黒夜行

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コンゴ・ジャーニー(レドモンド・オハンロン)

さて今日は、本屋の仕事とは直接関係のない話ですが、最近売場を見ていて気付いたことを書きます。
僕は普段月曜から土曜の週6で働いているので、日曜日についてはどうなっているのかよくわからないんだけど、今日のような土曜日にはよく見られる光景です。
それは、父親と子供という組み合わせです。
もちろん、両親と子供が一緒に買い物に来ているという組み合わせもあるし、というかもちろんそっちの方が数としては多いんですけど、でも最近、父親と子供という組み合わせが非常に増えてきたなぁという気がするんですね。
子供の年齢も、赤ちゃんくらいから小学生くらいまでと幅広くて、特に赤ちゃんを抱いていたりあるいはベビーカーに載せて店内にいる父親の姿というのを結構見かけるんですね。
これは、僕のいる店の立地も多少関係あるかもしれません。
僕のいる店は、すぐ目の前がイトーヨーカドーなんですね。だから、家族で買い物に出かけるという時、母親だけがイトーヨーカドーで買い物をし、父親と子供はその向かいの本屋で時間を潰す、というようなパターンがあるのではないか、と思ったりします。
でもどうなんでしょうね。そうではなくて、そもそも休みの日は父親自ら子育てを買って出ている人も多いのかなとか思ったりしますが、実際のところはどうか分かりません。
しかしそういう光景を見ていると、一生結婚したくないと思っている僕としては、さらに結婚したくない度がアップしていくなぁという感じはあります。子供の相手なんかしたくないですからね。接客で関わるくらいだったら別に普通に対処出来ますけど、それが自分の子供だったらと思うとゾッとしますね。こういう話を周りにすると、自分の子供だったら絶対違うよ~、みたいなことを必ず言われるんですけど、絶対無理です。自分と血の繋がった子供なんか絶対嫌ですね。
まあそんなわけでかなり脱線しましたが、子供を連れた父親の姿が多いなぁと思うわけなんですね。
1年近く前から、入口で子育て本を集めて置くようにしたところ、非常に売れるようになりました。どんな本を置いているのか挙げてみますと、

PHP文庫 「子どもの心のコーチング」
新潮文庫 「赤ちゃん学を知っていますか?」
PHP文庫 「頭のいい子が育つパパの習慣」
朝日文庫 「赤ちゃんがきた」
祥伝社黄金文庫 「子供を東大に入れるちょっとした習慣術」
PHP文庫 「日本一を育てた塾長の子どもの成績を決める習慣教育」
集英社新書 「感じない子どもこころを扱えない大人」
集英社新書 「共働き子育て入門」
光文社新書 「子供の脳は肌にある」
講談社現代新書 「発達障害の子どもたち」
集英社新書 「赤ちゃんと脳科学」
講談社文庫 「怖くない育児」
PHP文庫 「できる子の親がしている70の習慣」
集英社文庫 「我が家の流儀」
集英社文庫 「家族の流儀」
光文社知恵の森文庫 「娘に伝えたいこと」

