黒夜行

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本の学校・出版産業シンポジウム2008記録集 出版産業再生へのシナリオ(本の学校)

さて今日は、時間があんまりないこともありますけど、読んだ本の内容がそもそも出版・書店業界に関わるものなので、書店の話は省略にしたいなと思います。
本書は、「本の学校」という、出版・書店業界全体の集まりみたいなところが主催(?)したシンポジウムについてまとめたものです。シンポジウムは、冒頭の特別講演と、第一分科会から第四分科会までの計五つの講演があったようで、そのそれぞれについて、パネラーの会話を再現する形で進んで行きます。
冒頭の特別講演は、出版産業のビジネスモデル全体についての話です。有隣堂社長・筑摩書房社長・インフォバーン代表取締役の三人がパネラーとなり、出版業界全体の話をします。
ここでメインで挙げられている話は、雑誌の落ち込み、委託販売制度、電子化の三点だと思います。
雑誌については、第一分科会でさらに深く話があるのでそちらに回しますが、これまで書店というのは雑誌を売ることで成り立ってきたビジネスモデルなんだけど、今雑誌が売れなくなってきていて書店のビジネスモデルが崩れ始めている。そこを立て直す必要がある、という話です。
委託販売制度というのは要するに、買い切りではなく返品が出来るということです。書店・出版社ともにいろいろ言い分はありますが、とにかく返品率を改善しないと利益は見込めない。委託販売制度を維持するのかどうかも含めて、返品をどうするかというのが喫緊の問題だ、ということです。
電子化については主に、インフォバーンの代表取締役が話をしています。書籍は情報を再構築することで新たな価値を創出できるけど、雑誌の場合あらゆる点でウェブと競合するのでこれからどんどん厳しくなる。出版社はもっと電子化への視点を持った方がいいのではないか、という主張でした。
第一分科会は、雑誌をいかにして売るのか、という話がメインになります。
パネラーは、マガジンハウスの営業局長・今江書店社長・CCCコミュニケーションズのTポイントビジネス事業部長の三人。
とにかくここでは、顧客データを活用した話がメインになります。つまり、もはや雑誌を売るには顧客データをふんだんに活用しなくては無理で、それは即ち、顧客データのない店(ウチもないです。ポイントカードとかやってるところはあるんでしょうけど)は手詰まりなんだろうか、と僕なんかは思ってしまうわけなんですけど。
とにかく、顧客データを使ってその店の客層を把握する。書店員が実感として持っている以上に、各書店における客層というのは違う。それにあった雑誌を置くようにするべき。
また出版社の立場としては、顧客データを編集の人間に伝えることや、書店の販売データを元に、もっと個店別の対応が出来るようにしなくてはという課題が提示されます。
CCCではデータの分析事業みたいなものを結構やっているようで、その中であらゆるデータを拾い上げている。顧客との兼ね合いもあるから具体的なデータはあんまり出せないけど、例えばある雑誌を3号連続で買うお客さんは7%しかいないというデータが出たりするんだそうです。
そういう顧客データを元にして、いかに雑誌を売っていくのか、という話でした。顧客データのない店はどうしたらいいんでしょうかねぇ…。
第二分科会は図書館と書店の問題について扱っています。パネラーは、丸三書店社長・日本図書館協会理事・みすず書房取締役の三人。
ここでは、図書館・書店・出版社の関わりについて話が進んで行きます。問題となるのは、図書館と書店の共存、そして図書館と出版社の関わりについて。
まあここの話は正直書店とはあんまり関係ないんでちょっと飛ばしますけど、ざっと書くと、図書館があるから本が売れないわけではないこと、図書館側と出版社側の思惑が合わなくてデータ化が進まないこと、図書館で本を売ることの出来る法律が出来たけど、本を売るのは書店がやるべきだという話などです。
第三分科会は、書籍出版のデジタル対応について。パネラーは東京電機大学出版局の人、筑摩書房の人、シュプリンガージャパン代表取締役・ポッド出版代表取締役の四人。
ここでは、まだ方向性の定まっているとは言えない書籍のデジタル化についていろんな人が現状や未来を話したりするところです。問題点を話し合うというよりは、今後の展開がどうあるべきかという話がメイン。
ここも書店とは関係ないのでざっと飛ばしますけど、学術論文の世界では電子アーカイブは商業的にも成功していること、筑摩書房が電子化をやっているけどもあまり商業的には成功していないこと、PCよりも携帯での需要が遥かに多いこと、第二分科会でも出た図書館でのデータベース化についてなどについて話がされます。
第四分科会は、若手出版人の本音トークと題して、いろんなところでキャリアを積んでいる人を集めた座談会という感じ。
パネラーは、伊坂幸太郎の担当編集者として有名な新潮社の編集者、マンガ大賞を始めた一人であるジュンク堂書店のコミック担当者、久美堂という老舗書店の後継者、ミシマ社というちょっと変わった出版社を興した社長の四人。
質問内容としては、10年後自分はどうしているのか、独立を考えたことがあるか、これからの日本語の書籍は大丈夫か、フリーペーパーは脅威になるか、出版界のルールで変わってほしい点などなどです。経営者・編集者・書店員などいろんな立場の人が自分の立場で話をしていて、片意地を張らずに読めます。
僕が一番そうだよなぁと思ったのが、コーディネーターを務めたフリーライターの永江氏が最後にまとめの言葉として言ったこと。
書籍の価格決定権は出版社にあるが、その時、書店や取次のスタッフみんなが食って行けるだけのマージンを含ませて欲しい、今の給料で10年後も書店の現場の人間が働けると思っているのか、家庭を持って行けると思っているのか、そういうことまで考えて価格を決めてほしい、という主張でした。書店業界というのは、能力のある人間がどんどん辞めて言ってしまう業界です。その理由にはいろいろあるでしょうが、その一つが他業種と比べて圧倒的に低い給料でしょう。まあ僕はアルバイトなんで、実際書店員の正社員の給料がどれくらいないのかよく知らないし、平均的なサラリーマンの給料がどれくらいなのかもわかんないけど、まあ低いんでしょう。僕は別に正社員になりたいなんてこれっぽっちも思っていませんが、アルバイトの給料もそんなに高いとは言えないんで、生活は楽というわけではないですね。別にそんなにお金を使わないんで苦労してるってほどでもないですけど。
全体的に見て、書店とは関わらない話もありましたが、書店の問題としてはとにかく雑誌と返品率なんだろうなと思いました。返品率については、出版社の出してる点数が多すぎるんだ、という話を以前書きましたが、ドイツでは日本と同じく再販制度が採用されていて(ただし委託販売制度はなし。つまり買い切りということ)、さらに日本よりも出版点数が多いみたいなんですけど、それでも返品率が10%を切るらしいんです(まあ買い切りだから当たり前なんだろうけど)。出版点数のせいだけには出来ないということですね。ただ気になるのは、ドイツの売上規模です。返品は確かに少ないかもしれないし、出版点数は日本よりも多いのかもしれないけど、じゃあどれくらい市場規模なのかというのが気になります。ドイツは日本よりも本の値段がはるかに高いらしいので、売れない本を書店で捨てても利益が出るんじゃないか、と。つまり日本では出版社が本を捨ててるけど、ドイツではそれを書店がやってるだけなんじゃないかなとか思ってしまいます。ただの予想ですけど。
雑誌についてはウェブと競合するという意見に僕は全面的に賛成なので、雑誌をどうするかという議論ではなくて、雑誌に依存しない書店経営をどうしたらいいのかという方向で考えるしかないんだろうな、と思います。雑誌はどう頑張っても衰退していくと思うんです。だからそれを食い止めるために多大な努力を費やすよりは、それ以外の部分に力を入れて書店経営を維持出来ないかという方向に持っていくしかないんじゃないかと思うんですね。まあ具体的にどうしたらいいのか分かりませんけど。
書店の現場にいても、売れなくなったなという程度の危機感は持つことが出来ます。でもやはり、ビジネスモデルに限界が来ているとか、出版社・書店・取次三社が皆生き残るにはどうしたらいいのかという視点は、普段仕事をやっている中ではなかなか出てきません。こういう本を読むと、たとえ一瞬だけだったとしても危機感が高まるのでいいなと思っています。
とにかく一書店員としては、ヤバいヤバいと言われているけど、具体的に何をしたらいいのかが分からない。返品を減らすと言っても、書店員の側の努力ではどうにもならない部分もあると思う。書店が生き残るにはとにかく売るしかないといつも思っているけど、それじゃあ全体の解決にはならない。どうしたもんでしょうね。難しいですけど、まあとにかくなるべく返品を減らせるように頑張ってみます。返品減らすのってホント難しいんですけど…。

