黒夜行

左脇のプロフィールにある「サイト全体の索引」から読みたい記事を探して下さい。

ジウⅡ 警視庁特殊急襲部隊[SAT](誉田哲也)

さて今日はあんまり時間もないのでサラッと。
普段よく見ているサイトで、こんなものが紹介されていました。

http://d.hatena.ne.jp/chakichaki/20090506

文教堂というのは、まあ知っているでしょうが、大手の書店チェーンです。詳しく知っているわけではないですが、ちょっと前に経営がヤバイみたいな話がありました。確か希望退職をかなり募ったとか、赤字店舗を整理したとか、そんなニュースをチラホラ見たような気がします。記事にも、トーハンは出版社などから融資を受けた、なんて書いてあります。
企業戦略みたいなものは僕には分かりませんが、この中古本買取というのは攻めの一手になりえるんでしょうかね?経営が結構ヤバいということなら、とりあえず一旦本業の方に力を入れるべきなんじゃないかな、なんてことを僕は勝手に思ったりするんですけど、敢えてこういうチャレンジをすることで建て直しを図るということでしょうか。
新刊書店での中古本買取というのは、別にそう珍しいものではないかもしれません。僕も本で読んだりして、いくつかそういう試みをしている書店があるということを知っています。これからこの流れが主流になっていくなんてことはあるでしょうかね?
新刊書店で中古本を扱うというのは、今まではタブーとされてきたはずです(僕が今まで読んだきた書店系の本によれば)。それは返品の問題と関わるからです。
大雑把に言ってしまうと、書店は出版社に本を返品すると出版社からお金が戻ってくる、という仕組みになっています。では、中古で買い取った本を出版社に返品したらどうなるでしょうか?定価500円の本を100円で買い取り、それを出版社に返品したら500円戻ってきます。美味しい商売ですね。わざとやるんじゃないにせよ、店内で新刊本と中古本が混在し、中古本が返品に紛れ込んでしまう、ということは考えられます。そういうケースを起こさないために、タブーとされてきていたはずです。
でも、そうも言ってられなくなってきたのかもしれないですね。もはや書店は、中古本でも扱わないと成り立たなくなっているような業界なのかもしれません。
しかし、もし自分のいる店が中古本を扱うとかなったらどうだろうなぁ。正直言って、いろんなことが煩雑になりそうな気がします。そもそも返品の問題があるから、新刊本と中古本は混在して売場に置くことは出来ないから、売場自体を分けることになる。でも新刊書店でそれをやろうとすれば、既存の新刊の売場を削って中古本のコーナーを作らないといけないわけで、しかもやるならある程度の売り場は確保しないとちょっとダメだと思うわけで、そうなると新刊書店で中古本を扱うというのはいろいろと難しいだろうなと思います。
まあこれからも、出版・書店業界は厳しい状況が続くことでしょう。何とか踏ん張ってくれればいいんだけど、好材料がほとんどないからどうにもしようがないですね。まあ地道に本を売って何とか頑張っていこうと思います。
今日は電撃文庫の発売日。ウチの店はライトノベルが異常に売れるんで、新刊の配本も鬼のようです。「狼と香辛料」の最新刊の初回配本数が102冊。あっという間になくなるような気がします。
そろそろ内容に入ろうと思います。
さて本書は、ジウシリーズの二巻目。1巻では、立てこもり事件や誘拐事件などが発生し、それを女性刑事二人が別々の方面から追う、という、割と王道的な警察小説のストーリーでしたが、2巻に入って結構変わりました。ますます続きが楽しみになってくる展開です。
八面六腑の活躍のお陰で一階級特進した伊崎基子は、SATを離れ上野署の交通課に異動。とあるひき逃げ事件の捜査に加わるも、捜査の過程でマスコミに追いかけられるため、一旦捜査から外れることになる。
一方門倉美咲は、東弘樹警部補と組んで、『沙耶華ちゃん事件』の捜査を続けている。当初不在だった東も復帰し、取り調べを担当しているが、これが一向に進まない。被疑者の供述がまったく理解できないのだ。ジウという男との関わりについては話したがらない一方、『新世界秩序』なる、被疑者の行動原理のようなものについての話には饒舌になる。しかしその『新世界秩序』の話がさっぱり要領を得ないのだ。
捜査が難航する中、伊崎は木原というフリーライターと接触し、単独で事件の捜査をするようになる。
ジウという男は何者なのか?目的は何なのか?
というような話です。なかなかうまく説明できないなぁ。
本書は、事件自体はさほど起こりません。伊崎が始めちょっと関わるひき逃げ事件とか、ラスト近くで起こる大きな事件ぐらいなもので、後は基本的に1巻で起こった事件の捜査・調査がメインになるストーリーです。
でもこれが面白かったですね。捜査だけというのは退屈に思えるかもだけど、これが全然そんなことはないです。1巻よりもずっと面白かったです。
一番面白いと感じたのは、犯罪に関わる人間たちの意味の分からなさ、です。とにかく本書で描かれる犯罪は、普通の常識で計れるものではないです。1巻で起こった事件は、感想の時にも書いたけど、現実に起こってもおかしくないような、別の言い方をすれば小説にするにはちょっと物足りない、そんな感じのものでした。でも、それは表面的な見方に過ぎない、ということがこの巻で分かってきます。目に見える部分はごくごく普通なんだけど、その背景にあるもの、あるいはそれを支えているものがとんでもなく奇妙です。
実際、その奇妙さはきちんと現れてはいません。犯罪者たちの動機に関わる部分はまだほとんど明らかになっていません。被疑者の一人が、『新世界秩序』とかいう奇妙な話をしているだけなんですけど、でも作品全体から、これが普通の事件ではない、ということがひしひしと伝わってきます。
1巻の感想では、ごく普通の警察小説の域を出ない、というようなことを書きましたが、しかし2巻でその印象はガラリと変わりました。あまりにも奇妙すぎる犯罪。それが、門倉美咲や伊崎基子の捜査・調査によって徐々に明らかになっていきます。その過程が実に面白いです。二人は1巻の時と変わらないキャラクターで事件と対峙していくことになるんですけど、それぞれ価値観を揺さぶられるような状況に出くわしていくことになります。その中で、二人はそれにどう立ち向かっていくのか、というところも読みどころになっていきます。
また本書では、各章の冒頭にある男の述懐みたいなものが挿入されています。それもまた変わった話で結構面白いと思いました。もちろんストーリーと繋がっていくわけなんだけど、この男が今後どんな風にストーリーに絡んでいくのかというのも楽しみだなぁという気がします。
しかしそう考えると1巻がちょっともったいないな、という気がします。1巻だって十分面白い作品ですが、1巻を読んだら必ず2巻に手が伸びるかというとちょっと微妙な気がします。2巻を読めば、必ず3巻に手が伸びることは間違いないんですけど、1巻を読んだだけでは、まあ面白かったけどこんなもんか、という感じで止めてしまう人もいるかもしれません。そういう意味で、ちょっと1巻はもったいない気がします。
かなり面白い展開になってきたと思います。警察小説という括りは間違いないですけど、扱っている事件がかなり奇妙なものなので、普通の警察小説という感じがしません。かなり面白い作品です。ぜひ読んでみてください。