といった感じです。
これがですね、どれもこれも驚くほど売れていまして、もう1年以上置きっぱなしという本もいくつもあります。全然売上が落ちないんですね。
やっぱり子育てっていうのは、みんな不安だからいろいろ情報が欲しいと思うんでしょうね。ただ、「子供を東大に~」とか、「日本一を育てた塾長~」みたいな本が結構よく売れていくんで、皆さんやっぱり子供には勉強が出来て欲しいと思うんでしょうね。そういう親御さんは、学生時代勉強してなかったりするんでしょうね。自分が勉強してこなかったために苦労したから、子供には勉強をさせよう、みたいな感じでしょうか。子供としてはたまったもんではないですね。
まあそんなわけで、無理矢理本屋っぽい結論に結び付けるとすると、いろんな本を置いて、いろんなチャレンジをすることで、客層っていうのはよく見えてくるものだなぁ、というようなことでしょうか。
そろそろ内容に入ろうと思います。
この作品は、あのイギリスが誇るカズオ・イシグロが大絶賛という旅行記で、アフリカのコンゴにあるテレ湖にいると言われるモケレ・ムベンベという恐竜を探しに、全財産をはたいて探検に出かけて行った、イギリスを代表する旅行記作家の作品です。日本では大分以前に、高野秀行という作家が大学時代、まったく同じ恐竜を探しに探検部のメンバーを引き連れて同じくテレ湖に行ったなんてことがありましたが(詳しくは集英社文庫「幻獣ムベンベを追え」をどうぞ)、時を経て人を惹きつける何かがあるということでしょうか。
コンゴという国はそもそも秘境と言ってもいいようなところで、国内のジャングルのほとんどは未踏の地と言ってもいいようなところです。ピグミーと呼ばれる、人間と同じような生活形態だけど、背丈が僕らの半分ぐらいしかないような人種がジャングルに住んでいたり、また20世紀になってようやく発見されたオカピも、このコンゴに住むピグミーの話から発見に繋がったらしいです。恐らく、あらゆる生物学者なんかは、コンゴを訪れて生態系の調査なんかをしたいと思っていることでしょう。
しかし、本作を読めば分かる通り、コンゴという国はなかなか一筋縄では行きません。本作を読むと、何で高野秀行らはあんなに簡単に(簡単ではなかったでしょうが、しかし本作よりは遥かに簡単に)テレ湖にたどり着けたのかが分からなくなってきます。もちろん、本書の主人公であるレドモンド・オハンロンは、テレ湖に直接行くのではなく、少し遠回りしてでもコンゴという国やその奥に内包するジャングルそのものを見たかったらしいんですけど、それにしても大変みたいです。
なにせ、この著者、全財産持ってコンゴに行ったらしいですからね。正直言って頭がおかしいとしか思えません。本書では円での表記がないのでイマイチどのぐらいのお金が使われているのか分かりづらいですけど、でも探検の最後の最後には、本当にわずかなお金しか残らなかったようです。その間、同行しているコンゴの役人であり生物学者でもあるマルセランを始めとするメンバーに日給を支払い、またジャングルに住む部族の長にお金を払い、入国の際に役人に金を払い、呪いをするかたと言って金を払い、なんていうことがどんどん繰り返されていきます。これじゃあ、いくら金があっても足りないだろうなという気がします。よくもまあそんなアホみたいなことをやったものだと思います。
探検の主要メンバーは三人。うち二人は、本書の著者であるレドモンド・オハンロンと、コンゴ人生物学者であるマルセラン。そしてもう一人、本書を読む限りではイマイチオハンロンとの関係性が分からなかったのだけど、アメリカ人の動物学者であるラリー。他に、マルセランがその時々で雇う手伝いの人間で探検が進められていきます。
ここまで長々といろいろ書いてきましたが、正直言って本書は僕にはあんまり合わない作品でした。本書は上下巻の本なんですけど、上巻を読んだ時点でもう結構キツくて、下巻はかなり飛ばし読みで読みました。それでも最後まで頑張って読み通そうとするところが僕の偉いところ(なのかどうかは分かりませんが)ですが。
でも、何がどう面白くなかったのかというのがイマイチ自分でも掴めないんですね。普通小説にしてもノンフィクションにしても、文章が合わないとか、ストーリーが好きになれないとか、キャラクターがダメとか、その作品が好きになれない理由がそこそこ明確にあるはずなんだけど、でも本書の場合、どこがどう僕に合わなかったのかというのがよくわからないんですね。結構こういう無茶苦茶やってる人間の話は好きなはずなんだけど、どうしてダメだったんだろうなぁ。
僕が勝手に思う理由の一つは、著者がイギリス人だったからかなぁということです。いや、言いがかりみたいなものですけど、イギリス人って何だか独特のジョークのセンスがあるイメージがあるんですね。文章のセンスみたいなものも独特なのではないかと。だからダメだったのかなぁとか勝手に思ったりしてみました。よく分かりませんが。
本書と、先ほども少し話に出しました、高野秀行の「幻獣ムベンベを追え」だったら、僕は断然高野秀行の方が面白いと思います。同じコンゴに行ってテレ湖を目指しムベンベという恐竜を探しに行くというストーリーなのに、何でこんなに違うんだろうかと思いました。
ただこの作品は、僕はダメだったけど、この作品を面白いと感じる人はきっといるだろうなとは思いました。どういう人が読んだらいいのかというのはイマイチよくわからないんだけど、なんとなく文学性の高い旅行記という感じがするので…、うーんだからどうしたって感じですけど、きっと作品自体はいいんだと思います。僕には合わなかっただけで。
でも、なかなか試しに読んでみるなんていうことが出来ない本ではありますね。何せ、定価で買ったら上下で約5000円しますからね。僕は古本屋で大体上下で2000円ぐらいで買ったと思います。それでもなかなかのもんですけどね。ちょっと面白そうだなと思う方は、とりあえず在庫のありそうな書店に行って、パラパラ読んでみることをお勧めします。