本の学校「本の学校・出版産業シンポジウム2008記録集 出版産業再生へのシナリオ」



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[3596]

お久しぶりです。
バイト探しは難航しております……(T . T)
近々実家と僕がそれぞれ引っ越すことになったので、引っ越しが終わってから引っ越し先で探すことになりそうです。
でも高々人口が2000人ほどの村なんで引っ越し先の都会で探す方が楽かもしれませんね(^_^)
それから告白を読み終わりました。
最後はスッキリしきらないような気もしましたが、1Q84と合わせてを二週間で読み終わらないといけなかったので、急いだ分丁度良い距離感だったので楽しく読めました。
そして今は1Q84!
でも4日で一冊と四分の一読めるでしょうか……
書いていたコメントが突然消えてしまったため粗雑になってしまいました申し訳ありません

[3597]

お久しぶりです。
最近僕はいろいろと難しい状況にいて、今のバイト先を辞めることになるかもしれません。
仕事は楽しいので辞めたいわけではないんですけど、いろいろ考えると最終的にはそうせざる負えないような気がします。
僕ももしかしたらバイト探しをしなくてはいけなくなるかもしれません。
その際はアドバイスをお願いします(笑)
「1Q84」は急いで読んで欲しくないんで、一旦返すという選択肢もアリかもしれませんよ。
ささっと読んでしまうのはもったいない気がします。
「告白」は確かに後味のいい作品ではないですからね。
作品としてのレベルは高いと思いますけどね。

[3598]

そうなんですか……
書店員さんのバイトも様々な物事に囲まれる職業なんですね
バイトは辛いことですけど、好きなものでも辞めてしまわないといけない
状況が来るのは自分ならよっぽど落ち込むと思います
1Q84は返してしまうことになるかもしれません(笑)
読む速度が早くなれば良いのにな……
ハリーポッターなら際限無く読めるんですけども( ̄ー ̄)

[3599]

まあ、ほとんど自業自得なんで仕方ないんですけどね。
良かれと思ってやっていたこと(やり方には無茶がありましたけど)が大きな問題になって、難しい状況になっています。
今のバイト先は天職だと思っていたので、どうなるかわからないにせよ、辞めることになるのは残念ですね。
早く読める小説とそうでない小説がありますよね。
僕もどうしても早く読めない感じの小説ってたくさんあります。
1Q84はまた気長に待って、ゆっくり読んでください。

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2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
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4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
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9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
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新書
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番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)