるんじゃないかという気がします。エンターテイメント作品であれば、ストーリーやらキャラクターやら構成やら文章やらを総合的に判断して、好き嫌いとは別に良い悪いという判断が出来るんだけど、こういう感覚的な作品の場合それが実に難しい。そういうわけで良く分からない作品でした。
誤解を恐れずに言えば、村上春樹の短篇小説みたいな感じでした。僕は、村上春樹は好きなんですけど、短編はダメなんです。短編だと、村上春樹の世界観を共有する前に物語が終わってしまう印象があって、どうしても入り込めないんですね。本書もそんな印象があって、作者が描くわけのわからない世界観は結構好きなんだけど、短すぎてその中になかなか入り込めない。もう少し長い作品だったらもしかしたらもっと好きになれるかもしれないな、という感じがあります。この作品だけではどうとも判断できない感じがします。でもじゃあ他の作品を読む気があるかと言われると、うーんという感じですけど。文庫になってから考えます。
「ペナント」の方はさらに意味不明な作品で、こっちはダメだなという感じがしました。「終の住処」の方は、物語がもっと長ければ受け入れられそうだけど、「ペナント」の方は長くてもダメでしょうね。イマイチよく分かりません。少年と男の関係とか。ボタンを探すとか壁中のペナントとか。普通の人はこういう小説を読んで、作品の構造とか何が言いたいのかっていうのが分かるんでしょうか。だとしたら羨ましい限りです。
というわけで、何とも言えない作品でした。割と評判がいい感じがしたので読んでみたんですけど、少なくとも僕には合わないです。もっと長い作品を書いてくれたらちょっと読んでみてもいいなと思います。僕としてはそんなにオススメは出来ません。まあでも、こういう作品が好きだ、という人がいるだろうというのは理解できます。

磯崎憲一郎「終の住処」



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Comment

[3662]

こんばんは。秋晴れの日曜日でしたね。
この本を私は『文芸春秋』で読みましたが、どうなのでしょうねぇ。
11年間口をきかない(この「きく」ってどんな漢字を当てるのでしょうか、笑)夫婦ということが大きな話題になっていますが、家庭内離婚という言葉もあるくらいですから、そんなに珍しいことでもないのかな、と思いますよ(笑)。ただし我が家の場合、それでは不便ですので、適度に会話はしています。でも、絶えず一緒に行動しお喋りを楽しむという夫婦の方が珍しいのではないでしょうか(笑)。余所の家庭のことは好く分かりませんので、これ以上は何とも…
娘さんが夫婦の会話の仲立ちをしてくれたのですから、「子は鎹(かすがい、の変換です)」という諺も嘘ではなさそうですね。「さぁ、家を建てよう!」という一言から、また会話が復活する所が意外でしたが、機が熟したということでしょうか?
芥川賞という賞の特殊性が考えられますよね。まず作品の長さの制約があり、中編にしか仕上がらないので単行本になるときは別の中編(または短篇)と一緒にしないと無理ですよね(泣)。また新人の登竜門ということですので、既に有名になってしまった方は除外されますよね。純文学という括りは死語かもしれませんし、面白い作品の方が好いですよね(笑)。
結局、この作品については???ですよね。選考委員の評も読みましたが、あらかた忘れました(泣)。作品そのものより磯崎氏のインタビュー記事の方が印象的でした。you-tubeで見えますので、興味がありましたらどうぞ。
そういえば、最近の私の読書について報告します。勝手にブログ代わりに利用させていただき、申し訳ありません(泣)。
・オールド・フレンズ(浅倉卓哉さん)…ガールズラブという物語でビックリしました。文体も今までと違い、ややぞんざいでした(泣)。
・アントキノイノチ(さだまさしさん)…遺品整理の仕事に就いた杏平が、高校時代の忌まわしい過去から脱皮する成長ストーリー。ちょっと感動的でした!
・あした咲く蕾(朱川湊人さん)…『いっぺんさん』に似た短編集ですが、ジワッとくる話が多かったです。彼の作風はホラーからファンタジーに移行しつつあるようです(笑)。お薦めです!
では長くなりましたが、この辺で。
好い休日を、と書きたいですが、そんなに休みは取れませんか?

[3663]

こんばんわです。今日は朝起きた時すごい寒かったです。窓開けてたんでそれが悪かったんでしょうけどね。
この本はどうなんでしょうねぇ。何だかよくわからないなぁという感じでした。
夫婦についてはなんともイメージが出来ませんが、自分の両親のことを考えると何だかなぁという感じがします。割とよく喧嘩をしていたんで。普通の会話をしているようなこともあったんだろうけど、あんまり覚えたないですね。
まあ夫婦っていうのは難しいんでしょうね。夫婦の数だけ形があるんでしょうし。作品の全体的な幻想的な感じも、なんとも言えなかったですね。amazonの紹介では、ガルシア=マルケス風だみたいなことを書いてありましたけど。
芥川賞というのは正直よくわからないですね。純文学というのがどんな感じで評価されるのかというのが分からないから仕方ないのかもしれませんけどね。枚数に制限があるというのはまあ仕方ないですけど、やっぱり芥川賞受賞作だけで単行本にするのはなかなか無理がありますよね。文章の上下にスペースがありすぎです(笑)。
磯崎さんは確かどっかの有名な会社の人なんですよね。まあすごいもんです。確かに作家ってのはもう単独でやってくのは相当難しいんで、何かをやりながら作家、という形でしか成り立っていかないのかもしれませんけどね。youtubeは見ましたよ。言い方が悪いかもだけど、すごく普通の人だなと思いました。あんな小説を書く人には見えないですね。
浅倉卓哉の最新刊って確か、携帯小説みたいな装丁のやつですよね。なんかイメージ違うよなぁとか思いました。
アントキノイノチは、書店に送られてくるFAXか何かで見た記憶があります。さだまさしの小説は読んだことがないですね。機会があったら何か読んでみます。
朱川湊人は、いい作品を書く作家なのに相変わらず売れない作家ですね。応援してあげたいんですけど、なかなか難しいものです。作家というのは実力があってもうまくいかないという好例かなと思います。
シルバーウィークはずっと休みですよ。基本的にカレンダー通りに休むことにしてるんです。ドラさんはお休みですか?僕はバリバリ読書を進めますよ~。

[3664]

終の住処、いまいちでしたか。時間のとらえ方と描写が独特で、久々に芥川賞で面白い作品を読んだと思えるぐらいに、自分にとっては大当りでした。

[3665]

あの感じが好きだっていう人がいることは理解できるんですけどね。僕には何だか高尚すぎて(笑)。僕は人より小説の読解力みたいなのがないようで(単純に面白かどうかぐらいのことしか考えられない)、だからもう少し単純な分かりやすい作品の方がいいですね。

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12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
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15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
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5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
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小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
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3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
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18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
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コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
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2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
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1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
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3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
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