レドモンド・オハンロン「コンゴ・ジャーニー」
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2013年ベスト

2013年の個人的ベストです。

小説

1位 宮部みゆき「ソロモンの偽証
2位 雛倉さりえ「ジェリー・フィッシュ
3位 山下卓「ノーサイドじゃ終わらない
4位 野崎まど「know
5位 笹本稜平「遺産
6位 島田荘司「写楽 閉じた国の幻
7位 須賀しのぶ「北の舞姫 永遠の曠野 <芙蓉千里>シリーズ」
8位 舞城王太郎「ディスコ探偵水曜日
9位 松家仁之「火山のふもとで
10位 辻村深月「島はぼくらと
11位 彩瀬まる「あのひとは蜘蛛を潰せない
12位 浅田次郎「一路
13位 森博嗣「喜嶋先生の静かな世界
14位 朝井リョウ「世界地図の下書き
15位 花村萬月「ウエストサイドソウル 西方之魂
16位 藤谷治「世界でいちばん美しい
17位 神林長平「言壺
18位 中脇初枝「わたしを見つけて
19位 奥泉光「黄色い水着の謎
20位 福澤徹三「東京難民


新書

1位 森博嗣「「やりがいのある仕事」という幻想
2位 青木薫「宇宙はなぜこのような宇宙なのか 人間原理と宇宙論」 3位 梅原大吾「勝ち続ける意志力
4位 平田オリザ「わかりあえないことから
5位 山田真哉+花輪陽子「手取り10万円台の俺でも安心するマネー話4つください
6位 小阪裕司「「心の時代」にモノを売る方法
7位 渡邉十絲子「今を生きるための現代詩
8位 更科功「化石の分子生物学
9位 坂口恭平「モバイルハウス 三万円で家をつくる
10位 山崎亮「コミュニティデザインの時代


小説・新書以外

1位 門田隆将「死の淵を見た男 吉田昌郎と福島第一原発の五〇〇日
2位 沢木耕太郎「キャパの十字架
3位 高野秀行「謎の独立国家ソマリランド
4位 綾瀬まる「暗い夜、星を数えて 3.11被災鉄道からの脱出
5位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠 3巻 4巻 5巻
6位 二村ヒトシ「恋とセックスで幸せになる秘密
7位 芦田宏直「努力する人間になってはいけない 学校と仕事と社会の新人論
8位 チャールズ・C・マン「1491 先コロンブス期アメリカ大陸をめぐる新発見
9位 マーカス・ラトレル「アフガン、たった一人の生還
10位 エイドリアン・べジャン+J・ペタ―・ゼイン「流れとかたち 万物のデザインを決める新たな物理法則
11位 内田樹「下流志向 学ばない子どもたち 働かない若者たち
12位 NHKクローズアップ現代取材班「助けてと言えない 孤立する三十代
13位 梅田望夫「羽生善治と現代 だれにも見えない未来をつくる
14位 湯谷昇羊「「いらっしゃいませ」と言えない国 中国で最も成功した外資・イトーヨーカ堂
15位 国分拓「ヤノマミ
16位 百田尚樹「「黄金のバンタム」を破った男
17位 山田ズーニー「半年で職場の星になる!働くためのコミュニケーション力
18位 大崎善生「赦す人」 19位 橋爪大三郎+大澤真幸「ふしぎなキリスト教
20位 奥野修司「ねじれた絆 赤ちゃん取り違え事件の十七年


コミック

1位 古谷実「ヒミズ
2位 浅野いにお「世界の終わりと夜明け前
3位 浅野いにお「うみべの女の子
4位 久保ミツロウ「モテキ
5位 ニコ・ニコルソン「ナガサレール イエタテール