誉田哲也「ジウⅡ 警視庁特殊急襲部隊[SAT]」




関連記事
スポンサーサイト

Comment

コメントの投稿


管理者にだけ表示を許可する

Trackback

http://blacknightgo.blog.fc2.com/tb.php/1453-672a5cb1

 | ホーム | 

プロフィール

通りすがり

Author:通りすがり
災害エバノ(災害時に役立ちそうな情報をまとめたサイト)

サイト全体の索引
--------------------------
著者名で記事を分けています

あ行
か行
さ行
た行
な行
は行
ま行
や行~わ行

乃木坂46関係の記事をまとめました
(「Nogizaka Journal」様に記事を掲載させていただいています)

本の感想以外の文章の索引(映画の感想もここにあります)

この本は、こんな人に読んで欲しい!!part1
この本は、こんな人に読んで欲しい!!part2

BL作品の感想をまとめました

管理人自身が選ぶ良記事リスト

アクセス数ランキングトップ50

TOEICの勉強を一切せずに、7ヶ月で485点から710点に上げた勉強法

一年間の勉強で、宅建・簿記2級を含む8つの資格に合格する勉強法

国語の授業が嫌いで仕方なかった僕が考える、「本の読み方・本屋の使い方」

2014の短歌まとめ



------------------------

本をたくさん読みます。
映画もたまに見ます。
短歌をやってた時期もあります。
資格を取りまくったこともあります。
英語を勉強してます。













下のバナーをクリックしていただけると、ブログのランキングが上がるっぽいです。気が向いた方、ご協力お願いします。
にほんブログ村 本ブログへ
にほんブログ村

アフィリエイトです

アクセスランキング

[ジャンルランキング]
本・雑誌
11位
アクセスランキングを見る>>

[サブジャンルランキング]
和書
9位
アクセスランキングを見る>>

アフィリエイトです

サイト内検索 作家名・作品名等を入れてみてくださいな

メールフォーム

名前:
メール:
件名:
本文:

月別アーカイブ

Powered By FC2ブログ

今すぐブログを作ろう!

Powered By FC2ブログ

ブロとも申請フォーム

この人とブロともになる

QRコード

QR

カウンター

2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
19位 松崎有理「あがり
20位 大沼紀子「てのひらの父

新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
3位 「街場のメディア論
4位 「デフレの正体
5位 「明日のコミュニケーション
6位 「もうダマされないための「科学」講義
7位 「自分探しと楽しさについて
8位 「ゲーテの警告
9位 「メディア・バイアス
10位 「量子力学の哲学

小説以外
1位 「死のテレビ実験
2位 「ピンポンさん
3位 「数学ガール 乱択アルゴリズム
4位 「消された一家
5位 「マネーボール
6位 「バタス 刑務所の掟
7位 「ぐろぐろ
8位 「自閉症裁判
9位 「孤独と不安のレッスン
10位 「月3万円ビジネス
番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)