黒夜行

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最後の注文(グレアム・スウィフト)

さて今日は、GW中こんな本がよく売れていましたよ、という話を書こうかなと思います。
普段GW中とかまったくシフトに入らないで休んじゃうんだけど、今年はちょっといろいろあって、3日と4日だけ働くことにしました。そこで、連休中どんな文庫が売れていたのかというデータを見たんだけど、けっこう大作がまとめ買いされていました。
例えば、北方謙三の「水滸伝」、司馬遼太郎の「坂の上の雲」「竜馬がゆく」、宮部みゆき「模倣犯」、京極夏彦「京極堂シリーズ」なんかですね。1巻とか2巻ずつ買っていくとかじゃなくて、全巻まとめ買いみたいな買い方がものすごく多かったです。
今年は16連休だなんて言う人もいるみたいで(僕の友達にも一人いました)、旅行なんかにはもってこいのはずなんだろうけど、でもやっぱり不況なんでしょうね。そもそも16連休なんていうのも不況の余波みたいなものでしょうし。だから大型連休があっても家でじっとしているという人が多いのかもしれません。僕のいる店は2Fがレンタルショップなんだけど、そっちはGW中結構混んでたみたいだし。
だからどうせ家にいるなら、普段なかなか読めない大作をこの機会に一気に読んじゃおう、っていう人が結構いるんじゃないかっていう感じがしました。確かに、もし僕に16連休なんてあったら、どれだけ本が読めるだろうか、って考えちゃいますね。死ぬほどある積ん読のほんの一部でも片付けることが出来るかもしれません。
あともう一つ目についたのが、古典作品が結構売れていたなということでした。夏目漱石・太宰治・三島由紀夫なんかの作品が普段以上に棚から売れている感じがしました。これも、どうせ暇なんだし、普段なかなか手の出ない古典作品でも読んでみるか、っていうことなのかもしれませんね。
もう一つ別の話。先月の文庫とコミックの売上の話です。
先月は、文庫とコミックの売上の差が、僕が担当になって以来最も縮みました。いやはや、これはなかなか興奮しました。本当に、あと一歩という感じ何です。あと一歩でコミックに勝てる。文庫の担当になった時は、コミックの売上というのはまったく手の届かないところにあったわけですけど、今はもうすぐそこです。どれぐらいかというと、先月の文庫とコミックの売上の差は、文庫の平均的な一日の売上よりも小さいです。僕が文庫の担当になった時は、コミックとの差は文庫の売上一週間分以上はあったんですけどね。
しかしあとひと踏ん張りがどうしてもなかなか難しい。早くコミックの売上を抜くという、担当になって以来の念願を叶えたいんだけど、まあなかなか実現しない。まあこれからもめげずに、何とかあとひと押しして、コミックの売上を抜き去ってやろうと思います。気合い入れて頑張りましょう。
そろそろ内容に入ろうと思います。
本書は、イギリスの最高の文学賞であるブッカー賞を受賞した作品です。著者はデビューわずか3年で、「イギリスの新鋭作家20傑」に選ばれ、寡作ながらイギリスで相当評価の高い作家のようです。
メインストーリーはいたって単純。肉屋のジャックが死んでしまう。ジャックは遺言を一つだけ残していた。俺が死んだら、マーゲイトの海にまいてくれ。
そこで、古くからの友人である三人、元保険会社社員のレイ・葬儀屋のヴィック・八百屋のレニーと、ジャックの義理の息子である中古車販売業者のヴィンスの四人で、ジャックの遺灰を抱えながら車を運転し、マーゲイトを目指す、という話です。
しかしそのメインストーリーの合間に、様々な人間の回想が描かれることになります。ジャックの妻であるエイミーは何故この道中について来ないのか、八百屋のレイは何故ジャックの義理の息子ヴィンスにつっかかるのか。他にも、友人たちの間でさえも秘密にされている様々な出来事。ジャックという男を中心として、様々な回想が入り混じり、一方で遺灰をもって旅する道中を通じて男たちはより友情を深めていく…。
というような話です。
僕の感想としては、もう少し年を取ってから読みたかったな、という感じです。ある程度の人生経験がないと読んでもちょっと退屈な作品かもしれません。正直僕にはちょっと退屈な作品でした。少なくとも、20代の人間が読む本じゃないですね。せめて30代以上という感じでしょうか。生きていく中で様々な経験をし、人生を振り返ってみればいろいろと積もり積もったものがある。なんか、そんな感じの人が読むべき本かなという気がしました。
全体的に淡々としすぎています。落ち着きがあって大人な小説ですけど、僕はやっぱりエンターテイメントのような作品が大好きなので、こういう静かな小説はうまく入り込めないことが多いです。基本的に彼らの生活は特にこれというところがあるわけではない人生で、小説になるような出来事が起こるわけではないんだけど、それを構成や文章の妙で読ませるという作品なので、起伏に富んだストーリーを読みたい傾向の強い僕としてはあんまり合わなかったです。
しかし何より大変だったのは、構成と登場人物の名前です。
本書は75の短い章からなる小説です。しかも章ごとに語り部がどんどん変わる。総勢7人の語り部がいます。しかも話が本当にあっちこっちに飛ぶ。車に乗ってマーゲイトを目指している章と回想の章を行ったり来たりするのは当然だけど、さらに回想の章同士でも時系列が飛びまくる。ちゃんとした時系列通りに並んでいた小説をバラバラに組み替えちゃったみたいな感じの構成で、これは結構読むのに苦労しました。
しかもその苦労をさらに助長させるのが、登場人物の名前です。登場人物が結構多かったというのも、外国人の名前を覚えられない僕としてはなかなかハードルの高い作品だったけど、それ以上に似た名前が多すぎるのがきつかったです。レイとレニー、ヴィックとヴィンス、バーニーとエイミー、ジョウンとジョーイという感じ。本当に初めの内は、誰が誰なのかをきちんと把握するのが難しかった。特に、車でマーゲイトを目指す四人の内、レイとレニーが、ヴィックとヴィンスが似ているものだから余計にややこしい。なんでこんなややこしい名前をつけたんだろう、と思います。もう少し区別のつきやすい名前にしてくれれば、もう少し読みやすかったんだけどな、と思いました。外国人作家の作品を読むのはそもそも大変なんですけど、本書は普段以上に大変でした。
というわけで、残念ながら僕には合わない作品でしたが、作品自体のポテンシャルみたいなものはものすごく高いような気がします。あと、これは見当違いなアドバイスかもですが、若い人はまだ読まない方がいいかもです。多少年を取ってから読むようにした方がいいんじゃないかなという気がします。