番外

感想は書いてないのですけど、実はこれがコミックのダントツ1位

水城せとな「チーズは窮鼠の夢を見る」「俎上の鯉は二度跳ねる」

2012年ベスト

2012年の個人的ベストです
小説

1位 横山秀夫「64
2位 百田尚樹「海賊とよばれた男
3位 朝井リョウ「少女は卒業しない
4位 千早茜「森の家
5位 窪美澄「晴天の迷いクジラ
6位 朝井リョウ「もういちど生まれる
7位 小田雅久仁「本にだって雄と雌があります
8位 池井戸潤「下町ロケット
9位 山本弘「詩羽のいる街
10位 須賀しのぶ「芙蓉千里
11位 中脇初枝「きみはいい子
12位 久坂部羊「神の手
13位 金原ひとみ「マザーズ
14位 森博嗣「実験的経験 EXPERIMENTAL EXPERIENCE
15位 宮下奈都「終わらない歌
16位 朝井リョウ「何者
17位 有川浩「空飛ぶ広報室
18位 池井戸潤「ルーズベルト・ゲーム
19位 原田マハ「楽園のカンヴァス
20位 相沢沙呼「ココロ・ファインダ

新書

1位 倉本圭造「21世紀の薩長同盟を結べ
2位 木暮太一「僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか?
3位 瀧本哲史「武器としての交渉思考
4位 坂口恭平「独立国家のつくりかた
5位 古賀史健「20歳の自分に受けさせたい文章講義
6位 新雅史「商店街はなぜ滅びるのか
7位 瀬名秀明「科学の栞 世界とつながる本棚
8位 イケダハヤト「年収150万円で僕らは自由に生きていく
9位 速水健朗「ラーメンと愛国
10位 倉山満「検証 財務省の近現代史

小説以外

1位 朝日新聞特別報道部「プロメテウスの罠」「プロメテウスの罠2
2位 森達也「A」「A3
3位 デヴィッド・フィッシャー「スエズ運河を消せ
4位 國分功一郎「暇と退屈の倫理学
5位 クリストファー・チャブリス+ダニエル・シモンズ「錯覚の科学
6位 卯月妙子「人間仮免中
7位 ジュディ・ダットン「理系の子
8位 笹原瑠似子「おもかげ復元師
9位 古市憲寿「絶望の国の幸福な若者たち
10位 ヨリス・ライエンダイク「こうして世界は誤解する
11位 石井光太「遺体
12位 佐野眞一「あんぽん 孫正義伝
13位 結城浩「数学ガール ガロア理論
14位 雨宮まみ「女子をこじらせて
15位 ミチオ・カク「2100年の科学ライフ
16位 鹿島圭介「警察庁長官を撃った男
17位 白戸圭一「ルポ 資源大陸アフリカ
18位 高瀬毅「ナガサキ―消えたもう一つの「原爆ドーム」
19位 二村ヒトシ「すべてはモテるためである
20位 平川克美「株式会社という病

2011年ベスト

2011年の個人的ベストです
小説
1位 千早茜「からまる
2位 朝井リョウ「星やどりの声
3位 高野和明「ジェノサイド
4位 三浦しをん「舟を編む
5位 百田尚樹「錨を上げよ
6位 今村夏子「こちらあみ子
7位 辻村深月「オーダーメイド殺人クラブ
8位 笹本稜平「天空への回廊
9位 地下沢中也「預言者ピッピ1巻預言者ピッピ2巻」(コミック)
10位 原田マハ「キネマの神様
11位 有川浩「県庁おもてなし課
12位 西加奈子「円卓
13位 宮下奈都「太陽のパスタ 豆のスープ
14位 辻村深月「水底フェスタ
15位 山田深夜「ロンツーは終わらない
16位 小川洋子「人質の朗読会
17位 長澤樹「消失グラデーション
18位 飛鳥井千砂「アシンメトリー
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新書
1位 「「科学的思考」のレッスン
2位 「武器としての決断思考
3位 「街場のメディア論
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6位 「もうダマされないための「科学」講義
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10位 「量子力学の哲学

小説以外
1位 「死のテレビ実験
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番外 「困ってるひと」(諸事情あって実は感想を書いてないのでランキングからは外したけど、素晴らしい作品)