最後の注文「グレアム・スウィフト」




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[3497]

と、いっても
コミックの売上が落ちていて、
そもそも文庫もその時に比べて落ちていて
落ちるスピードがコミックの方が速いから差が縮まったっていう
オチではないよな。
逆なら凄いが。
漫画の部数が落ち始めているから
コミックを買う読者は少なくなっているはず。
これもケータイがでたからじゃね。
10代の暇つぶしがコミックからケータイへ。

[3498]

確かに、売上の差だけならそういう可能性もあるわな。
前年4月の売上と比較すると、
文庫が112%、コミックが89%って感じかな。
俺が担当になった5年ぐらい前と比較すると文庫は128%ぐらい。
ちなみに5年ぐらい前と比べて、店全体の売上は86%といったところ。
最近は、文芸書が文庫になる期間が以前よりかなり短縮されたから、文芸書の買い控えがあって、そのために逆に文庫の売上は伸びてる、ってところはある。
コミック全体の売上は落ちてるんだろうけど、そもそもウチの店のコミック担当の努力が足りなすぎるから正直あんまり関係ないかも。
前にウチの店を立て直しにきてくれた人から、コミックは最低でもこれぐらいの売上はないとダメだ、という数字を聞いたんだけど、その数字に対して78%しか達成できてない。
雑誌とコミックと文庫が売れないと書店って厳しいんだけど、雑誌とコミックが落ちてるとなるとやっぱキツいなぁ。文庫が上がってるのはいいけど、単価が安いからやっぱり厳しい。書店は厳しいぜ。ケータイと争って本が勝てるとは思えないからなお厳しい。

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4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
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8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
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13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
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1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
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小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
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18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
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1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

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2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
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番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)